チェックインは顔認証!アリババが考える未来のホテルとは 民泊への展開も (2018/10/22 Airstair)
ホテルのチェックインは顔認証で済ませる。中国最大手のEC運営企業のAlibaba(アリババ)が新しいホテルの未来を創ろうとしている。
2018年5月にアリババ金融関連会社のAnt Financial(アントフィナンシャル)は、顔認識スマートロックの普及拡大に向けて中国大手民泊サイトの小猪(シャオジュー)と提携。
2018年10月には、小猪はアリババ会長のジャック・マー氏率いるYunfeng Capital(雲鋒基金)から約340億円(3億ドル)の資金調達を行い、生体認証を活用するスマートホーム技術の開発に資金の一部を充てる。
ホテルや民泊などの宿泊業界で、顔認証を利用したサービス展開に力を注ぐアリババは、どのような「ホテルの未来」を見ているのだろうか?
アリババ、マリオットと共同で顔認証チェックインを導入
アリババは2018年7月、世界最大ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルと共同で、顔認証テクノロジーを活用したチェックインシステムを導入することを発表した。
中国のマリオットホテル2施設(杭州・海南島)で顔認証チェックインサービスを開始し、将来的には顔認証チェックインサービスの世界展開を目指す。
マリオットとアリババが共同で導入する顔認証チェックインサービスは、空港でのチェックインプロセスと似ている。
宿泊客が端末にてパスポートをスキャンし連絡先の詳細を入力すると、顔認識カメラがパスポートを所持している人がそのパスポートの所有者であるかを判別。パスポートと同一人物であることが確証できた段階で、ルームキーを宿泊客に受け渡す。
従来のホテルではこれまでチェックインに少なくとも3分の時間を要し、チェックインのピーク時にはさらに時間かかっていた。顔認証システムの導入により、ホテルのチェックインにかかる時間は60秒以内に短縮されるという。
アリババのスマートスピーカー、マリオットホテル10万室導入へ
アリババは、Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」に対抗するスマートスピーカー「Tmall Genie」(ティーモール・ジニー)を2017年に発表した。できることは他のスマートスピーカー同様、ニュースや天気予報、音楽再生などに対応する。
アリババは自社のスマートスピーカーをホテルへ本格導入するべく、マリオットとジョイントベンチャー設立。South China Morning Postによるとマリオットは、Tmall Genieをホテル10万室に導入する計画であることを明らかにしている。
スマートスピーカーにより、宿泊客に対してホスピタリティのレベルをより一層高めるとともに、人間が接客するシーンを抑える狙いがあるようだ。
アリババ、マリオットと提携し 給仕ロボットをホテルに導入
アリババ・グループのAlibaba AI Labsは2018年9月、ホテル向けの給仕サービス・ロボット「スペース・エッグ」(Space Egg)を発表した。
スペース・エッグは第一弾としてマリオットと提携し「ウェスティン海南島三亜」に導入。客室に備え付けられたスマートスピーカー「Tmall Genie」と連動し、ホテルの宿泊客に対してランドリーサービスや食事の配膳などのインルームダイニングをサポートする。
同ロボットは、素早い反応を可能にする並列コンピューティングやマルチセンサーを搭載。また、セマンティックマップや障害物を認識するオートナビゲーションシステム、エレベーターをコントロールするコミュニケーションシステム、個人認証のための顔認識技術などを搭載。
同ロボットの高さは約90センチメートルで、歩行スピードは秒速1メートルほど。今後は、ホテル向けの用途に限らずなく病院などへのホスピタリティ産業全体での利用も目指す。
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