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2020年に向けて、障害者のパフォーミンングアーツを考える (2018/2/22 日本財団)

ダンス公演とフォーラムを開催
2020年に向けて環境整備が急務

障害者の舞台芸術に関するフォーラム「SLOW MOVEMENT-Showcase & Forum vol.2(日本財団DIVERSITY IN THE ARTS共催)」が2月4日(日)、東京都港区のスパイラルで行われました。アーティスト、医療従事者、福祉事業所、行政関係者ら約200人が参加し、第1部のダンス公演、そして第2部のフォーラムを熱心に見聞していました。

第2部のフォーラム。右から佐々木雅幸・文化庁地域文化創生本部主任研究官、鈴木京子・プロデューサー、フレデリック・ロワゼル氏、栗栖良依・プログラムアドバイザー(Photo: Kazue Kawase)

第2部のフォーラム。右から佐々木雅幸・文化庁地域文化創生本部主任研究官、鈴木京子・プロデューサー、フレデリック・ロワゼル氏、栗栖良依・プログラムアドバイザー(Photo: Kazue Kawase)

第1部のダンス公演「ショーケース」では、身体に障害がある森田かずよさんと、森田さんに伴走するアカンパニストの定行夏海さんによる「Onna Matsumushi(女松虫)」が上演されました。

第1部で行われたダンス公演「Onna Matsumushi(女松虫)」(Photo: Kazue Kawase)

第1部で行われたダンス公演「Onna Matsumushi(女松虫)」(Photo: Kazue Kawase)

続くフォーラムでは、カナダから来日した作業療法士のフレデリック・ロワゼル氏が講演し、「シルク・ドゥ・ソレイユ」がマイノリティの社会復帰プログラムとして開発したソーシャルサーカスを紹介しました。ロワゼル氏はソーシャルサーカスについて、「パフォーマンスがゴールではなく、感情コントロールや自己肯定感を獲得し、個人がエンパワーメントされる」と、その意義を詳しく解説しました。

これを受けて、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS パフォーミングアーツ・グループのプロデューサー、鈴木京子さんと同プログラムアドバイザーの栗栖良依さんが、日本の現状と2020年および、その後に向けての動きについて説明。さらに佐々木雅幸・文化庁地域文化創生本部主任研究官が加わり、パネルディスカッションが行われ、ソーシャルサーカスが他を巻き込む力があること、どのような障害があっても各人の特性を生かして舞台に立てることなどが指摘されました。

障害者芸術では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催決定を受けて、文化芸術振興基本法が改正され、基本理念に文化芸術を享受する権利について「障害の有無」が追記されました。また、これまでビジュアルアートが主流でしたが、昨年より各都道府県に舞台芸術の支援センターを設立することが定められ、現在15都府県で活動が進められています。

栗栖さんは「大きく加速している」と現状を評価しながらも、パフォーミングアーツの練習場所や設備、パフォーミングアーツに協力するアクセスコーディネーターや作業療法士などの不足など、海外と比較して解決すべき課題が多く、2020年に向けて環境整備が急務と訴えました。

また、定行さんはフォーラムの後、「例えば、表現活動に楽しみを覚え、積極的に活動に参加しようとする子どもの姿を見て、親は障害がある子どもの保護ではなく、主体性を促すようになる」と語り、これまでの経験から障害者のパフォーミングアーツの価値を指摘しました。

アカンパニストの定行夏海さん

アカンパニストの定行夏海さん

日本財団は、2020年に向けて障害者芸術支援を拡充するため『日本財団DIVERSITY IN THE ARTS』プロジェクトとして新たなフェーズへ移行。昨年10月に、ビジュアルアーツの展覧会を行いました。この3月にはシンガポールで、パフォーミングアーツを中心としたアジア太平洋障害者芸術祭「TRUE COLOURS FESTIVAL」が行われ、今回の「Onna Matsumushi(女松虫)」が上演される予定です。チケットはウェブサイトより購入できます。

●TRUE COLOURS FESTIVAL ウェブサイト
●日本財団DIVERSITY IN THE ARTS パフォーミングアーツ・グループ ウェブサイト
●日本財団DIVERSITY IN THE ARTS ウェブサイト
●国際障害者舞台芸術祭(日本財団公式ウェブサイト)

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