政治家、政党ともに、求められているのは「実行力」
第7回政治山調査「2012年衆議院議員選挙に関する意識調査」(2/3) (2012/12/07 政治山)
ここでは、選挙後の政権の“理想の枠組み”を聞いた結果と、第3極に期待することを聞いた調査結果をお伝えする。また、現在の混沌とした状況を生んだ新政党の立ち上げや政党の合流・連携といった流れを、有権者がどう評価したかも併せてご紹介する。
「政界再編による新たな枠組み」がトップ
今回の調査では、「選挙後の望ましい政権の枠組みはどれですか?」として、今後どのような政権に政府を運営してもらいたいかを聞いた。結果はグラフ5である(択一式)。
最も多かったのは、政権を担う政党を特定しない回答である「政界再編による新たな枠組み」で、27.6%と全体の1/4を超える支持を集めた。2番目に多かった回答が14.8%(後述)であることから、倍近い人が回答したことになる。他の選択肢をご覧いただければ分かるが、この回答は、既存政党やこれまでの政権運営ではない別な枠組みを期待している、もしくは望んでいると言うことができないだろうか。
では、政党名をあげた選択肢でどの組み合わせが多くの回答を集めたかを見てみると、「自民党・公明党・日本維新の会の連携」が14.8%でトップとなった。次に、11.7%の「自民党・公明党中心」、10.1%の「日本維新の会中心」の順となる。この3つを合計すると36.6%。1/3以上の人が自・公・維の保守系政権の誕生を期待していることになる。
では、政権与党だった民主党への期待はどうだったか。結果、民主党が関連した選択肢はどれも10%を超えることはなかった。中でも、最も多かったのが「民主党・自民党・公明党の連携」の6.3%。民主党関連の回答を合計しても15.1%である。民主党にとっては厳しい結果である。
第3極に「何も期待しない」が1/4
次に、台風の目となると目されている「第3極に期待すること」を聞いた設問の回答をまとめたグラフ6を見てみよう。ここでは、政党名を特定せず「第3極」とのみ表記して期待の内容を選択していただいた(択一式)。
最も多く選ばれたのは「何も期待しない」だった。割合は25.8%。1/4を超える人が第3極に対する期待を持っていないという結果となった。また、「政策・法案ごとの是々非々での参加」が23.6%、「政権外からの監視役」が16.5%と続き、これは約2/3の人が第3極の積極的な政権参加を期待していないことになる。
逆に、政権運営への参加を期待する3つの選択肢(「政権運営の中心的役割」「政権運営のサポート役」「政権運営のキャスティングボートの役割」)で見ると、「政権運営の中心的役割」が12.3%で最多となった。
「その他」を選んだ人にその理由を自由記述していただいたが、「邪魔をしないでほしい」「引っ掻き回さないこと」といった否定的な意見があった一方で、「変革」「既成政治の破壊」「政権への提案」といった選択肢以上の期待を書き込む人も見られた。
政党合流、有権者は理解を示さず
こうした第3極への期待と不信が混在する状況は、衆議院解散に前後して起こった新政党の立ち上げや合流などの一連の動きも背景にあった可能性がある。グラフ7は、こうした第3極の動きに対する評価である(択一式)。
結果は、「主張や考え方が違う政党が合流するのはおかしい」(35.1%)という意見が最多となった。続いて「票が分散し、民意が届きにくくなるのでよくない」で19.7%、さらに「有権者が混乱するのでよくない」が15.7%となり、否定的な意見が上位3つを占めた。これら3項目で、実に70.5%である。
一方の肯定的な意見では、「既存政党にとらわれない動きなので歓迎」が15.3%となった以外は10%を切り、低調な結果となっている。自由記述の「その他」でも肯定的な意見は少なく、「民意を無視した政治家の愚行」「何がしたいのかよくわからない」「選挙に勝つための合流は賛同できない」など厳しい言葉が並んでいた。
離党議員に厳しい評価
では、時を同じくして(衆議院解散に前後)見られた、自らの意思による離党の動きは、どう評価されたのだろうか。これをまとめたのはグラフ8である(択一式)。結果は非常に厳しいものになった。
最も多く選択されたのは、27.1%の「あまりいい印象はない」だった。さらに、25.1%もの人が「節操がない・情けない」を選び、「有権者への裏切りだと思う」も9.8%に達している。この3つで62.0%を占め、離党の意図が有権者に届いておらず、理解を得られていない状況が浮き彫りになった。
一方、肯定的な意見は、「自分の目指す政策を実現するためなら賛成」「政党と意見が合わなくなったのだから賛成」「選挙に勝つための戦略なので賛成」が順に15.3%、6.3%、3.9%となり、全体で約1/3が賛成意見だった。
8割近くが「投票に行く」
最後に、12月16日に投票に行くかを聞いた。結果はグラフ9の通りである。実に、51.7%が「必ず行く」と回答。さらに、25.6%が「行くつもり」としていることから、すでに行く意思を持っている人が8割近くにのぼることが分かる。また、「行かない」が6.4%と少数だったことから、全体の9割以上が投票に行く可能性を示唆したことになる。これは、今回の選挙の注目度がいかに高いかを物語る結果だ。
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ここまでは、「政治山リサーチ」によるネット意識調査の結果をご報告してきた。ここからは、TwitterをはじめとするSNSで今回の選挙に関連したキーワードがどのように語られ、伝播しているかを分析していく。
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