【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第112回 「2014マニフェスト大賞」事務局から見た特徴は? (2014/11/12 東京都武蔵野市議会議員 川名雄児氏/LM推進地議連事務局長)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第112回は、東京都武蔵野市議会議員でマニフェスト大賞実行委員会とローカル・マニフェスト推進地方議員連盟事務局長の川名雄児氏による「『2014マニフェスト大賞』事務局から見た特徴は?」をお届けします。
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11月14日に第9回(2014年)マニフェスト大賞各部門の最優秀となるグランプリが発表される。事務局から見た各部門の今年の傾向を考えてみたい。
認知度は上がったが困ったことも
今年の応募件数は、2,223件と過去最高の件数となった。第1回の221件の約10倍という数だ。これは関係者の努力でもあるが、それだけマニフェスト大賞の存在が世に知られた結果と考えられる。事実、優れた政策や成果を出している議員、団体にマニフェスト大賞に応募してくださいと話をする際、「マニフェスト大賞とは何ですか?」と聞かれることはほぼなくなっている。
一方で困ったことも起きている。それは、応募をお願いした際に断られることが少なくないことだ。今年だけではなく、最近の傾向で今年は顕著になっていた。
断る理由は、「議会改革で有名なあの議会と比較されても困る」「昨年の優秀賞を知っているが差が大きい。出すだけも恥ずかしい、レベルが違い過ぎる」というのがほとんどだ。マニフェスト大賞への批判ではなく、受賞者と比較すると応募するレベルではないと自ら判断しているからだ。
認知度が上がり、受賞者がハイレベルになっていることは嬉しいのだが、実行委員会としては困ったことでもあった。来年以降、数を今以上に伸ばせるのか今から心配だ。
しかし、断った方も「来年はもっとよい政策を作り、成果を出して応募します。応募できるようにがんばります」との一言を添えることが多い。マニフェスト大賞は、『名誉を与え、更なる政策提言意欲の向上につながること』を目的としてスタートしたことを考えれば、意欲向上に確実につながっている。地方政治の風土を変えてきているのだ。
優秀賞の特徴
優秀賞を受賞した顔触れを見ると、議会改革で有名な議員や議会、団体の名前が並ぶ一方で、新顔も多くなっている。ベテランは努力を続け、新たな人材も登場しているといえるだろう。
ベテラン組の特徴は、受賞して終わりではなく、次のステップに進み受賞内容をさらにブラッシュアップさせている例や、さらに政策や改革の範囲を広げている例が印象的だ。受賞が刺激となっているのだろう。マニフェストは、一度作ったら終わりではなく、検証し、次のステップに踏み出し、さらに政策を進め住民のため、生活者のための政治を続けるための道具だ。選挙の時だけに作ればいいのではない。誰のために行っているのかの視点で考えれば、このステップが進むことは、マニフェスト大賞の目標の一つでもある『地方から政治を変える』に結びついているのではないか。事務局側からの勝手な判断だが、そう思えてならない。
また、議会事務局の取り組みも目立ってきた。議会は議員だけで動くものではない。議会事務局との二人三脚が必要だ。この動きは今後も加速するのだろう。今年だけではなく、来年も期待したい傾向だ。
新人組には、市民団体の受賞が増えているのも特徴だ。政治家や行政にお任せではなく、主権者である市民自ら動き出していることは、『地方から政治を変える』の大きな力にもなる。
議員、首長・行政、市民の善政競争
マニフェスト大賞は、優秀賞受賞者の中から最も優れた者へグランプリを与えているが、昨年(第8回)からはこの対象者に市民も含めるようになった。当初は地方議員だけだったマニフェスト大賞の対象者は、首長・行政そして市民にも広がってきている。地方議員と首長・行政だけだったグランプリも、枠をなくしたのだ。
これは、『地方から政治を変える』のは、誰が行ってもいいのではないか。同じ目的を持つ地方議員、首長・行政、市民が『善政競争』をしていくことで、結果的に『地方から政治を変える』につながればいいと考えての結論だった。
もっとも、「市民まで広げてしまうと、地方議員が受賞できなくなるのでは」「地方議員のための賞なのに、地方議員が目立たなくなってしまうのでは」との不安の意見も事務局内にはあり、躊躇(ちゅうちょ)する気持ちも強かったのは確かだ。しかし、今年の受賞者をみれば、杞憂に終わっていた。地方議員としても参考になり、自分たちのまちでも取り入れたいと思えるものばかりだったからだ。また、受賞へのハードルが上がったかもしれないという困惑もあるのだが…。
グランプリ
グランプリの幅を広げた一方で、相応するものがない場合は、グランプリを与えないことも決めている。優秀な応募が増え続けているが、その頂上の質は落とさないという考えでもある。2014年のマニフェスト大賞グランプリは11月14日の授賞式で発表される。この原稿を書いている時点では分からないが、きっと驚くような、そして、『更なる政策提言意欲の向上につながる』『地方から政治を変える』ことにつながるのだろう。いまからワクワク感を持って授賞式を待ちたい。
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第9回マニフェスト大賞各部門の優秀賞の概要はすでに毎日新聞やマニフェスト大賞公式ページで公表されている。グランプリや個別の受賞者への講評は公式サイトをご参照ください。
最後に協賛社各社、メディアの皆さん、応募してくださったすべての皆さんに事務局を代表して感謝を申し上げます。そして、来年のご応募もお待ちしています。
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