第39回 地方の生き残りをかけて「若者の流出」を食い止める  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ >  記事 >  連載・コラム >  龍馬プロジェクト >  第39回 地方の生き残りをかけて「若者の流出」を食い止める

【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「まちの課題を解決するために」】

第39回 地方の生き残りをかけて「若者の流出」を食い止める (2014/6/13 岡本忠藏/龍馬プロジェクト全国会 関西ブロック)

関連ワード : 京都 少子高齢化 岡本忠蔵 舞鶴市 

「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「まちの課題を解決するために」の第3回は、京都府議会議員で龍馬プロジェクト全国会 関西ブロックの岡本忠蔵氏による「第39回 地方の生き残りをかけて「若者の流出」を食い止める」をお届けします。

◇        ◇        ◇

人口減少は日本の存亡に直結する問題

 私の地元は京都府舞鶴市です。南北に長い京都府の北部に位置していまして、田舎であるが故の人口減少問題を抱えており、解決策が見出せないままズルズルと年月が経過しているところです。しかしこの無理難題である人口減少問題に立ち向かうほか、地方の生き残りはあり得ないと思いますし、ひいては日本の存亡に直結する問題だといっても過言ではないと考え、そのモデルを地元でぜひ体現してみたいと常々考えて活動してきました。

 少なくとも地方での人口減少には2つの要因があって、「若者の流出」と「少子化」が挙げられると思います。まずは「若者の流出」を食い止めるためですが、いくつか必要不可欠なことがあると私は考えていまして、それは(1)雇用、(2)まちの魅力、(3)郷土愛のように思っています。

 まず(1)ですが、都会と離れた田舎でどうやって雇用を生み出せばいいのでしょうか。企業誘致? 無理です。できたとしても全然足りません。わがまちの規模でも毎年800人以上が高校を卒業します。地元で雇用を完結することなどあり得ませんので、外に求めるほかありません。当然のごとく周辺自治体でも同じ状況ですから、もっと遠く、私は100km離れた京都市方面に雇用の場を求める政策を打つべきと考えています。つまり遠くの大都市圏に通勤してもらうわけですが、そのためには「時間距離」を短くしなければなりません。

 実は京都府では平成27(2015)年度早々にやっと高速道路が開通し、そこで京都市・舞鶴市間の時間軸がかなり改善されますので、通勤用の高速バスの新設やJRの通勤特急の普及ができないかと考えています。東京あたりでは1時間半の通勤など想定の範囲でしょうが、舞鶴市民は現時点では「遠方である京都市に通勤する」という概念が全くありませんので、そこを意識としてどう解きほぐすかがポイントではないかと感じています。もしこれができれば雇用は無限に広がることになります。できなければ雇用は永遠に確保することはできません。つまり、まちは際限なく衰退し続け、いつか廃墟となる運命をたどることになるでしょう。

まちの魅力と故郷を大切に思う心

 一方で通勤時間が負担であることは間違いありませんから、それでもユーザーにとって都会よりも地元・舞鶴に住む方が良いと考える要因が必要です。それが(2)まちの魅力です。

 京都府は「海の京都構想」という観光振興プロジェクトを始めました。京都にも海があるのをご存知でしょうか。近い将来、東京方面や海外からでも観光客が訪れるパワフルな観光施策を進めるプロジェクトでして、こうして外からの評価を高め、潜在している地域住民の地元の誇りを目覚めさせ、若者に自分たちのまちがそう捨てたものではないということを気付かせることと、他方では生活の利便性を向上させることが同時進行で必要となってきます。それは子どもの教育なのか、子育て支援なのか、税制度なのか、はたまたそれ以外の何かなのか、地元・舞鶴の人の琴線に触れる施策を舞鶴市行政にやってもらわなければならないのですが、京都府議会議員の私には、そこまでまだ手を突っ込めずにいるのが現状です。

 そして長期的かつ必要不可欠なものは(3)郷土愛です。どんな夢を抱き、どんな職業に就いたとしても、故郷を大切に思う心を持つことができなければ、故郷に帰ってくることはないでしょう。家族を慈しみ、周りにお世話になりながら、自分が生きているという感謝の念を普通に抱くことのできる豊かな人間性を持った子どもたちを育むことができるかどうか。それは郷土愛に直結すると思います。

 地方・田舎の自治体で何とかして人口流出に歯止めをかけるためには、こうした非常にハードルの高い課題をクリアしなければならない、そしてそれができなければ未来は危うい、こうした岐路に立たされているのだと思います。

少子化は「行き過ぎた個人主義」のなれの果て

 あともう1つの「少子化対策」です。実は京都府では今年度から「少子化対策」に本格的に取り組むこととなりました。これまで「子育て支援」と「少子化対策」は混同されてきましたが、そうではないということを遅ればせながら京都府行政も気付き始めているようで、まずはこの5年間で2,000人の出生数の増加を目指しています。

 以前から私は、戦後教育で浸透させられてしまった「行き過ぎた個人主義」のなれの果てが現在の少子化の根本的なところにあると考えてきました。従って今後いろいろな少子化対策を打つにしても、その原点を照らさなければ抜本的な解決は難しいと感じていまして、まずは行政にそこを理解してもらわなければならないと考えています。

 私はそうして地元の若者の人口流出問題に対峙(たいじ)しつつ、少子化対策を具体的施策に落とし込んでいくための取り組みを、ときには影で、ときには日なたで進めていき、日本のモデルとなるようなものにし、ひいては日本全体に広まっていけばと意気込んでいるところです。

著者プロフィール
岡本忠藏氏岡本 忠蔵(おかもと ちゅうぞう):1970年11月8日、京都府舞鶴市生まれ。1993年、金沢工業大学工学部建築学科 卒。1995年、金沢工業大学大学院工学研究科修士課程建築学専攻 修了。同年、地元に帰り父の経営する建設会社に就職。2002年11月、舞鶴市議会議員選挙にトップで初当選。2006年11月、舞鶴市議会議員選挙に2期連続トップ当選。2007年4月、京都府議会議員選挙にトップで初当選。2011年4月、京都府議会議員選挙に当選。現在2期目。資格:一級建築士・一級土木施工管理技士・宅地建物取引主任者資格、ほか。
龍馬プロジェクト リレーコラム
第38回 まちの課題を解決するために(佐藤丈晴)
第37回 子供たちが戻ってこられる環境づくりを!(坂根栄六)
第36回 少子高齢化社会において(永井浩介)
龍馬プロジェクト リレーコラム一覧
関連リンク
龍馬プロジェクトホームページ
facebookページ(ryomaproject)
関連ワード : 京都 少子高齢化 岡本忠蔵 舞鶴市