東京都知事選2020
都知事選候補者の顔認証アプリ、withコロナの情報発信の一助に (2020/7/29 政治山)
本サイト「政治山」を運営する株式会社VOTE FORは、7月5日に行われた東京都知事選において、sVision Corporation(本社:米国デラウェア州、菅原宏明代表、以下「sVision」)と協力して、顔認証システムと連携した候補者情報の配信を実施しました。今回は政治山調査特別編として、その結果をレポートします。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、選挙のあり方も見直しが進む中、街頭活動や演説会など候補者と有権者の接点が減り、投票判断の材料となる候補者情報に接する機会も少なくなることは、候補者と有権者双方にとって重要な課題となっています。
そこで、国内すべての選挙情報を網羅し、正確な候補者情報を提供してきた「政治山」のデータベースと、sVisionが提供する顔認証アプリ「Name Vision」を連携し、候補者の顔を認証するとプロフィールや政策、マニフェストなどを参照できるサービスの実証が行われました。
このサービスは6月22日から7月5日まで提供され、延べ9050回の顔認証が行われました。その多くは街頭に貼り出された選挙ポスターや配布された選挙公報の顔写真を読み取って行われましたが、テレビや新聞から取得した顔画像による認証も一部で行われました。
日別で見てみると、認証回数が最も多かったのは6月25日の2579回で、以下6月26日1347回、6月27日971回と続きました。時間帯別では、13時台の877回が最も多く、12時台738回、6時台668回と続きました。
9050回の顔認証のうち、都知事選の候補者として認識されデータベースが参照された回数は1091回で、候補者ごとの比率は小池百合子氏の20.53%が最も高く、僅差で山本太郎氏20.16%、少し開いて宇都宮健児氏7.14%が続きました。
顔認証を用いた選挙情報の配信については、小野泰輔氏(吉村洋文大阪府知事と)や立花孝志氏(籠池泰典氏と)のように2連ポスターを用いた場合や、ホリエモン新党の候補者のように自身の顔写真を用いない場合などの対応を検討する必要があることが明らかとなりました。
また、認証に用いる顔画像によっては、候補者データベースにヒットしなかったり、別の候補者を表示するようなケースも散見され、公正公平な情報発信として用いるには課題があることも確認されました。
利用者からは、「選挙管理委員会からも、このような新しい情報発信を行ってもらいたい」(40代男性)という期待や、「自分の顔写真で認証して、似ている(とAIが判断した)候補者情報を見てみた」(20代女性)といった声も聞かれました。
政党関係者や現職議員からの問い合わせもあったとのことで、今後は選挙全体の情報発信だけでなく、候補者等がそれぞれの活動や理念をPRするツールとして活用されるシーンも想定されます。
“3密”を避けた選挙運動や投票所の運営など、コロナ禍がもたらした“新しい生活様式”において選挙や投票のあり方も変わっていきます。候補者の情報発信の機会が担保され、有権者も必要な情報に触れられる環境が整うよう、様々な工夫が求められています。
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