[東京・青梅市]10月の収益事業 (2015/10/9 本田正美)
この記事は「広報おうめ 平成27年10月1日号『10月の収益事業』」を紹介し、コメントしたものです。
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日本では、競馬、競輪、競艇、オートレースといった公営競技が存在しています。それらの公営競技は、地方自治体が施行者となって実施されており、高度経済成長期からバブル崩壊前後までは、その収益金が地方財政に対して多大な貢献を果たしてきました。この収益があったことで建てられた施設も数多く見られるのです。公営競技に対しては、何かと批判も多いのは事実ですが、それぞれの地域で都市の発展や生活の充実に果たしてきた役割は決して小さなものではありません。
しかし、それらの公営競技を施行している自治体でも、施行していること自体を感じる機会が住民にはないこともあるのではないかと思います。特に、競馬場などの施設がその自治体には立地せずに、主催者としてのみ公営競技に関わっているようなところでは、その傾向が顕著なのではないかと思います。
今回取り上げる記事は、青梅市の「10月の収益事業」です。公営競技は、自治体においては、「収益事業」と位置付けられ、この記事にも見られるように、その情報の発信がなされています。
この記事の中にある京王閣競輪は調布市にあります。ですから、おそらく青梅市民の多くは、青梅市が主催者として参画していることを普段はあまり意識されていないはずです。京王閣競輪は、八王子市、武蔵野市、青梅市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市の11市の構成される東京都十一市競輪事業組合が主催者となって開催されていますので、青梅市も構成する自治体の一員であり、最近では、毎年1000万円の配分金を得ています。最盛期には毎年2億円以上の配分があったことを考えると、現在は少ない金額しか得られていませんが、それでも自治体にとっては貴重な収益源となっています。
公営競技の他に宝くじなども自治体の貴重な収益源になっており、広報紙の記事として宝くじの宣伝がなされていることもあります。青梅市の広報紙の記事は、あくまで開催日のお知らせのみですが、それでも「電話投票会員随時募集中」と売り上げにつなげるための文言も加えられており、市としての工夫の跡も見られます。
何よりも、地域に受け入れられてこその公営競技です。今後も、この青梅市の記事にあるように認知の拡大と理解の促進、そして、持続的な売り上げの確保が求められるはずです。
- [著者]島根大学研究機構戦略的研究推進センター特任助教、東京大学大学院情報学環交流研究員 本田正美
- [参考]広報おうめ 平成27年10月1日号