【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第89回 「きらりと光る長浜市議会」を目指して (2014/6/11 滋賀県長浜市議会議員 中嶌康雄氏/LM推進地議連会員)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第89回は、滋賀県長浜市議会議員の中嶌康雄氏による「『きらりと光る長浜市議会』を目指して」をお届けします。
◇ ◇ ◇
出世城・長浜城と黒壁町衆自治のながはま
長浜市は、天正年間に羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が「今浜」を長浜に改名し、小谷城下などの商人たちを集めて、楽市である城下町を作ったのが基礎となっています。
2006年に長浜市、浅井町、びわ町の1市2町が合併。さらに、2010年1月1日、旧長浜市、東浅井郡虎姫町、東浅井郡湖北町、伊香郡高月町、伊香郡木之本町、伊香郡余呉町、伊香郡西浅井町の1市6町が合併して人口約12万人の新生「長浜市」が誕生いたしました。
長浜市は、出世城と言われている長浜城を中心に4月に行われる日本三大山車祭の1つで国の重要無形民俗文化財に指定されている曳山祭り、全国の疲弊した中心商店街再生の希望の礎となった黒壁を中心とした街づくりで全国のみなさんに知られる街となりました。
さらに、2014年3月13日に文化庁において、長浜市の「山・鉾・屋台行事」が、ユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」への記載を目指し提案されることが決定し、町衆自治がさらに深まろうとしています。
議員として実現したいこと
新生長浜市では、経営健全化や地域経済の活性化、少子高齢化対策、医療福祉、議員の資質向上など大きな問題が山積みとなっています。
私は、これらを解決し、「市民が誇れる街ながはま」「笑顔が絶えない街ながはま」を築くために、市職員としての退路を断ち市議会選挙に挑戦いたしました。
私の信条は、
(1)「人のために尽くす」「人の恩に感謝する」「人の恩に感謝する」政治を目指します。
(2)市民の“願い”“思い”を原動力とし「未来の長浜市」をつくることを忘れず情熱をもって行動します。
(3)「人は城・人は石垣・人は堀・情けは味方、仇は敵なり」を心に市民が誇れる“都市長浜市”のために全力で市政改革に取り組みます。
議員として市議会議員に初挑戦した決意とこの3つの信条は、どんな辛いことがあっても忘れてはならないと心に刻んでおり、「市民が誇れる街ながはま」「市民とつくる住み続けたいながはまし」が実現できるまで、議員活動を高め、議会活動につなげていきたいと考えております。
地方議会地方政治について
議員になり、当初最大会派に所属しておりましたが、さまざまなことから目指すべき姿勢の違いを感じ退会し、現在は一人会派で活動しています。宮本武蔵ではありませんが多くの地方議員の皆さまと交流を深めることで、自分自身の学びと質を高める必要があると認識し、多くの研修会に参加させていただくこととなりました。
今では、相談や議論する地方議員の友人もたくさん増え、新たなネットワークを構築することができ、さらに一歩前進することができました。
しかし、宮本武蔵のように「五輪書」という武道書を書いたことで、多数の面からも評価される偉大な人物になるまでは、まだまだ修行が足らないなーと痛感しております。先日も友人であり、尊敬するM市議からは、3年で長浜市議会を改革しないとだめだと助言いただいており、しっかりと前を見て「きらりと光る長浜市議会」を目指したいと決意も新たに頑張るつもりです。
現在、長浜市議会でも議会基本条例の制定で、本格的な議会改革がスタートしましたが、議会が一丸となって市政をチェックできる体制や条例提案や政策提言する議会づくりにはまだ道半ばといった状態です。「市民が議会参画」でき、長浜市のことをもっと市民が知り、「おらが村」の政策から一日も早く脱却し、もっと市民の手による協働のまちづくりへと変わるよう努力したいと思います。
“地方が変われば、国も変わる”この言葉を強く感じるようになったのは、4月21日~22日にかけて滋賀県大津市で開催された「地方議会のネクストステージを議論する研修会」でした。2013マニフェスト大賞を受賞し、議会改革の良循環が進んでいる大津市議会の現場からも、議会提案による条例制定が行政を動かし、今回の受賞につながったのではと考えるとき、良好な行政運営を行うにはやはり、二元代表制において議会と首長は、より良い地域をつくるために、政策提案から執行までの政策過程全体にわたって、両者がそれぞれの特性を活かし、住民の声をくみ取りながら切磋琢磨することが必要で、個別の利益代表ではなく、地域経営の代表者としてあるべきだとより強く感じました。
議会の存在意義は、議案について議論を行い、是々非々の対応し、議案が市民にとって有益かをさまざまな角度からチェックすることです。それは、多様なメンバーで構成する議会のほうが民意の吸収は高いはずですが、しかし、議会が空回りして、審議どころか議会そのものが機能していないこともあります。限られた予算の中で「選択と集中」をしなければ、自治体経営は成り立たず、将来の子供たちに負担を課すことになってしまいます。
議会は、合意形成の過程を住民に示し説明をします。そのために議会報告会や意見交換会は重要で、その開催までの過程の中に議会本来の資質の向上と事務局機能の強化が図られます。2回の議会報告会からの反省ですが、何人に共感していただけたかは、私は、報告会の反省を全員で共有することに意義があると思います。
行政は、企画をして予算をつけて執行し、自ら評価し、議会は、市民目線で事業全体を見直すことができる、これが健全な姿ではないでしょうか。このような機能を成立させるためには、議員の資質向上が何よりも必要です。
議員を選ぶのは、「市民」の皆さんです。議員の役割は何かを十分認識して選んでいただきたいと考えます。定年の延長のような議会や、一定の地域利益に誘導される議会は、地域に誇れる議会と言えるでしょうか、その市政運営に必要な人材こそ、議員としてふさわしい人だということを忘れず、大事な一票を投じてほしいものです。
時代を見据えた議会改革の1つでもある、情報共有や問題認識や意識の共通化を図る“タブレット議会”が全国初で初めて逗子市議会で始まりました。長浜市でも紙媒体を減らしていくとう点と職員の労務負担の軽減という観点からも、タブレット端末の導入は検討すべき時期に来ているかなとも思っています。逗子市議会の場合は、議会運営の効率化という点ではまずは成功していますが、その次のステップ「議会活動・議員活動の更なる質的向上」に向けて、さらに議員も研鑽(さん)を積んでいく必要があると考えます。
こうした2つの例のように、先進市と言われる市がすごいのは、議会で問題意識をまずは共有化している点にあります。そして何よりも忘れてはならないのは、議員や議会の取り組みを後押ししてくれる職員の存在です。縁の下の力持ちとして仕事をする議会事務局の職員さんの存在なくして、さまざまな取り組みもなかったと思います。
議会改革の進んでいる市は、議会事務局も優秀です。議会事務局職員の「やる気!」も鍵であると思います。議員に資質向上、議会事務局に機能強化、ともに頂点「議会改革度ランキング」の1位を目指し、選ばれる自治体となるよう精進することで、やがて地方が国を動かす、真に希望の持てる市民政治へとつながるのではないかと強く感じております。
滋賀でも始まる議員政策研究会発足
滋賀でも、各市の議員有志が集い議員力向上と議会の合意形成力強化、意思決定力を高める政策研究会が発足しようとしています。
まずは、議員定数・議員報酬・政務調査費・質問時間・質問通告・予算決算委員会・定例議会・通年議会・議会改革の取り組みなど各市の比較シートを作成するなどを足掛かりに勉強を始めようとしています。こうした機会を契機に議員の資質を向上し、地方議会のあるべき姿を議論し、他市に誇れる議会へ前進していきたいと思います。
全国の議員の皆さん、共に市民に誇れる議会改革に頑張りましょう!
- 著者プロフィール
- 中嶌 康雄(なかじま やすお):名城大学卒業、元旧長浜市職員、平成22年7月 1市6町合併後の長浜市議会議員選挙で初当選。議会運営委員・総務常任委員会副委員長・産業建設常任委員。長浜水道議会議員。
長浜市議会議員 中嶌康雄 オフシャルサイト
facebook:nakajima840 中嶌やすおを応援する会
twitter
- LM推進地議連の連載コラム
- 第88回 地方政治に向かい合う日々に思うこと(東村山市議会議員 大塚恵美子氏)
- 第87回 屏風絵になるような武蔵野のまちづくりをめざす(武蔵野市議会議員 深沢達也氏)
- 第86回 議会報リニューアルに続く、あきる野市議会の議会改革と委員長奮闘記(あきる野市議会議員 子籠敏人氏)
- ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟(LM推進地議連)連載コラム一覧