障害者の「働く」を伝える雑誌『WORK+』創刊へ (2018/1/19 日本財団)
タイトルは『WORK+』(ワークプラス)
「一般の人にも読まれるものを目指す」
障害者の就労を支援する「はたらくNIPPON!計画」の一環として、日本財団は障害者の「働く」を伝えるマガジンを創刊することを決め、このほど創刊準備号(ゼロ号)を発行した。タイトルは『WORK+』(ワークプラス)で、障害者だけでなく、一般の人にも手にとって見てもらえるマガジンを目指している。創刊号は今夏に発行、年4回の季刊誌を計画している。
表紙に若い女性のモノクロ写真をアップで使い、タイトルは英語で『WORK+』だけ。12月1日に発行されたゼロ号は、これまでにありがちな障害者向けの雑誌とは違う斬新なもの。表紙の女性は大学3年生、宮澤初奈さんで、東京都内のスープカフェ「Sign with Me」でアルバイトしている。この店は手話と筆談が公用語というカフェで、働いている全員が手話者。宮澤さんも聴覚障害者の1人で、社会福祉士を目指して勉強中だ。
ゼロ号は、A4版よりひとまわり小さい大きさで、全体で14ページ。巻頭の3ページは、宮澤さんが手話をしている写真で飾られている。6ページからのフィーチャー面は、岡山県玉野市築港で台湾茶房を1月中にオープンする精神科医、青井一展(かずひろ)さんのストーリーだ。青井さんは病気や障害のある人の就労サポートを主な目的としてNPO法人「ここ・からワークスおかやま」を設立、彼らの働く場所として台湾茶房を始める。続いて、インタビュー・ページがあり、NHKのEテレで「バリバラ」を立ち上げたプロデューサー、日比野和雄さんを取り上げている。実家がお寺で、ご本人も週末はお坊さんをしている変り種だ。
このマガジンを企画・編集しているのは、日本財団「はたらくNIPPON!計画」を統括している竹村利道・国内事業開発チームリーダーである。高知市出身。地元で就労支援事業を行う特定非営利活動法人ワークスみらい高知を立ち上げた。その後、日本財団で「はたらくNIPPON!計画」の仕事の傍ら、こちらの事業も統括している。ゼロ号の最後のオピニオン・ページで「ワークイズライフ!」と銘打って「働くことは生活の糧に留まらず、深遠な豊かさをもたらす。働き続けて、人生を楽しもう」と呼びかけている。
竹村チームリーダーは、マガジンの発行を企画したきっかけについて次のように語る。
「障害者の『働く』を広く社会に伝えたいと思い、1年間かけて企画を練ってきた。こうした雑誌はまじめなものが多く、誰もが読みたいというふうにはならない。そこで、そうしたパターンを壊し、おしゃれで斬新で、これまでタブーだったものを取り上げ、障害者だけでなく、誰もが関心を持てるようなものをつくりたいと考えた。働くことは誰にとっても大切なことなのに、なぜか働くという意味を思い出せない人が多いので、このマガジンで自分にとって働くことはどういうことかを再考してもらいたい」
竹村チームリーダーはマガジンの内容について「障害者の人は頑張ってというような、予定調和的な内容にはしたくない。世間や部内から非難を浴びるくらいのものを作っていきたい。また、多様な権利について言及し、働かない権利もあるよ、と言うような少数意見も載せていきたい」と語る。
最近は就職してもすぐ辞める若者が増えているが、こうした傾向について竹村さんは「昔は『石の上にも3年』と言われたが、今は嫌なことがあると、すぐ逃げる人が多い。だが、すぐに辞めるとキャリアが積み重なっていかないので、本人にとってもマイナスだ」と指摘する。
<マガジン『WORK+』ゼロ号をご希望の方へ>
0号(無料)をご希望の方は[WEBフォーム]よりお申込みください。(無料)
日本財団ビル1階受付付近にも置いてありますのでご自由にお持ちください。
●はたらくNIPPON!計画(日本財団公式ウェブサイト)
●はたらくNIPPON!計画 ウェブサイト
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