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第4回政治山調査「ネット選挙に関する意識調査」【分析】Part1(2012/05/30 政治山)

 政治山は5月18~20日の3日間、「ネット選挙」に関する意識調査をインターネットと電話を使い実施した。その結果、ネット選挙解禁に向けたさまざまな課題が浮き彫りになった。先日、「第4回政治山調査『ネット選挙に関する意識調査』」を速報としてお伝えしたが、ここでは同調査のさらに詳細な分析結果をお届けする。
[関連ページ] 特集:ネット選挙 / 第4回政治山調査「ネット選挙に関する意識調査」

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 今回の政治山調査では、弊社によるインターネットリサーチと、株式会社ジー・エフによる電話調査を同時に行なった。それぞれで「ネット選挙」に関する認識と意識の差を知ることが目的だったが、想定以上に有意な結果が得られた。なお、各設問や今回触れていない結果については、「第4回政治山調査『ネット選挙に関する意識調査』」を参照いただきたい。

ネットユーザーの多くが「ネット選挙」=「ネット投票」

「インターネット選挙」という言葉から想像すること(グラフ1、表1、グラフ2)

 それではまず、ネット調査の結果から見ていこう。「『インターネット選挙』という言葉から想像すること」を聞いたQ3(複数回答可)では、60.7%が「インターネットを利用した投票行為」と回答し、多くのネットユーザーが「ネット選挙=ネット投票」と考えていることがわかった(グラフ1)。続いて、「インターネットを利用した選挙活動」(45.5%)、「インターネットを利用した行政による情報提供」(34.6%)という順になっているが、これは現状での「ネット選挙解禁」に向けた実現可能性という観点から見ると、順番が逆になっている。

 次に、Q3の選択がどのように選ばれたかを見てみる(表1、グラフ2)。複数回答可だったため選び方は、「その他」を除くと7通りの組み合わせがあったが、もっとも多かったのが約4割の人を集めた「投票行為」の単一回答だった(39.3%)。重複回答も含めると全体で6割がこの項目を選んでいるため、選択者全体の約2/3が他の項目ではなく、「投票行為」をイメージしたことになる。

 さらに、「選挙活動」が17.8%、「行政による情報提供」が12.0%で続いた。複数回答を行った人は29.6%だったが、この中で「投票行為」を除外(「選挙活動」と「行政による情報提供」のみを選択)した人は8.3%となっている。

 これらの結果から、多くの人が「ネット選挙解禁」とは「ネット投票の実現」と位置づけており、現在の進捗を考えると、「真の意味でのネット選挙解禁」まではまだ遠いといったところだろうか。

ネット選挙「賛成」の中にも多様な意識?

 Q3でネット選挙に関するイメージを回答した人が、次のQ4「ネット選挙への賛否」をどう考えているかを、回答ごとに見ていこう(グラフ3。詳細な設問はこちら)。

「ネット選挙」という言葉に対するイメージ別のネット選挙への賛否(グラフ3、グラフ4A、グラフ4B、グラフ4C)

 Q3で「選挙活動」を選んだ人の賛否を集計したのがグラフ4Aだ。約3/4が「賛成」「どちらかというと賛成」と回答し、ほかの設問に比べ高い比率を示した。中でも積極的な賛同である「賛成」を選んだ人が27.1%となっており、3回答でもっとも高い数字となった。

 次に、Q3で「投票行為」をイメージした人の結果だが、こちらは賛成派の中の「どちらかというと賛成」の割合が低く、3つの中で唯一、「賛成」との合計が7割を切っている(グラフ4B)。しかし、より積極的な「賛成」が26.8%と、「選挙活動」のそれに迫る数字を示しており、特徴的な結果となった。

 この集計をさらに詳細に見てみると、「どちらかというと反対」が3つの中でもっとも多いことがわかる。先ほど、「ネット投票」に多くの人が期待していることがわかり、「投票行為」を選んだ人は積極的な賛成が多いとも想定できるが、必ずしもそうとは言えない結果になっている。

 その理由は、Q4の自由解答欄に見ることができそうだ。「インフラ整備と規約次第」「インターネットを利用できない高齢者もいるので、どちらとも決められない」「不正が起こりやすそう」など、現在、議論されている問題点(環境、デジタルデバイド、セキュリティ)に不安を感じていることがわかる。こうした問題に対し、具体的な解決策がわかりやすく示されていないことが、今回の結果に結びついたとも考えることができそうだ。

 また、Q3で「行政による情報提供」を選んだ人の賛否も特徴的だ(グラフ4C)。消極的賛同である「どちらかという賛成」が半数を超えている。実は、重複回答ではなく「行政による情報提供」を単一で選んだ人の「どちらかという賛成」は53.9%にも達している(その際の「賛成」は9.2%)。行政による情報発信に関しても、制度やルール策定に関し、いまだクリアされていない部分を感じているのではないだろうか。

電話調査はネットに対する認識の違いが顕著

 それでは、Q3とQ4の電話調査の結果を見ていくことにしよう。ここではネット調査との違いが明確になり、ネット選挙解禁に向けた課題が浮き彫りになった。

「インターネット選挙」という言葉から想像すること(グラフ5)、「ネット選挙」という言葉に対するイメージ別のネット選挙への賛否(グラフ6A、グラフ6B、グラフ6C、グラフ6D、グラフ6E)

 5月24日の「第4回政治山調査」でお伝えしたQ3(択一回答)の結果をあらためて見てみると、その違いは一目瞭然だ(グラフ5)。「連想するものはない」と「わからない」が66.7%。電話調査では、「ネット選挙」そのものの認識が薄いことがわかる。

 この2つの選択肢はネット調査にはない項目だが、ネット調査の「その他」に該当し、電話調査向けに用意したものだ。ある程度の回答数は予想していたが、約2/3がここに集中するとは想定していなかった。電話調査では、対象者を50代以上に設定したことも影響したと考えられる。とは言え、今回の調査の「Q7.普段投票に行っていますか」で「毎回行く」と、条件付きながら「行く」の合計が9割を超えた世代だけに、ネット選挙実現に向け無視はできない。

 次に、Q4でネット選挙への賛否を聞いてみたところ、顕著な違いが現れた(グラフ6A、6B、6C)。Q3で「選挙活動」「投票行為」「行政による情報提供」のいずれかを選んだ人は33.3%。各設問で「賛否」と「どちらかというと賛否」を選択した人はいずれも6割を超え、ネット調査に迫る割合となっている。特に「選挙活動」と回答した人の中では、43.5%の人が積極的な賛同である「賛成」を選んだ。これは、ネット調査にもなかった高い割合である。

 Q3で「選挙活動」、Q4で「賛成」を選んだ27人の詳細は、男性23人、女性4人で、50代が12人、60代8人、70代以上7人。そして、1人を除いた26人がQ7で「毎回毎回欠かさず投票に行く」と回答していた。「賛成」を選んだ理由を聞いたQ5では「候補者に関する多様な情報を得られる」が最多。以後、「候補者と直接的に情報交換できる」「候補者からタイムリーな情報を得られる」が続き、インターネットを積極的に活用しようとする姿勢がうかがえた。

 では、「連想するものはない」と「わからない」と回答した人のはどうだろう(グラフ6D、6E)。そもそも、ネット選挙に関し「連想するものはない」「わからない」としながらも、それぞれで約4割の人が強い否定である「反対」を選択していることが興味深い。

 「反対」の理由を尋ねたQ6で、もっとも多かった理由が「その他」。続いて、Q7の「普段投票に行っていますか?」を見てみると、約9割が「毎回欠かさず投票に行く」と回答。さらに、Q9「インターネットによる投票が解禁された場合、貴方の投票行動は変化しますか?」でも、約9割が「今までどおり投票所に行って投票する」と答えている。ちなみに、その理由を尋ねたQ9の回答でもっとも多かったのは「自分の手で投票用紙に記入したいから」だった。ここからは、選挙に“変化”を望んでいないことが垣間見える。

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 次回は、こうした「賛成」と「反対」の内容と理由、ユーザーの属性と動向などをさらに詳細に報告する。

※政治山では、今回の調査結果分析ページで取り上げてほしい内容(クロス集計や詳細結果など)を募集しています。ご希望は「政治山フェイスブックページ」に「メッセージ」機能を使ってお送りください(対象は、第4回政治山調査です)。なお、ご希望にお応えできない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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