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【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「まちの課題を解決するために」】

第42回 依存型社会から自律型社会への転換を目指して (2014/7/25 斉藤了介/龍馬プロジェクト 九州・沖縄ブロック所属)

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「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「まちの課題を解決するために」の第6回は、宮崎県宮崎市議会議員で龍馬プロジェクト九州・沖縄ブロック所属の斉藤了介氏による「第42回 依存型社会から自律型社会への転換を目指して!」をお届けします。

◇        ◇        ◇

 我が街宮崎市は、今年市政90周年を迎えた人口約40万人の中核市です。九州の南東部に位置し、東には南北に約36kmに渡る海岸線を有し、青くて雄大な日向灘が広がり、西にはなだらかな丘陵地が続く、豊かな自然環境と温暖な気候に恵まれた太陽と緑の都市であります。

 「スポーツランドみやざき」を掲げる本市には、プロ野球では、読売巨人軍と福岡ソフトバンクホークスが、Jリーグでは、サンフレッチェ広島、浦和レッズ、鹿島アントラーズ等J1・J2合わせて11チームと、プロアマを通じてたくさんのスポーツチームがキャンプに訪れます。他にもダンロップ・フェニックストーナメントに代表されるゴルフトーナメントやサーフィンといったマリンスポーツも盛んです。

 また、「太陽のタマゴ」で有名なマンゴーや、きゅうりにピーマン、全国和牛能力共進会2連覇を達成した宮崎牛に地頭鶏(じどっこ)と、全国トップクラスの農業産出額を誇る食料生産基地でもあります。

 昭和30年代後半から40年代にかけての新婚旅行ブームにより、観光地としての地位を築いた宮崎ですが、その後リゾート法第1号の認定を受けて完成したフェニックス・シーガイア・リゾートもその数年後には経営破綻するなど、現在は苦戦している状況です。

 そんな生まれ育った郷土を今以上に良い社会にしたくて、大阪での会社勤めに区切りをつけて2007年の統一地方選挙に立候補し、宮崎市議会議員として2期目の活動中の私ですが、今回のコラムを書かせていただくにあたり改めて宮崎市の課題を整理してみました。

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 雇用対策、南海トラフ地震対策、通学路の安全確保、農業の後継者問題、認知症対策、生活保護費の増加・・・と挙げたらキリがないほど課題は山積しておりますが、中でも全国どの自治体もこれから直面する共通の大きな課題は、やはり人口減少・少子高齢化社会の中でどのようにして自治体経営を行っていくかであると考えます。

 私はまず住民にこの現実を正しく理解してもらうことが、この困難を乗り越えていく出発点だと考えています。市議会議員として日々さまざまなご相談を受ける中で、現在の国の財政、そして宮崎市の財政状況を説明し、そのご相談内容が今やるべき内容なのか、時間をかけて成就すべき内容なのかを住民と共に考えています。そして、時には断念していただかないといけない内容もあります。

 我が国の人口や経済が右肩上がりに増え、成長していた時代は、住民からの要望を成就させることが議員の仕事の1つだったでしょう。しかし、歳入は減るものの歳出は増え、真に必要な公共サービスを選別、実施しなければならない状況となる人口減少・少子高齢化社会における議員の役目は、それぞれの団体の財政状況を詳細に熟知し、住民に対し分かりやすく説明して納得解に導くことであります。よって議員にはそのためのスキルや知識が必要になってきます。

 私が市議会議員になったばかりのころは、そのような話をしますと「だったらあなたには相談せずに別の議員に相談するからいいわ!」と憤慨される方もいらっしゃいましたが、議会終了後定期的に開催しております市政報告会を続けていますと、参加された皆さんの意識に「自分で出来る事は自分でやり、自分で出来ない時は地域や仲間の力を借りてやり、それでも出来ない時には行政にお願いする」といった「自助・互助・公助」の精神が強くなってきていることを実感いたします。

 そして、住民意識の醸成と合わせてやるべきことは、住民代表の機関である議会の改革です。現在、予算は市長に編成権があり、議会は提出された予算案を審議していく流れとなっておりますが、私は当局が行っている次年度の予算編成作業の過程にも議会が参加できないものか、一般質問で提案したことがあります。残念ながら地方自治法の規定等により、予算編成過程における議会の参加は難しいとの答弁でしたが、今後歳入が減少していく中で求められるのは、各事業を一律にカットする予算ではなく、我々議会を介して、自治体の未来を考えた住民の意思がしっかりと反映された予算であります。そしてそれこそが、これから求められる住民自治のあり方であると考えます。

 また、高度成長期に作られた公共施設、インフラの更新費用が雪だるまのように膨れ上がって迫ってくる中で、住民が何を選択し、何を断念するか、この議論からも首長や議会は逃げてはいけません。本市も平成の大合併により、多くの公共施設を抱えることとなりましたが、まだまだ財政面からの議論が足らないと思いますし、自分自身も含めて議会の財政分析力をもっと高めていくことが重要だと認識いたします。

 平成23年5月からの2期目で、「政治倫理条例」「宮崎市議会基本条例」「宮崎市深夜における花火の規制に関する条例」の3つの条例作りと宮崎市議会報告会の実施に関わることができました。これまで市民からさまざまな問題についてご相談をいただくたびに、その解決を当局任せにしてきましたが、私たち議会も自分たちが持つ権限や機能をさらに強化して活動していかなくてはなりません。

 「依存型(責任も他者に押し付ける)社会から自律型(自己責任)社会」への転換を進めていくことで、「未知なる困難からも逃げずに立ち向かっていく強い社会」、そして「公共で救うべき人たちに優しい理想の社会」を作ることを目指して、これからも引き続きその先頭に立って戦うことを誓い、最後に私が心の支えとしております坂本龍馬と、宮崎出身で特攻で散華されました永峰肇軍神の言葉を紹介いたしましてコラムを閉じたいと思います。

「世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る」
「南海にたとへこの身は果つるとも 幾年後の春を想へば」

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斉藤了介氏著者プロフィール
斉藤 了介(さいとう りょうすけ)
宮崎市議会議員。1966年4月24日宮崎市生まれ。宮崎南高校卒業後、大阪にて中央三井信不動産販売株式会社(現三井住友トラスト不動産株式会社)勤務を経て、平成19年宮崎市議会議員初当選。平成21年宮崎市長選挙に立候補するも落選。平成23年宮崎市議会議員トップ当選。政治活動の柱を教育と位置づけ、3人の子ども達が作ってくれた縁で、宮崎南高校PTA会長、宮崎県高等学校PTA連合会副会長、宮崎市体操協会会長を務める。
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