第8回政治山調査「ネット選挙とSNSに関する意識調査」(3/4)  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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選挙情報取得にネットは不可欠、ネット選挙に大きな期待

第8回政治山調査「ネット選挙とSNSに関する意識調査」(3/4) (2013/3/15政治山)

関連ワード : SNS ネット選挙 調査 

ネット選挙が解禁される見通しとなり、報道で取り上げられる機会も増えてきた。では、一般の有権者はネット選挙をどのように捉えているのだろうか? ここでは、ネット選挙そのものに対する捉え方や意見を調査した。

「ネット選挙」への関心が高まる傾向

 ひと言で「ネット選挙」と言っても、さまざまな捉え方があることは、ネット選挙に関する意識調査を行った「第4回政治山調査」(2012年5月実施)で明らかになっている。その際は、「ネット選挙」聞いて想像することとして「インターネットを利用した選挙運動」(45.5%)、「インターネットを利用した投票行為」(60.7%)、「インターネットを利用した行政による情報提供(選挙公報など)」(34.6%)という結果を得た。また、同じ調査でそれぞれの賛否も集計している。

グラフ7 そこで今回も同様に、「ネット選挙」の種類それぞれについての賛否を聞いた(Q7)。その結果をまとめたのがグラフ7である。まず「インターネットを利用した選挙」だが、これは現在、いわゆる「ネット選挙」と言われているものである。この「賛成」と「どちらかというと賛成」の合計は75.6%と、3/4を超えた。「第4回」は、賛成派は計74.2%だったことから、微増といったところか。

 一方、「インターネットを利用した投票行為」を見てみると、今回の賛成派は計66.7%。前回は69.9%だったことから、こちらは減少に転じている。これは、積極的な「賛成」が26.8%から31.7%に増加した一方で、「どちらかというと賛成」が43.1%から35.0%へ大きく減少したことが響いている。ネット選挙の全面解禁に期待が膨らんだ半面、危険性も周知されたとで、判断をつけやすくなった可能性も考えられる。

 「第4回」と比べ、大きな動きを見せたのが「インターネットを利用した行政による情報提供(選挙公報など)」である。「第4回」では賛成派は計73.5%だったが今回、これが85.8%に拡大した。賛成派の割合は最大である。こちらも、前回の調査に比べ、ネット選挙関連の情報が周知され、知識が広まってきた可能性を示す結果と言えそうだ。

ネットならではの情報取得に期待

グラフ8 次に、ネット選挙(インターネットを利用した選挙運動)が解禁された場合、どのような活用方法を期待するかを聞いた(グラフ8、複数回答可)。

 ここで約6割の人が選択した「場所・時間を問わず、自分のタイミングで情報を得たい」(59.2%)が最多となった。これはインターネットならでは使い方であり、ネット選挙解禁の情報の受け手(=有権者)にとってのメリットの1つと言える。このことは、4番目に多かった「最新の情報を迅速に得たい」(39.5%)にも当てはまることだ。

 2番目に多かったのは「候補者のプロフィールや政策などを比較したい」で、53.8%の回答を得た。次いで、「公的情報(選挙公報など)をじっくり検討したい」が43.7%となったが、これら2つは現在でも可能ではある。しかし、ネット選挙解禁後の候補者からの積極的な情報発信や、インターネットを利用することで情報取得がより安易になるとの期待が込められていると見ることもできそうだ。

 このほかの回答は「自分好みの多様な情報を得たい」(25.7%)、「候補者の動向(演説日程や行動予定)を把握したい」(20.7%)が20%台で続き、13.2%ながら「候補者とコミュニケーションを取りたい」というこれまでの選挙戦ではなかった、ネット選挙の可能性を広げる利用方法に回答があった。

 ネット選挙はまだ法案の詳細が明らかになっていないが、一方的な情報発信だけでなく、インターネットを使った双方向のコミュニケーションが可能になれば、選挙活動に大きな変化と効果をもたらすはずだ。こうした使い方が広がれば、投票率などにもいい影響があるのではないだろうか。

「改ざん」「なりすまし」」に懸念

グラフ9 ネット選挙が解禁された場合に考えられる弊害を聞いたのがグラフ9である(複数回答可)。ここで、最も懸念されたのが「データの改ざんやいたずらなど」で65.5%を占めた。次いで、「候補者へのなりすまし」が62.0%。また「候補者が意図していない、望んでいない情報の拡散」も41.4%が選択している。これらはもともとあったインターネットの“負”の部分であり、ネット選挙解禁の問題点と指摘されているが、有権者も「ニセ情報」への懸念を示した格好だ。「第4回政治山調査」では、設問設定が異なるものの、これら項目は59.8%だったことからも、認知度が上がってきていることがうかがえる。

 3番目に多かったのは58.0%の「迷惑メールなど、不必要な情報の増加」という受け取り手にとって“実害”となる項目だった。ここでの「不必要な情報」の発信元には候補者や政党からのものも含まれると考えていいだろう。ネット選挙解禁で情報発信をする際も、闇雲にやっていては逆効果になる可能性を示しているとも言えそうだ。この項目も「第4回」の55.0%から増加している。

 また、「受信側(有権者)の理解や習熟度による格差」(35.0%)、「発信側(候補者)の理解や習熟度による格差」(39.9%)という、いわゆる「デジタルデバイド」を挙げる人もそれぞれ3割前後に達した。ネット選挙解禁で生じる不公平がへの懸念が広がっていることが分かった。

サービスと信用度によって異なる懸念材料

 ここで、Q9で聞いたネット選挙解禁で懸念される弊害で回答が多かった4つ「なりすまし」「データの改ざんやいたずら」「望んでいない情報の拡散」「迷惑メール」について、Q6の各サービスをどの程度、信用しているかに対する回答を軸に集計してみた(グラフ9A)。Q6の各サービスは、「ホームページ+ブログ」「フェイスブック+ツイッター」「メールマガジン」に集約して計算した。なお、各サービスを「利用してない」と回答した人は除外している。

 まず「ホームページ+ブログ」から見ていこう。ホームページやブログを「とても信用している」人の懸念は迷惑メールの増加だった(66.7%)。一方、「内容によって判断」「書いた人による」とした人は、「データの改ざん」(68.8%、67.1%)と「なりすまし」(64.1%、62.8%)を懸念材料に上げている。情報を鵜呑みにしないとは言え、なりすましや改ざんを見抜くのは難しい。懸念は当然と言える。

 次に、フェイスブックやツイッターなどのSNSへの信用度を分析してみると、ここでも同様の傾向となった。ただ、「ほとんど信用していない」とした人が、他と比べ「なりすまし」(67.1%)と「改ざん」(63.6%)を強く懸念していることが分かった。実際にツイッターなどはすでに、なりすましの実例があるので、特に懸念されているようだ。

 最後にメールマガジンに関する集計を見てみる。ここでも、「なりすまし」と「改ざん」が大きな懸念材料になっている。また、迷惑メールがすべての項目で6割近くを示すなど、やはりメール関連への不安が目立っていた。

◇     ◇     ◇

 ここまでの調査で、ネット選挙に関連する情報が浸透し、関心が高まっていることが分かった。では、そのネット選挙が今後の政治にどのような影響を与えるのだろうか? 次ページでは、ネット選挙解禁で、有権者の参政意識がどのように変化するかを調べた。

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