選挙情報取得にネットは不可欠、ネット選挙に大きな期待
第8回政治山調査「ネット選挙とSNSに関する意識調査」(2/4) (2013/3/15政治山)
ネット選挙が解禁された場合、選挙期間中に候補者などが直接、ブログやSNSを使い情報発信することができるようになる。では、そのブログやSNSを有権者はどのように利用し、情報源としてどの程度、信用しているのだろうか?
“情報源”はSNSよりもホームページ、メルマガ
Q5で聞いたのは「あなたは現在、ブログやSNSをどの程度、利用していますか?」。ブログやSNSそれぞれに「よく書き込みをするなど積極的に利用している」から「利用したことがない」まで、利用頻度を聞いた。結果はグラフ5である。
全年齢を通じ、「積極的に利用している」が最も多かったのがフェイスブックの10.8%。ツイッターも9.4%と1割近い回答を得た。この「積極的に利用している」は、“情報発信ツール”としての利用と考えることができる。
一方、「書き込みはあまりしないが、よく読む」という“情報源として利用している”との回答が一番多かったのが「ホームページ」。約1/3となる34.3%が回答した。これに「積極的な利用」を加えると40.1%となり、これはフェイスブックやツイッターなどの「積極的な利用」と「よく読む」、さらに「ときどき読む程度」の3つを合わせた数字と同程度となる(フェイスブック:41.9%、ツイッター:38.2%)。
また、「メールマガジン」は「ときどき」が36.1%と最多となり、「積極的な利用」「よく読む」を合わせると約2/3を占める66.7%という結果となった。「ホームページ」もこの3回答で7割を超える71.5%となり、“情報源”としての利用はフェイスブックやツイッターよりも、ホームページやメルマガの方が支持されているようだ。
FB利用は世代間で差がなく、ツイッターで差が
グラフ5を年代別に見てみたのがグラフ5Aである。ここでは、「ブログ」「ホームページ」「ツイッター」「フェイスブック」「メルマガ」に絞って紹介しよう。まずは、それぞれの「積極的に利用」と「よく読む」に注目して見ていただきたい。
情報発信ツールとして「積極的に利用」している回答で、年代での差があまりなかったのはフェイスブックだった。これはブログでも同じ傾向で、各年代とも10%前後で推移している。ツイッターは、年代が上がるにつれ減少しいった。逆に、年代が上がるほど「積極的に利用」が多くなっていったのが、ホームページである。
次に“情報源”としての位置づけとなる「よく読む」で見てみると、ブログ、ツイッターとフェイスブックは年代が上がるほど減少傾向を見せた。この項目では、ホームページは横ばい、メルマガは年代が上がるほど拡大し、60歳以上では36.9%を占めた。
一方で、「ほとんど利用していない」「利用したことがない」と見てみると、ツイッターとフェイスブックでは、この合計が各年代で5割を超えている。一方で、この2つの項目の合計が低いのは、ブログとホームページの20代~40代、メルマガの40代以上だった。
この結果を見る限り、ネット選挙が解各年代で有効な情報ツールが違っている。どこの層に訴えかけたいかで、使う情報発信ツールを変えていく柔軟性と戦略が必要となってきそうだ。
ネットの情報は「内容」や「書き手」で信頼性を判断
では、こうした“情報発信ツール”をどのように使えば、ネット選挙時代の有効な武器になるのだろうか? 次の設問で、単に情報発信すればいいわけではないことが明らかになった。
Q6では、ブログやSNSの情報をどの程度、信用しているかをサービスごとに聞いた(グラフ6)。その結果、「とても信用している」とした人が1~2%と、わずかしかいないことが分かった。ホームページやフェイスブック、LINE、メルマガなど、ある程度、情報発信者の“身元”がはっきりするサービスについては2%前後だったが、匿名性の高いツイッターやmixiなどは1%を切る結果となった。
「内容によって判断している」と「書いた人(情報発信者)による」という、自身のフィルターによって情報を取捨選択しているとの回答が多かったのは、ホームページ(2つの回答の計77.8%)、メルマガ(同68.3%)、ブログ(同66.7%)だった。
各サービスで同じ傾向を見せたのは、サービスの種類にかかわらず無条件でその内容を信頼する人は少ないということを表していることが分かった。これを見ると、有権者は書き手や内容を吟味したうえで信頼を寄せ、“情報発信ツール”としての役割を期待していると言える。ブログやSNSいったサービスの違いよりも、誰が何を発信しているかが重要となっているようだ。
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ここまでは、ブログやSNSなどのインターネット情報を有権者がどのように利用しているかを調査してきた。次ページでは、「ネット選挙」そのものへの有権者の意識を見ていくことにしよう。