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この1年の「しまの塾」の具体的な活動内容「島独自の木桶仕込み醤油やオリーブなどのビジネスから学ぶ」~自分の生き方を創るための選択 第2回 (2018/2/2 nomad journal

関連ワード : 地域活性化 小豆島町 移住 香川 

本連載の2回目は、DaRETOの事業内容や目指す世界観などをお伝えします。DaRETOは今、人材育成のための教育事業を主軸に、コーディネート事業や執筆活動などを行っています。

この1年の「しまの塾」の具体的な活動内容

小豆島で“知の地産地消”を目指す「しまの塾」

DaRETOを始めるきっかけとなった「しまの塾」。小豆島をまるごと「学び」の舞台と捉え、色々な場所で色々な人から学ぶこと(=知の地産地消※)を大切にしています。

※知の地産地消とは、一般的に地産地消の意味で使われるのは食べ物だが、学び(=知)も地産地消できるという考え方。

「しまの塾」を始めたきっかけ~地域の若手を育てたいという想い~

(1)小豆島の事情

はじめたきっかけは、第1回の『小豆島での起業までの経緯と道のり~自分の生き方を創るための選択 第1回』でもお伝えした通り、小豆島では若い人が少ないので移住者を多く雇用しているものの、育成のスキームがあまり無いので離職してしまい、離職イコール離島につながっているという状況があり、小豆島の多くの経営者が、地域で地域の若手を育てていきたいと思っている事を知ったことでした。

今まで小豆島では企業研修というと、島外の講師を呼ぶか、島外に学びに行くかのどちらかでした。そうではなくて、小豆島の中にも魅力的な人や事業がたくさんあるのだから、地域で地域の若手を育てていく、できることは自分たちでしてみる、という地域の課題を地域で解決する仕組みを作りました。

(2)私の事情

実は「地域で地域の若者を育てたい」という話が出てきた時、当初は約20名の地域団体を作ろうという話になり、私は事務局長として関わらせていただいていました。結果的に団体は発足させる事ができませんでした。ただ「地域で地域の若手を育てたい」「社員の人生を豊かにしたい」という想いには深く共感したため、なんとか形にできないか模索を始めました。

この1年の「しまの塾」の具体的な活動内容~島独自の木桶仕込み醤油やオリーブなどのビジネスから学ぶ~

最終的に「しまの塾」という形で、小豆島の講師から色々な場所に行って学ぶ年間のプログラムができあがり、初年度の今年は10社33名に企業からの研修という形で参加いただいています。島出身:移住者が3:7くらいで、20~30代がメイン。行動力・問題解決力・コミュニケーション力に特化し、豪華すぎる講師からフィールドワークで学び、考え、発表する。

参加者はそれぞれ、職種も年齢も国籍も、1年後になりたい姿も得意な事も違います。だからこそ面白い。だからこそ刺激になる。小豆島を代表する会社の経営者からビジネスの話を学んだり、年の近いフリーランスで活躍する方から等身大の話を聞いて刺激を受けたり。

小豆島をまるごと舞台にしているので、時に題材が自然だったり醤油だったりするのですが、これは何万年前の木が化石になったもの、これはじいさんの時代から100年単位で事業計画を立てた木桶、などスケールが大きく振れ幅が大きいのも特徴でした。

しま塾の5月の様子

5月。大自然の中で、野草を天ぷらに。視点を変えるだけで色々なものが見えてくる事、五感を研ぎ澄ます事など、大事なことを学びました。

しま塾の9月の様子

醤油の新桶の話の中で、「事業計画を100年計画で立てる」「この竹は祖父の代に植えておいてくれたもの」など、長期的な視点を持つ事の大切さを学びました。

しま塾の12月の様子

12月。小豆島を代表する島宿で、うまくいかなかった時期を経て、何を変えたのか、何を変えなかったのか。色々あって当たり前、それをどう乗り越えるのかが大切という事を学びました。

島外にも小豆島全体を学びの場として捉える面白さが伝わった

初年度は、観光関連やオリーブ関連などの会社10社から33名が参加いただき、3クラスに分かれ、年間10人の小豆島で活躍する方のところを訪問し、話を聞かせていただいたり、自分で考え発言したりする事をしていきました。講師と受講者という立場でしたが、時に同じプロジェクトに参加したり、時に仕事で一緒になったりしたのも、「知の地産地消」の魅力のひとつ。

そして、参加者の変化を客観的に見ながら、思考と行動、心の持ち方に以下の4ステップがある事にも気が付きました。

思考と行動、心の持ち方の4ステップ

人によって、順番は入れ替わる事もあるのですが、少しでも次のステップに行くようにサポートをしていけるよう心掛けています。当たり前ですが、人は生き物。その時のコンディションによって、発言が全く違ってきます。後半に差し掛かったあたりから、“本音”が出やすい環境になってきて、悩みを吐き出したり、時に感極まって泣き出してしまったりする事もありました。それを見た別の人たちが、「自分もこういう部分は同じだな」「自分もそういう時期があったな」などと感じたり、それぞれの立場でできる事を考えたりしていて、会社を超えたタテ・ヨコ・ナナメの関係性が面白いです。続けていく事が大事だと思っているので、この環をつなげていきたいなと思っています。

ありがたい事に、小豆島全体を学びの場として捉える事への面白さから、島外の学校や企業からもお問合せをいただき、実際にコーディネートを進めています。

“想い”でつながることを目指して

DaRETOは今「しまの塾」の他、実際に企業の中にお伺いして課題解決をしていくワークショップ(企業研修)と、発信をするためのライティング、しまに新しい価値を生み出すコーディネーターとしての活動を行っています。

DaRETOのビジョン(目的)には、「ひとりひとりが主役の世界を創る」という一文を、またミッション(目標)には、「個それぞれが持つ想いやチカラを引き出し、活かし合うことで地域・しごと・暮らしをよりよく、豊かに。」という一文を入れました。

自分の軸で生きることは、簡単なようで難しい。色々な所で、色々な雑音が入ってきます。DaRETOを始めてから、色々な方から色々なシーンでお声掛けいただく事が増えました。正直、全てをご一緒する事はできないので、その時ピーンと来た事に関して取り組んでいるというのが実情です。

“想い”でつながらないと、何事もうまく行かない。共感できるか、面白いと思うか、が今の判断の基準になっています。はじめてまだ1年弱ですが、うまく行った事も、うまく行かなかった事もあります。振り返ってみると、その違いは、“想い”や、心からの“共感”の有無だったのではないかと思うのです。

失敗した事も、心が折れそうな事も、沢山あります。それでも、救い上げてくれる良い事がいいタイミングで起こって、今まで何とかやってきました。形が変わったとしても、想いは変わらない。いつか、全てが必要なプロセスだったと思えるよう、今は一歩一歩、会社の課題である収益安定化を含め、前に進んでいけたらと思っています。

さて、次回の第3回では、しまの塾で講師を引き受けてくださった方へのインタビューを行います。お楽しみに!

専門家:城石 果純
株式会社DaRETO代表取締役。1984年愛知県生まれ。小豆島在住、リクルート出身の3児の母。
24歳で母親になり「自然がある場所で子育てしたい」と思うようになり、2011年に小豆島に家族で移住。3年間高松への船通勤を経て、2016年個人事業主として独立。2017年株式会社DaRETOを起業。現在は、しまの塾・企業研修・各種ワークショップ開催を通し、地域の課題を地域で解決するスキーム作り「知の地産地消」に取り組んでいる。

提供:nomad journal

関連ワード : 地域活性化 小豆島町 移住 香川