先行き不透明な時代に「安定」を確保するキャリア形成とは (2018/11/29 瓦版)
ベンチャーCHROの戦略的JINJI論
「安定を求める」=「大手企業への就職」は過去
先日、東芝が1000人超の大規模な早期退職者の募集を発表しました。事業規模縮小に伴う、大企業のニュースとして話題になりました。この状況は決して東芝だけに限られた話ではないようで、今年の上場企業の事業撤退や縮小は過去最多レベルだそうです。
こうした背景からも考えなければならないのは、これからのキャリア形成についてです。
日本ではまだまだ「安定を求める」=「大手企業への就職」という意識が強く、事実として日本の時価総額トップ企業の顔ぶれは10年前と大きな変化はありません。就職ランキングの上位もいまだに大企業が上位を占めてます。
しかし、前述のようにもはや昔では考えられなかった大手企業の低迷が今では様々なところで耳にするようになりました。「安定を求める」=「大手企業への就職」という方程式は事実上崩壊しつつあるでしょう。「安定とは何なのか」が問われる時代になりました。
一方、世界に目を向けると、時価総額のトップ企業の顔ぶれは大きく変わります。この状況が今後の日本でも大いに起こり得る。そうした事実にもしっかりと目を向けるべきではないでしょうか。
個人のキャリアが重要になる時代にすべきこと
そのために何をすべきなのか。先行き不透明な社会で生き抜くために、どのような会社で、何を意識して個人のキャリア形成をしていくべきなのか。これを考えていきましょう。
考えるべき点は2点あると思います。
- その会社の将来性を魅力と感じるか
- その会社で理想とするキャリアを描けるか
1つ目は、そもそも<会社の成長を信じて迷いなく仕事に取り組めるか>という点が前提としてあります。自身の会社に対してのエンゲージメントが低いと最大のパフォーマンスを発揮できません。だから、「なぜ今私はこの会社で働いているのか。」という点を自身の中でしっかり整理しましょう。もちろんその上で会社がしっかり成長し、その成長の波に乗って、自身も成長していくことが理想であることは言うまでもありません。
2つ目は、<ロールモデルがいるか>という観点で見てもよいかもしれません。上司や先輩にあなたのロールモデルがいれば、根掘り葉掘り聞いてみましょう。どのように今までのキャリアを歩んできたのか。日々の業務判断でも、参考にさせてもらうといいでしょう。
そして、最も大切なのはこの2点を常に意識して実行し続けることです。それさえできれば、自ずとキャリアビジョンが定まり、市場価値の高い人材になり、それが安定というものを会社ではなく自身の価値で築いていくことにつながると私は信じています。
今後、「安定を求める」=「個人のキャリア形成」、つまり、安定の軸が自分自身という要素がこれまで以上に強くなる時代が来るのではないでしょうか。(談)
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<プロフィール>花咲圭祐(はなさき・けいすけ)
1985年生まれ。大阪府出身。2011年、株式会社スタイル・エッジ(代表:金弘厚雄)入社。各種士業クライアントのWebマーケティング支援、コンサルティングなどに従事。その後、グループ会社である株式会社スタイル・エッジREALTYの設立から名古屋・大阪・福岡の支店拡大を経験。現在はスタイル・エッジの執行役員として人事部の統括とスタイル・エッジREALTYの取締役を兼務している。
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