[山梨・韮崎市]韮崎市議会の議会報告会 (2019/6/7 マイ広報紙)
この記事は「広報にらさき 2019年6月号『韮崎市議会「議会報告会」開催のご案内』」を紹介し、コメントしたものです。
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かつては、開催するだけで、「県内市町村議会では初の開催」とニュースにもなった議会報告会。今では、すっかり定着とした取り組みとなったようです。一方で、全国各地の議会で議会報告会が実施されるようになって、なかには開催しても参加者が集まらず、尻すぼみになってしまっているところも出てきているようです。
そんな中でも、工夫を凝らして議会報告会を実施する事例も見られるようになっています。今回ピックアップするのは、そんな工夫を行っている山梨県韮崎市の議会に関する記事です。
韮崎市議会では、市内各地域で議会報告会を実施しているのですが、それぞれの会場で「地区テーマ」を設定しています。
議会報告会では、主に議会での活動や審議事項、議決した事項が議員から説明され、参加者と意見交換も行われます。その際に、議会全般の活動が議題の中心になることもあって、個別具体的なテーマについて十分な説明や意見交換が行えないこともあります。参加者としては、自らに関わりのある具体的なテーマを扱ってほしいところ、議会側としては議会全体の動きを伝えがちで、そこに齟齬が生じてしまうのです。
これだけが参加者が集まらない理由にはならないとは思いますが、議会全体の動きを伝えられても、なかなか一般の人には響かず、「一度は、参加しよう」とか「次も参加しよう」とはなりにくいのが実情ではないでしょうか。
そこで韮崎市議会は、市内6箇所で議会報告会を実施するのですが、それぞれに地区テーマを設定しています。
本年最初に実施される穂坂地区では、「主要地方道韮崎・昇仙峡線の道路整備について」と「上ノ山・穂坂地区工業団地第2期企業誘致について」が地区テーマとなっています。共通テーマとして、「常任委員会の活動報告について」というものが設定されていますので、各会場で、常任委員会の活動報告もなされるのでしょうが、それに合わせて、地区テーマとして個別具体的なテーマが設定されて、それについて説明や意見交換がなされるのです。
このように地区テーマが設定されれば、その地区の方にとって関心があるテーマが取り扱われることになり、参加も促進されることになります。地域の課題がそこで取り上げられれば、議員さんに向けて、意見や提案をしたいと思う住民の方が参加することになるでしょう。
もちろん、議会としては特定の地域の課題だけを解決するというわけにもいきませんので、別の地域の課題についても、例えば常任委員会の活動報告の中では取り扱われることになると思いますが、議会報告会に参加することで、そのような様々な課題を知る機会にもなります。
きっかけは様々で良いとは思いますが、議会報告会を通して議会活動への参加が促進されていくと、地域の課題解決能力も向上していくはずです。
- [筆者]東京工業大学環境・社会理工学院研究員/本田正美
- [参考]広報にらさき 2019年6月号
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