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養子縁組家庭の子ども、70%が「自分自身に満足」 (2016/12/16 日本財団)

養親も積極的にかかわり
日本財団が養子縁組アンケート

養子縁組家庭では養親が子どもに積極的にかかわり、子どもも一般家庭の全国平均より高い70%が自分自身に満足している―。特別養子縁組の普及に取り組む日本財団が2つの民間養子縁組団体の協力で実施した「養子縁組家庭に関するアンケート調査」でこんな結果がまとまり、「養子縁組あっせん法」が可決・成立した12月9日、公式サイトなどに公開しました。

調査は今年8月、養子縁組で子どもを迎えた263世帯に調査票を送り、全体で170世帯から回答が寄せられました。内訳は親からの回答が168票、子ども(対象は10歳以上)が89票。養子縁組家庭に対する調査は、真実告知の有無や養子縁組が成立した後の家庭へのアクセスが難しく、養親の職業生活状況や養子となった子どもの生活状況に関する調査が行われたのは31年振り、子どもが直接、調査に回答を寄せるのは今回が初めてということです。

主な調査結果をまず【親調査】で見ると、子どもの養育開始年齢は0歳が38.4%と最も多く、次いで1歳が26.2%、2歳が12.8%。全体の平均は1.49歳。現在の年齢は13歳を筆頭に平均9.4歳となっており、80.1%の養親が既に育ての親である旨の「真実告知」をしています。子どもの心身の状況に関しては85.7%が「障害等はない」、14.3%が「障害等がある(医師の診断を受けている)」と答えています。

「子どもが小さいころ、絵本の読み聞かせをした?」との問いには68.5%が「あてはまる」、26.2%が「どちらかといえばあてはまる」と答え、文部科学省が2013年に実施した全国学力・学習状況調査での双方の合計数字が70%前後だったのに比べ、20%近く高い数字となっています。

子どもの学業の状況は、「特に問題ない」が63.0%と最も高く、次いで、「遅れがある(18.1%)」、「すぐれている(17.3%)」の順。子どもの通学状況は「普通に通学している」が97.6%で、厚生労働省が2013年に実施した「児童養護施設入所児童等調査結果」と比べ、いずれも高い数字となっています(図1)。

図1:【今回調査と児童養護施設等に入所している児童等の比較】(クリックで拡大します)

図1:【今回調査と児童養護施設等に入所している児童等の比較】(クリックで拡大します)

一方、【子ども調査】では、「自分自身に満足している?」の問いに25.8%が「そう思う」、44.9%が、「どちらかといえばそう思う」と約70%が肯定的な回答を寄せ、双方の合計が46.5%だった2011年の内閣府調査に比べ自己肯定感が高い数字がとなっている(図2)。養子縁組家庭は、経済面・精神面・生活面でも子どもに、おおむね良好な養育環境を提供できている、との結果も出ており、安定した生活環境が子どもの自己肯定感の高さにつながっていることを、うかがわせています。

内閣府の親と子の生活意識調査との比較

図2:【内閣府の親と子の生活意識調査との比較】(クリックで拡大します)

日本では生みの親の元で育つことができない子どもが4万人以上に上っていますが、そうした子どもたちに恒久的な家庭を提供する特別養子縁組の成立は2015年で544件(司法統計)と欧米などに比べ極めて低い数字にとどまっています。

このため国は今年6月、公布された改正児童福祉法で、これまで自治体によって取り組みに差があった養子縁組里親を都道府県(児童相談所)の業務として位置付ける一方、今月9日に成立した養子縁組あっせん法(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律)では養子縁組を届け出制から許可制に切り替え、質の向上を目指しています。

過去、同種調査としては、池田由子著「乳児院収容児の長期予後調査的研究―1―里子・養子になった子どもたちの予後について」(精神衛生研究28、1981年)、家庭養護促進協会神戸事務所「成人里子の生活と意識―里親家庭における親と子の追跡調査報告」(1984年)、同大阪事務所「委託後10年以上を経過する養子・里子の予後調査報告」があります。また日本財団では今後、15才以上の子どもがいる養子縁組家庭を対象にした調査も予定しているとのことです。

●ハッピーゆりかご プロジェクト ウェブサイト
●日本財団ハッピーゆりかごプロジェクト~子どもたちにあたたかい家庭を~

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