会議室より生産性大? 急増するオフサイトミーティングの効用とは (2018/11/30 瓦版)
あえてオフィスを離れることで得られる価値
職場のムダの象徴ともいえる会議。働き方改革の文脈で多くの企業がその時間短縮に躍起になっている。一方でこうした流れに抗うような新しい会議スタイルが広まりつつある。会議室から離れた遠隔地で会議を行う「オフサイトミーティング(OM)」だ。日本での認知度は低いが、欧米では浸透している新しい会議のカタチ。日本での現状を検証しながらその可能性や今後を展望する。
働き方改革が進むにつれ、日本の会議時間は確実に短くなっている。遠隔地とのミーティングもテレビ会議が珍しくなくなり、そのための出張も激減した。効率化やコストを考慮すれば当然の流れだが、ここへきてその対極ともいえるOMがじわじわ増加している。
「名称としてのOMは日本では表立ってはなかったかもしれませんが、会社から離れた場所で会議をしている企業はこれまでもあったと思います。弊社は2018年6月からサービスを本格スタートしましたが、実際OMという意識はなくそうした会議の実施を検討する中でうちのサービスに辿り着いたという企業も少なくありませんでした」とOM専門の旅行サービス『オフサイト』を運営するアプリ社の法人旅行サービス部統括マネージャーの吉田瑛仁氏は明かす。
同社では、8月ごろから問い合わせが増え始め、10月31日には利用人数ベースで1000人を突破。その勢いは加速している。特徴的なのは、利用企業の7割を外資系が占める点だ。その理由は、OMが欧米発という部分が大きいようだ。用途は、役員ミーティングや新人研修が主流という。「24時間会議をする」と意気込む企業あるそうだ。
社員旅行に替わる新タイプの遠出イベントとして定着も
同社調査によると、職種別ではIT企業が3割弱、人材・広告が2割弱、医療・医薬品などが1.5割弱となっている。利用人数は11人から20人が3.5割強、2~10人が3.5割弱で、多くは都心から2時間圏内での1泊利用という。全てが平日利用で、あくまで通常と異なる場所での業務という位置付けだ。この辺りは減少傾向の社員旅行などに替わる、業務も兼ねた新しいタイプの遠出イベントという意味合いもあるのかもしれない。
リモート会議でもなく、社員旅行でもないOM。あえて移動時間とコストをかけるわけだが、どれほどの効果があるのか…。「利用企業の声で言うと、コミュニケーションが高まるというのが一番です。非日常空間の環境でリフレッシュしながら会議をすることで、より集中し、通常では出づらい発想を引き出しやすいといった声も少なくないですね」(吉田氏)という通り、オフィスに缶詰めでは得られない価値が生み出せることが大きなメリットといえそうだ。もちろん従業員満足度の向上にも貢献する。
昨今は、良くも悪くも仕事とプライベートの境目があいまいになりつつある。OMはまさに仕事とリフレッシュを兼ねており、そうした潮流に合致する。同サービスの利用企業はほぼ100%が満足したと回答していることを踏まえても、コミュニケーション力アップや生産性向上に寄与していることは確かといえ、今後、OMが会議や研修の新トレンドとなる可能性も十分あるかもしれない。
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