政治家、政党ともに、求められているのは「実行力」
第7回政治山調査「2012年衆議院議員選挙に関する意識調査」(1/3) (2012/12/07 政治山)
政治山では12月5日、ネット意識調査サービス「政治山リサーチ」を利用し、全国の20歳以上の男女を対象に、投票先を選ぶ際に重視するポイントや第3極への期待などの意識調査を実施した。回答者は1,118人。調査の結果、候補者と政党ともに、投票先を決める際に実行力が重視されることが分かった。また、第6回政治山調査に続き今回も、「ソーシャルメディア分析」を実施。争点関連のキーワードがSNS上でどう語られているかを調査・解析したので併せてお伝えする。(2012/12/07政治山)
[調査結果] 「ネット意識調査」2ページ目へ/「ソーシャルメディア分析」へ
[調査概要] 調査方法や回答者属性はこちらをご覧ください。
[関連ページ] 第6回政治山調査「2012年東京都知事選に関する意識調査」(2012/11/28)
/ 第5回政治山調査「都知事選・衆院選に関する<緊急>意識調査」(2012/10/31)
支持政党、自民・維新が伸長、民主はダウン
今回の調査ではまず、現在の支持政党を聞いた(グラフ1)。参考に、衆議院解散後の政治山調査(第6回、11月22~26日)の結果と合わせて見てみよう。なお、前回(第6回)は東京都選挙に関する意識調査で対象が都内在住者だったため、全国を対象とした今回の調査結果とは単純比較ができないことをお断りしておく。
支持政党の順位は前回と同様だったが、比率に変化が見られた。自民党が(前回15.4%→今回18.9%)と日本維新の会(8.8%→11.5%)が支持を伸ばし、民主党(6.1%→5.8%)が微減となった。日本未来の党は3.7%の支持を集め、国民の生活が第一を前身とすると2.9%から微増している。「支持政党なし」が54.0%から48.7%に減少しているのも注目される。
前回調査と単純比較できないとは言え、依然としていわゆる“無党派層”が約半数を占めている。新聞各紙が自民党の優勢を伝えているが、今後の戦い方次第では、まだ状況は変化する可能性を大いにはらんでいると言えそうだ。
候補者選びは、「実行力」と「政策」
次に、候補者を選ぶ際に重視するポイントを聞いた(グラフ2)。この設問では、選択肢の中から3つ選んでいただく方法で回答を得た。
その結果、「実行力・行動力」(57.0%)、「政策・提言」(51.3%)の2つが飛び抜け、ともに5割を超えた。続いて、「将来ビジョン」 (24.8%)、「リーダーシップ」(23.8%)「発言力・影響力」(20.4%)までが20%台で並んている。これは、いわゆる“強い政治家”“姿の見える政治家”が求められいることの現れだろうか。
以下は、「人柄」(19.8%)、「所属政党・会派」(16.8%)、「実績・経験」(16.0%)と、候補者自身の“中身”に注目する内容が挙げられていた。この他の項目は、10%を切っており、ここにあげた9項目が投票先を選ぶ際に特に注目されるポイントとなっていると言えそうだ。
「政策実現力」と「政策の柱」で支持政党を決める
では、政党を選ぶ際に注目するのはどのようなポイントなのだろう。支持政党や比例区の投票先を決めるときに重視する点を聞いた結果がグラフ3である(択一式)。
重視される割合が一番高かったのは、「政策実現力」で23.0%。次に、「何を政策の柱としているか」(20.1%)。この2つが20%を超え た。10%台は「主義・主張」(12.2%)と「マニフェスト(公約)」(11.0%)の2つ。この4つで約2/3を占める結果となった。
これは、主張や公約の内容そのものより、それを「政策実現力」によって“いかに実現するか”が求められていると読み解くこともできそうだ。また、そのために「官僚と戦えるか」(7.8%)や「実績・経験」(6.0%)が問われているのではないだろうか。
争点は、生活に直結する問題と安全保障を重視
では、候補者や政党が打ち出しているマニフェスト(公約)や政策の中で、どの項目を重視するかを5段階で聞いた設問の結果を見てみよう(グラフ4)。
ここで「かなり重視する」「重視する」の割合が最も多かったのは「景気・雇用対策」だった(47.7%、39.8%)。2つを合わせると87.5%となり、実に9割近くの人が「重視」していることが分かった。この項目は「かなり重視する」を選択する人が半数近くにのぼり、注目度の高さをうかがわせる。次に「重視」が多かったのは、「社会保障」でそれぞれ32.6%、48.0%で計80.6%。こちらも、日本社会全体が長年抱える課題であり、生活に密着する問題である点が共通している。
3番目に「重視」が多かったのは「外交・安全保障」だった(30.4%、45.3%、計75.7%)。こちらも大きな政治的課題である。従来から存在した問題ではあるが、2012年に沖縄県・尖閣諸島や島根県・竹島関連で立て続けに事象が発生したことも影響していると考えることができる。
また、今回の選挙でメディアなどが主な争点としてきた「TPP参加」「消費増税」「憲法改正」「原発問題」の4つは、意外にも「重視」で見るとそれほど多くの割合を示したわけではなかった。特に、「TPP参加」と「憲法改正」は「どちらでもない」が4割近くとなり(それぞれ40.5%、 38.0%)、メディアが取り上げるほど注目されていない可能性を示した。また、「憲法改正」も「あまり重視しない」「重視しない」の合計が15.8%だった。
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ここまでは、投票前に重視するポイントなどを調査してきた。次ページでは、政権の望ましい枠組みや第3極や新政党に期待することなどを聞いた調査結果をご紹介する。有権者は、第3極に何を期待し、どんな役割を求めているのか。興味深い結果となった。
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