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ネット選挙、有権者の利用に温度差

第11回政治山調査「参議院議員選挙とネット選挙に関する意識調査2」(2/2) (2013/7/29 政治山)

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 今回の参院選で解禁されたネット選挙は、日本で最初のケースだったこともあり、候補者や政党だけでなく有権者も、それぞれが期待と不安を抱きながらの手探りの利用となったようだ。ここからは、参院選に関連し有権者がネット選挙をどう利用し、活用したかを見てくことにしよう。

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実際に参考にしたメディアで「新聞」が拡大、ネットは大幅減

graph3 ここではまず、前ページのグラフ2Aで挙げた「重視するポイント」をどのメディアで確認したかを調査した。最も利用したメディアを1つだけ選択していただいている。グラフ3がその結果だが、選挙前に実施した「第10回政治山調査」と大きな違いが出た。

 最も参考にされたのは「テレビ」で24.3%。次いで、「新聞(紙)」が23.3%だった。ちなみに、第10回政治山調査では、「テレビ」が29.6%、「新聞(紙)」が18.5%となっていた。「テレビ」が5.3ポイント減少した一方、「新聞(紙)」が4.8ポイント増加している。第10回政治山調査は選挙前の調査で、有権者にとってあくまでも「予想」や「期待」だったが、選挙後に調査した今回は実態を反映した「結果」と考えることができる。実際に投票先を決める際には考えていた以上に、じっくり検討ができる「新聞」が有効だったのだろうか。

 では、新聞同様、自分のタイミングで比較・検討ができるインターネット関連メディアはどうだったのだろうか? インターネット関連メディアで最も多かったのは「ネット上のニュースメディア」で9.3%、2番目は「ネット上の選挙情報メディア」で7.0%、3番目に「候補者や政党のホームページやブログ」が4.3%で続いた。しかしこれは、いずれも前回の「第10回政治山調査」よりも減少している。8項目あるインターネット関連メディア全体で見ても、前回は合計で42.2%だったものが、今回は28.8%と13.4ポイントも減少。ジャンル別では最多だったものの、「予想」よりも利用されなかったことが明らかになった。

 こうした傾向は、以下の調査でも現れている。

ネットメディアを「参考にした」が激減

 次の設問では、インターネット関連メディアの中で、何をどの程度、活用したかを聞いた。利用の度合いを「大いに参考にした」から「まったく参考にしなかった」まで4段階で回答いただいている(グラフ4)。

 「大いに」と「ある程度」を合わせ「参考にした」との回答で最も多かったのは「ニュースサイト」だった。「大いに」が8.7%、「ある程度」は29.9%で計38.6%。しかし、この数字は前回調査の74.4%から35.8ポイントも減少している。2番目に多かった「政治・選挙情報サイト」(計25.1%)も、前回比マイナス38.7ポイントと大幅に数字を下げた。こうした傾向は他の項目にも見られており、軒並み「参考にした」が半減している。

 「参考にしなかった」に目を転じてみると、「まったく参考にしなかった」が12項目中8項目で7割を超え、前回調査で8.6%だった「ニュースサイト」も今回、47.6%と大幅に拡大してしまった。「まったく参考にしなかった」は、前回調査で「個人のSNS」の35.6%が最大だったことを考えると、考えていた以上にネット情報が利用されていなかったことが分かる。

graph4

ネットを「利用しなかった」が72.5%

graph5 では、実際にインターネットはどのように利用されていたのだろうか。今回の参院選でのインターネットの利用方法を聞いたのがグラフ5だ(複数回答可)。その結果は、これまでの調査を裏付けるものだった。

 今回の参院選でインターネットを「選挙に関することには利用しなかった」とした人が72.5%に達している。この設問は複数回答可としたが、「利用しなかった」と回答した人が、利用した内容を聞いた他の選択肢を選ぶことはないので“排他的な回答”とすることができる。これを前提に考えると、インターネットを「選挙に関することに利用した」のは27.5%だったということになる。

 では、「利用しなかった」と回答した人の世代間の違いはあったのだろうか。若い世代はネットへの親和性が高い半面、政治への参加意識は低いとされている。そこで、実際に「利用しなかった」とした回答者を世代別に集計してみたが、ほぼ均等に分かれていた。20歳代が最小だったものの18.1%。最も多かった50歳代でも21.0%と、世代間の差は見られなかった。

 インターネットを「利用した」人達の使用方法を見てみよう。「投票の参考にする情報を閲覧した」が22.1%で最も多かった。以下は10%を切っており、「政党や候補者のメルマガを受信した」(4.1%)、「自らのブログやSNSで特定の政党や候補者を応援または批判した」(2.8%)、「政策に関することをブログやSNSに投稿した」(2.5%)と続く。これにより、今回はまだ少数ながら、インターネットを介して有権者自らによる情報の拡散が実際に行われたことが明らかとなった。

 ここでは、「政党や候補者とネットを介して交流した」が2.3%の回答を得た点にも注目したい。こうした有権者と候補者のネットを介したコミュニケーションは、ネット選挙が解禁されたことで生まれた新しい選挙運動のカタチだ。この「政党や候補者とネットを介して交流した」を世代別に見ると、実に68.8%が20歳代に集中していた。現在は2.3%と決して多い割合ではないが、今後もこうした活動が増えていくことが期待される。

約半数がネット選挙へ「期待していなかった」と回答

graph6 ここまでの調査を見てみると、ネット選挙解禁は想定したほど活用されなかった可能性がある。そこで、「ネット選挙で、期待外れだったことは何か?」という設問を見てみよう(複数回答可)。結果はグラフ6の通りである。

 ネット選挙に対し約半数が「もともと期待していなかった」と回答(48.7%)、「ネット選挙解禁」に大きな関心と期待を示していたネットメディアやIT業界、さらに政治家や政党などと、有権者の間には温度差があったと読み取ることもできる。

 先ほどと同様に、「期待していなかった」の回答者を世代別に見てみると、こちらも20歳代から60歳以上までの5世代が、ほぼ均等に分布していた。最小は18.5%の50歳代で、最大は21.6%の60歳以上である。ネット選挙への期待は、ネットへの親和性や参政意識といった意識とは別な部分が影響していたのだろうか。

 2番目は22.1%の「インターネットで投票できなかった」である。この結果は、有権者の間に「ネット選挙=ネット投票」という誤解が比較的長く続いたことが影響しているとも考えられる。その結果、「期待外れ」という印象に至った可能性は否定できない。

 また、「思ったより投票率が上がらなかった」「思ったよりサイトやサービスが盛り上がらなかった」が18.1%、18.2%とほぼ横並びとなったほか、「街宣車が減らなかった」(8.8%)など、従来の選挙からの変化に期待していた人が少なくなかったことも分かった。

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 政治山をはじめ、多くのネットメディアやマスコミが注目し、期待した「ネット選挙」は、有権者には大きな変化をもたらしていなかったのかもしれない。政党や候補者も、手探り状態でのネット選挙戦だった。国内のネット選挙はまだ緒に就いたばかりだ。今後、日本のネット選挙がどう発展していくか注目していきたい。

(政治山:二木 頼之)

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