第45回政治山調査
ネット投票で選挙はどう変わる?「ネガティブ投票」「連記式」に関心 (2018/9/5 政治山)
総務省の「投票環境の向上方策等に関する研究会」は成果を7月にまとめ、8月に報告書を公表しました。同研究会では障害者や海外在住者の投票環境や選挙事務の効率化などが検討され、提言では在外邦人のインターネット投票について2019年にも実証事業を行うとしています。
インターネット投票が導入され、本人確認や投票、開票や集計が電子化されると、紙の投票では難しかった様々な「投票方式」に柔軟に対応することができるようになります。現在の公職選挙では「1人1票1回」が原則とされていますが、実際にはどのような「投票方式」に関心があるのでしょうか。
政治山では、全国の18歳以上の男女を対象に8月20日から30日まで、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数1,052人)。
5人に1人が「マイナス票を投じたい」と回答
本調査では、以下の11の投票方式についての考えを問い、あわせてその理由を尋ねました。
実施すべきと回答した人がもっとも多かったのは、「マイナス票を投じられる(ネガティブ投票)」(19.2%)で、検討すべきと答えた人(27.9%)と合わせて半数近くが肯定的な考えを示しました(グラフ)。
相次ぐ不祥事や不適切な言動などから、「この人は議員に相応しくない」と考え、その意思表示のためなら投票したいと考えている人が多いことがうかがえました。
子どもの選挙権を親が行使する「ドメイン投票」は不評
反対に実施すべきでないと回答した人がもっとも多かったのは、「子どもの分の選挙権を親権者が行使できる(ドメイン投票)」(61.1%)で、実施すべき(4.7%)及び検討すべき(10.6%)と答えた人を大きく上回りました。
また、「年齢が若い人ほど1票の価値が重くなる(投票ポイント寿命比例制)」については、実施すべき(12.1%)と回答した人は例示した投票方式の中では2番目の多さとなりましたが、実施すべきでない(43.7%)と答えた人も2番目に多く、意見が大きく分かれました。
本調査では、設問ごとに回答者の属性とのクロス分析を行っていますが、年代や性別によって考え方が大きく異なることもうかがえました。インターネット投票の検討を通じて、選挙や投票のあり方、そして議会や議員の役割についても、改めて考える機会となりそうです。
※調査結果の詳細は、9月8日(土)に東京・渋谷の青山学院大学で開催される「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2018」の分科会「何してるのよ政治家 不満の声をカタチにしよう」で紹介予定です。分科会はオンラインでの視聴が可能で、インターネット投票も体験できます。
本調査レポートについて
今回は調査の概要をご紹介しましたが、本調査レポートには上記以外のクロス集計分析や自由記述回答なども記載しています。政治山の会員ページから無料でご覧いただけますので、ぜひご利用ください。
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