気のせいじゃない!なぜか生産性が低い職場に漂いやすい「臭い」の正体とは (2018/10/3 瓦版)
ストレスから発生する臭いが職場にもたらす悪影響
職場でのストレスは百害あって一利なし。個のパフォーマンスが落ちる、ムードが悪くなる、そもそも元凶となるものがある時点で生産性が下がる…。誰もが認識しているものの明確な根拠はなかったストレスがもたらすマイナス作用がさきごろ、科学的にも明らかになった。
突き止めたのは資生堂。なぜコスメ企業の同社が、そんなことを突き止めたのか。キーワードは「臭い」だ。実は同社、1999年に「加齢臭」を発見している。目的はデオドラントケア研究の一環だ。今回、同社は研究活動の中でいくつかの偶然も重なり、「ストレス臭」を突き止めた。
ストレス臭とはその名の通り、ストレスが加わることで発生する皮膚ガス。主要成分はジメチルトリスルフィドとアリルメルカプタンの2つで、特有の硫黄化合物系の臭いを放出する。
「STチオジメタンと命名したこの皮膚ガスは、性別や年齢に関係なく面接、試験、プレゼンなど心理的に心拍数が上がるような緊張・ストレス状況下で発生することを発見しました。同じ心拍数上昇下でも運動では発生せず、われわれはこの皮膚ガスをストレス臭として捉えています」と同社研究陣は説明する。
対策は必須!職場に二次被害をもたらす「ストレス臭」
同社が行ったストレス意識のレポートによると、ストレスを感じる場所のトップは職場(59.3%)で、ストレスを感じる人の男性トップは職場の上司。女性では4位だが、職場が「ストレス臭」を誘発する危険地帯であることは明白だ。昨今はスメハラもこれまで以上に問題視されており、加齢臭と合わせるとその対策は必須といえる。
ストレス臭には放置できない特徴もある。なんと、本人だけでなく、周囲にも心の混乱や疲労を引き起こすことが分かったのだ。ストレスが他人に伝播することは感覚的には分かっていたが、実際に臭いが引き金となり周囲にも悪影響を与える。この事実は、職場におけるデオドラントケアの重要性を別の意味で示す興味深いエビデンスといえる。
緊迫した会議なのに、どうにもいい結果が出そうにない。初対面の商談相手との商談がなぜかうまくいかない…。もしかすると、それは極度の緊張から発生したストレス臭が周囲に拡散し、脳をマイナスに作用させたことが原因だったのかもしれない。
対策はストレスのない職場づくりに励むことが一番だが、そう簡単にはいかないだろう。緊張しそうな場面が想定される場合には、入念に臭いケアをするのも一手だろう。資生堂ではこの研究成果から開発した臭いケア製品を来春にも発売予定というから、それを活用するもいいかもしれない。
いずれにせよ、緊張→ストレス臭発生→周囲に悪影響というメカニズムは分かった。ここから逆算し、ストレス対策を行えば、徒に効率化を追求するよりも実効性のある生産性向上施策が生み出せるかもしれない。
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