福祉と出会い、社会を良くしていく一歩を―大阪で就職フェア開催 (2017/4/7 日本財団)
18年新卒向け就職フェア開催
若手人材発掘に法人集結
今まで知らなかった福祉の仕事と出会い、これからの社会を良くしていく一歩を踏み出してみませんか。まるで「旅」をするように、たくさんの福祉との新しい出会いがあります。
社会福祉事業に従事する人材の発掘や採用、育成に取り組む一般社団法人「FACE to FUKUSHI」(大阪市北区)は3月20日、「旅するように福祉と出会う」と呼び掛け、来春卒業予定の学生たちに向けた「2018新卒向け福祉就職フェア」を同市で開きました。全国各地の福祉法人を紹介する珍しい催しです。福祉の最先端を行く25法人が各地から集結、近畿圏を中心に大勢の学生が訪れました。27日(月)には東京でも開催します。いずれも日本財団助成事業の一環です。
少子高齢化や医療問題をはじめとして社会課題は多様化、複雑化しており、福祉の必要性はますます高まっています。ところが福祉業界の人材確保は厳しさを増しており、人手不足に悩まされています。「きつい」「低賃金」とのイメージが付きまとうのか、大学生の福祉分野への就職率は低く、若い世代の人材確保は大きな課題となっています。
18年新卒の国内採用スケジュールは3月1日に会社説明会が解禁され、本格的にスタートしました。FACE to FUKUSHIは「福祉就職フェア」を14年度から実施してきました。今回の大阪開催で5回目です。かつて秋中心だった福祉業界の就職活動を、3月の会社説明会解禁に合わせて前倒しし、福祉の情報に出会う機会を早めにつくることで、志ある若い人材が福祉の仕事に積極的に携わってくれることに期待した取り組みです。
旅の出会いのように学生と福祉法人が思わぬ出会いをする―そんなきっかけづくりができればと、今回の就職フェアは「旅」をテーマにJR梅田駅に近いグランフロント大阪タワー内の会議室で開かれました。近畿圏を中心に北海道、関東、中国、九州の各地方から25の福祉法人が出展。会社説明会解禁直後に加え、福祉系大学(福祉大学、福祉学部学科のある大学)へ積極的に広報をしたこともあってか予想を上回る約210人の学生が集まりました。
プログラムの最初はオープニングトーク。FACE to FUKUSHIの河内崇典、大原裕介両共同代表が就職フェアのポイントやメッセージを参加者に届けました。河内さんはNPO法人「み・らいず」(大阪市)の代表理事、大原さんは社会福祉法人「ゆうゆう」(北海道当別町)の理事長です。
河内さんは、子どもの貧困や高校中退者の続出といった大きな課題が全国で起きていることを指摘し「われわれ福祉に携わる者がそうした課題をどのように解決していくか。このことを考えると、福祉はすごくやりがいのある、意義・意味のある仕事だと思う。そういう課題を解決していく仕事にチャレンジすると思ってください」と呼び掛けました。
大原さんは社会福祉法人制度の改革と福祉人材の確保の促進を主な内容とした改正社会福祉法が4月1日から施行されることに触れ「積極的にお金と人と時間をかけて社会に貢献するような社会福祉法人になりなさい、ということが制度で決まった。多分、皆さんがこれから勤める時には、皆さんの専門性や熱意、やる気を、福祉の現場にしっかり届けられるような社会になってくる。福祉は人の生き方を創造的につくっていけるクリエイティブな仕事、人の人生の可能性を広げられる価値ある仕事、だと今あらためて思う」と訴えました。
続いて日本各地で革新的な事業に取り組んでいる出展25法人によるリレー形式のプレゼンテーションが実施されました。1法人当たり1スライド30秒の持ち時間の中で、それぞれが自身の魅力を伝え、河内さんと大原さんも発表内容を深める質問や説明を行いました。プレゼンテーションを聞いた後は別室での「会社説明会」。出展法人がブースに分かれて学生への説明会を開催し、学生はめいめい気になるブースに移動して自由に話を聞きました。
説明会の時間と並行して、先輩職員によるトークショーも行われました。「わたしはこうやって就活しました」(内定者)、「選考ではこういうところを見ています」(人事・採用担当)の両コーナーには、やはり多くの学生が詰め掛けていました。
学生「お勧めできる法人、できない法人は」。先輩職員「施設見学をお願いして、施設側がこの日じゃなくては駄目、というところは駄目。受付の人がちゃんとあいさつできているか、スタッフが生き生きしているか、研修・学習の機会が充実しているか、そんなところに見えてくるものがある。自分の思いを伝え合える職場、価値観・思いを語り合える職場、多様性を認め合える風土。結局は相性なので、ホームページやパンフレットだけで決めるのではなく、ぜひ見学に加え体験を」。
学生「面接以外で見ているところは」。先輩職員「最初の電話のしゃべり方から始まっている。あいさつなど基本的なところ。初めて見た時の印象。意思疎通の所作みたいなところ。積極的に質問があるかどうか。分からないことがあったら何でも聞き、やってみたいということがあったら前向きな姿勢を見せて」
京都から参加した福祉学科3回生の女子学生は「このフェアに来てみたら、すごくアットホームな感じで、硬い、きついという福祉のイメージが変わった。障害のある人、お年寄り、子どもたちも含め、世話をする人たちは大変だというイメージは確かにあるが、それ以上に、人と人との関わりの中でのやりがい、というものがあるのだということが、すごく伝わってきた。福祉の仕事に就きたいと今日よりいっそう思った」と感想を述べました。
また福祉科学大学の2回生で4月から新3回生になるという男子学生2人は「全体説明会を聞いて本当に活気あふれる、明るく、楽しい職場なのだという印象を受け、親近感を感じた。現実に働いてみると、それだけでは済まないのかもしれないが、自分もこういう業界で生きていくのだ、という決意と挑戦する意欲が、あらためて高まった」と話しました。
東京での催しは27日正午から、東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル 2階/3階で開催。30法人が出展する見込みです。
- 関連記事
- 4月4日は「よーしの日」、養子の日キャンペーンに川嶋あいさん登壇
- 「認知症地域ネットワークフォーラム」横浜で開催
- 家族それぞれの自立をめざして~親あるうちに~
- 犯罪被害者の子どもたちへの奨学金、4月1日から給付型に
- ソーシャルイノベーション関連記事一覧