辞めづらい職場をスマートに突破する4つのワザ (2018/12/5 瓦版)
5割が経験アリ。退職慰留をいかに切り抜けるか
人手不足の影響か、昨今は退職も簡単でないようだ。退職代行サービスに問い合わせが殺到するほど、会社を辞めるのが難しくなっている。エン・ジャパンが運営する「ミドルの転職」上の調査では、5割のコンサルタントが「2人に一人が引き留めに合う」と回答。4割のコンサルタントが、悪質な“引き留めハラスメント”の存在を認めている。
円満退社が新天地でのロケットスタートに直結するとすれば、退職時の停滞はテンションも下がり、ひいてはメンタルにダメージさえ負いかねない。人材流動化が加速する中で、その進展を妨げる“留めハラ”。退職代行サービスを使うのも一手だが、自力で突破してこそ、明るい未来をつかみ取れるというモノ。具体的事例から、スマートな引き留め突破法を考察してみる。
そもそもなぜ、会社は引き留めを行うのか。人手不足が背景にあるものの、退職希望者が戦力として重要だからに他ならない。調査でも引き留めに合う確率が高いのは、「後任不在の場合」「プロジェクトが進捗中だから」がトップ2。次いで「役職者」、「みんなに慕われている」となっている。光栄なことに違いはないが、退職を決めた社員はいまの会社では未来がないと感じているから離れる決断をしている。留められても困るのが本音だろう。
立つ鳥跡を濁さず、ができるビジネスパーソンのたしなみ
では、どうすれば引き留め工作をスマートに突破できるのか。例えば、引き留め手段トップの「後任者が見つかるまでなど時期の引き延ばし」(59%)。実はこれが最も困難だ。なぜなら、後任がいつ決まるかは全く読めないからだ。調子よく、後任の決定を待ツことを受諾でもすれば3か月、半年、1年…とどんどん時期が先延ばしされる。すでに内定をもらっていたら、最悪、破談にもなりかねない。この場合は、そういわれた時点で、「3か月までは待ちます」など、退職者側が明確に期日を決めてしまうのが最も懸命だ。
次によくあるのが年収アップの提示。この場合は、「お金の問題じゃないので」と一蹴するのが一番だ。もしもそのアップ額にグラっときたら、改めてなぜ会社を辞めるのかをじっくり考え直し、本当に報酬アップが目的なら受諾するのもありかもしれない。引き留め手段3位の「経営層や上司などからの期待や説得」。これは慎重に検討すべきパターンだ。ポイントはその本気度を見極めること。単に辞められることのマイナスを減らしたいだけなのか、本当に戦力として必要でそこに明確なビジョンをもって引き留めているのか。そこが受諾するか否かの分岐点となる。
これらはまだ正当な引き留めで比較的対処は簡単だが、悪質な場合ももちろんあるだろう。「退職届を受けとらないなど手続きを進めない」。こうした場合は最悪、弁護士に相談することも選択肢として、徹底抗戦が必要になる。上司などによる恫喝を録音するなどで証拠を押さえ、法的措置を検討するのがスマートだ。辞めようという社員にハラスメントをする時点で、会社としての限界が透けてみえ哀れでしかないが、あまりにドン引きした場合にはあっさりと退職代行サービスに丸投げしてしまうのもありかもしれない。
ちなみに、引き留められて転職を思いとどまる人は、8割のコンサルタントが「3割未満」と回答。7割強が引き留めの網を強行突破している。この数字が多いのか少ないのかは微妙な印象だが、一般的には一度辞めると決めた気持ちはなかなか変わるものではない。引き留められてもスマートに対処。円満に退職することが、次の職場で活躍するファーストステップ。それくらいの気持ちで向き合い、きれいに去りたいものだ。
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