【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第92回 鹿嶋市議会議員としての取り組み (2014/7/2 元茨城県鹿嶋市議会議員 原田雅也氏/LM推進地議連会員)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第92回は、元茨城県鹿嶋市議会議員の原田雅也氏による「鹿嶋市議会議員としての取り組み」をお届けします。
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全国に散らばる鹿島神社の総本社である鹿島神宮があり、また、Jリーグ鹿島アントラーズの本拠地でもある鹿嶋市は、茨城県南東部にある人口が約67,000人のまちです。
私は、地方自治体の首長の意志や地方議会のあり方によって生じてしまう地域生活の中の不自由さや不便さをなくすために、政治家の第一歩として市議会議員を目指しました。
2006年に初めて当選した後、およそ3期7年間の活動の中で、先輩・同僚議員と連携して予算決算特別委員会を常任委員会に格上げし、事実上の通年議会体制を完成させました。他にも、行財政改革や教育政策、そして福祉政策について提言を行ってまいりました。後半期では、東日本大震災の復興のための予算組み替えの提案、防災基本条例の制定、そして議会改革のための議会基本条例の制定や一問一答方式をはじめとする議会機能の強化を図り、議会民主主義を次代にあった形に成熟させる提案を行ってまいりました。
「東京富んで、地方は貧す」
しかし、私の中の地域格差に関する問題意識は収束することはありませんでした。むしろ、政治が毛細血管のようにすみずみまで行き届いていない現状を目の当たりにすることとなったのです。
今、多くの地方自治体が生き残りのための対策を講じています。それにも関わらず、報われない努力が多いのも現状ではないでしょうか。私は、「東京富んで、地方は貧す」の道を歩んでしまっている今の日本の体制の根源を正し、新しい国のかたちを創出していくことが必要だと考えています。2012年の衆議院議員総選挙に出馬したのも、この地域格差について、国政からの改革が必要と考えたからです。結果、落選いたしましたが、地域の現状について深く学ぶ機会をいただきました。
私が地方政治を考える上で必要なことは、がんばる人が報われる経済政策と、地域の絆を育むための地域政策だと考えます。また、現状の紋切り型教育政策の改善も併せて進めることで、実情や特長を生かした地域づくりが可能となるのです。
地域主権の時代に求められる地方議会の姿
地方の行政は、強い権限をもつ市長と、市民の代表が集まる市議会による二元代表制に基づいて運営されています。これからの地域主権の時代においては、議会は行政をチェックするだけではなく、積極的な政策を立案することができるのかどうか、まさにこのことが求められています。つまり、市民の皆さんの声をしっかりと受け止め、議員提案によって条例を定めたり、議会の意見を取り入れた行政提案による条例を定めたり、条例の趣旨に沿った政策を成立させたりしながら政策の実現を目指さなければなりません。このような地域主権を実現させるためには国づくりのあり方を見直し、新しい仕組みをつくらなければなりません。
地方発の新しい「風」
鹿嶋市では、2014年4月13日に投開票が行われた市長選挙において新しい市長が獲得した票数は、有権者全体の29%にすぎませんでした。53.9%という低い投票率を重ねると、民意が十分に反映されたとは言い切れない結果です。
市民の皆さんによる自治とは一体どういうものか、そう問い続ける中、本当の市政とは何かを問い、そしてそれぞれの地域が日本に誇れるまちを創るための志を同じくする仲間で結成する地域政党の仕組みが有効であると考えます。
地域政党の必要性(1)~健全な二元代表制の実現~
多くの地方議会において、首長から出される条例案や予算案がほとんどすべて可決され、逆に議会側から提出される条例はほとんどありません。選挙で選ばれる議員が政策立案能力や審査能力、ディベート力を持ち、首長から出される条例案や予算案を審議し、よりよい条例をつくることができる能力を持った地域政党が必要とされています。
地域政党の必要性(2)~地域を本拠地とする政党の必要性~
地方議会において、中央政党とその地方支部における政策のねじれに振り回されているという状況の中では、地域の実態を踏まえた政策を実現することは困難です。中央集権型の政党政治から抜け出し、地方独自の視点と見解を示すことができるのが地域政党ではないでしょうか。政党の垣根を越えて、まずは地域ありきで独自政策を掲げる地域政党の存在が必要です。「地域に根差し、地域のことは地域で決めることができる」、これが地域政党の醍醐味です。
地域政党の必要性(3)~本物の政治家の輩出~
地方行政の執行部とのもたれ合いではなく、正しいことは正しいと自分の考えで判断し行動できる政治家、そして選挙のために活動するのではなく地域のために汗をかく政治家が必要とされています。また、議会内での数合わせに終始することなく、理念とミッションを常に共有しながら共に進むことができる同志を発掘し、育てながら、結果として本来的な意味での世代交代の循環を促すことができる地域政党が必要とされています。
次代を創るためのキーワード
これからの地域政党に共通する理念は、「新たな価値の創造」「市民第一」「パートナーシップ」の3つではないでしょうか。このことにより、地域の現状を的確に捉えて将来に向けた明確なビジョンを描くことができ、それは具体的な政策を生み出し、そして、その政策の実現によって地域の底力を発揮できるのだと確信しています。
- 著者プロフィール
原田雅也(はらだまさや)
1969年8月31日生まれ。早稲田大学第一文学部 卒業。元鹿嶋市議会議員(3期)。第46回衆議院議員選挙 立候補(落選)
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