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【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「まちの課題を解決するために」】

第38回 まちの課題を解決するために (2014/5/30 佐藤丈晴/龍馬プロジェクト全国会 政調副会長)

関連ワード : 佐藤丈晴 地方議会 山形 条例 酒田市 

「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「まちの課題を解決するために」の第2回は、龍馬プロジェクト全国会 政調副会長の佐藤丈晴氏による「第38回 まちの課題を解決するために」をお届けします。

◇        ◇        ◇

フォロワーシップがまちを動かす!

 2003年から約9年半、山形県酒田市(2014年3月31日現在人口108,705人)で市議会議員としてその役割を務めてきました。その後、衆議院議員選挙で落選、現在衆議院会館で秘書業務についております。平均的な地方自治体の抱える課題について、市議として、そして今は外から見て考えを述べていきたいと思います。

 酒田市は、山形県唯一の重要港湾酒田港を抱え、古くから港町として栄えてきました。河村瑞賢が西廻り航路を1600年代に整備し、それによってますます繁栄し、「西の堺、東の酒田」とも言われるようになりました。1976年10月29日には、「酒田大火」があり、市内中心部20ha以上が消失する大災害となりましたが、約2年半の時を経て復興することとなりました。2005年11月1日には周辺3町と合併し、面積は約602平方キロメートル。庄内米や刈屋梨、メロン、イチゴ、平田の赤ねぎ、寒鱈、酒田ラーメン、日本酒など、「食の都庄内」の一端を担う食の宝庫でもあります。

 酒田市議会議員としての私のテーマは、市民の政治・行政への参画の仕組みづくりでした。日本全国の先進事例や欧米などの海外の事例を研究し、それを参考に酒田のまちづくりに合う形での提言をしてきました。特に、政治家の領域は、有権者の負託でその「役割」を任期中お預かりするものだと思い、政治家が抱え込むのではなく、出来る限り一人一人の市民に考えて、行動していただくことを模索する日々でした。

 市議会議員2期目の途中、2007年から2009年にかけて約30回にわたって、毎月1日と第1土曜日に、時間と場所をいつも同じにして、「まちづくり対話集会」を開催し、酒田市の未来ビジョンを市民の方々と語り合いました。その中の1人は、2013年の市議選に初挑戦し、見事当選され、市議会議員としてご自身の活動を始められている方もいます。

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 対話集会では、市民のみなさんの声の届け先がないことがわかり、必ずしも、まちづくりが市全体を巻き込む形になり切れていないことがうかがえました。市の大きな方針、計画、施策について、市民の参加参画の仕組みづくりの必要性を強く感じました。

 このことは、議会基本条例制定の議論の中でも共有され、計画の段階から情報を開示することを市当局に求めようと、条文にも盛り込まれました。

酒田市議会基本条例 第7条(議会における政策等の審議)
議会は、市長が提案する重要な計画、政策、施策又は事業(以下「政策等」という。)について、審議等における論点を明確にし、その政策等の水準を高めることに資するため、次に掲げる事項のうち必要と認める事項について明らかにするよう求めることができる。

(1) 政策等を必要とする理由
(2) 検討した他の政策等の内容
(3) 政策等の地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第4項の規定により定める基本構想に基づく基本計画における位置付け
(4) 政策等に関係する法令
(5) 政策等の実施に要する財源措置
(6) 政策等の実施後の効果とコスト計算

 まだ、計画の段階から情報提供していくことに難色を示している市当局ですので、この条文が十分に機能しているとは思いませんが、ひとつのきっかけをつくったことは確かです。あとは、これを議会や市民がどのように生かしていくか、市当局がどのように捉えていくのかが問われてきます。

 税金をお預かりして運営される行政が、市民のニーズをつかまずに運営されることはありえませんので、そのニーズのつかみ方をどのようにしていくかということが問われてきます。第一義的には、民意の反映機関である議会の中での提言や質問などで把握することもできるわけですが、それ以外にも、さらに積極的に市民ニーズをつかむ方法はたくさんあるわけです。

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 そういった意味では、まずは、市民一人一人が地域を知り、気づくこと。一人一人が、考え、行動できるようなまちづくりが必要なのではないかと思います。そのための環境づくりが、議会の役割でもあると思います。地方議員が、地方におけるローメーカーだとすれば、自治体の条例体系を把握し、評価することで、さまざまな課題は見えてくると思います。そんな一つ一つの環境づくりを行い、市民の中から、「まちづくりのフォロワー」が生まれることが、すべてを政治・行政に頼ることのない持続可能なまちづくりにつながるのではないでしょうか。「フォロワーシップが発揮されるまちづくり」が、政治に関わる身として、私のテーマでもあります。

著者プロフィール
佐藤丈晴氏佐藤 丈晴(さとう たけはる):1967年4月22日生まれ。山形大学理学部卒業後、アイジー工業(株)入社。その後、実家の電気工事会社に転職し、中間支援NPOの事務局長を経て、平成15年酒田市議会初当選(以降連続3期、約9年半)。平成24年衆議院議員選挙出馬、落選。現在、杉田水脈衆議院議員公設秘書。
龍馬プロジェクト リレーコラム
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第36回 少子高齢化社会において(永井浩介)
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