外国人材活用に成功する企業は何が違うのか (2018/8/29 瓦版)
集中連載】歪な外国人労働者受け入れが招く、日本の末路Vol.3
<外国人労働者が活躍する職場の実態 其の一>
【オンデーズの事例】
日本で働きたい外国人労働者はその事情は様々ながら、基本的には高いモチベーションを持っている。語学力が多少おぼつかなくともそれを上回るメンタリティーやバイタリティにあふれている。なによりも日本以外の国でのネットワークがあることは大きな武器だ。外国人材を有効に活用している企業は、当たり前のようにそこに着目し、その最大化に注力することで戦力化に成功している。
オンデーズは眼鏡屋として世界各地に店舗を構える。そうしたこともあり、創業から外国人採用を行っており、そこに日本人との区別はない。採用基準はシンプルに実力。能力があれば、採用される。外国人を採用したとしてもそれは結果論でしかない。販売職は接客があるため、ある程度の語学力が求められるが、最優先ではない。
当然、採用後も評価の差はみじんもない。ある意味、より自己主張の強い外国人の方が有利とも言えるのかもしれない。それを象徴するのが、同社の社内立候補制度だ。役職者をスタッフによる選挙で選ぶ同社の年に一度のビッグイベントだが、とりわけ外国人社員は積極的に立候補するという。
「日本人も立候補しますが、外国人はより積極的に手を上げます。それに引っ張られ、日本人も手を上げるということが起こったりしますので、相乗効果といえると思います。逆にいうとやる気がありすぎで、すぐに新しいことにチャレンジしたがるのは、少し良くない点といえるかもしれません。メガネは半医半商といわれ、お客様の健康を扱うためしっかりとした知識が求められます。ですから日本人スタッフより長めに研修時間をとっています」と同社人事部の陳秋霞氏は明かす。
まさに多様性による化学反応といえるが、外国人の活用は、継続するほどにより馴染んでいくという地味にすごいメリットもある。同社でも2014年に中国人の陳氏が採用担当に就任後、一気に外国人採用が加速。外国人の痒い所に手が届く人材が採用を担うことでより自社に適した人材を最適なアプローチで呼び込める。こうなれば外国人の採用は、自社の戦力を補強することに純粋に集約されていき、企業は加速度的に成長曲線を描き始める。
【フュービックの事例】
ドクターストレッチなどを運営するフュービックも同様に外国人社員を有効活用し、世界で躍動している。もともとは海外展開におけるトレーナーとして必要なことから外国人材の採用をスタート。そのアグレッシブでオープンな姿勢が組織を刺激し、どんどん増員。会社全体のグローバル化推進にもつながっている。
「外国人を採用してから社内が明るく、やることが明確になりました。なにより、他国の文化を分かち合うことで日本から海外店舗へ自主的に立候補するスタッフが増えました。海外スタッフが日本に技術を学びに来ることも多くなり、社内コミュニケーションがかなり上がっています」(同社広報チーフ・山本暁氏)。
同社では採用段階における言語によるフィルタリングが緩い。そのため、社内コミュニケーション面に課題があるが、そこを様々な工夫で補っている。感謝の気持ちなどのメッセージをスタッフ間で送り合うとその文字数がコイン化し、社内通貨に変わるアプリの活用もそのひとつ。こまめに意志疎通する環境を実現することで、どうしても疎遠になりがちな外国人との関係を身近にし、風通しの良い職場づくりに成功している。
2つの会社は、海外へも店舗展開し、外国人人材は必要不可欠。とはいえ、自社に必要な人材を確保するのは容易でない。それでも、明確なビジョンやコミュニケーションを円滑にする工夫、フラットな評価などで受け入れ態勢を整備。優秀な外国人人材の採用を実現している。そこからさらに優秀な外国人材を引き寄せるサイクルを確立し、戦力化。さらなる相乗効果で社内のグローバル化にも成功している。(続く)
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