これからのPTAのあり方とは?組織の目的を見失わない活動が期待される (2018/4/23 JIJICO)
PTAでのトラブルがニュースになっている
私たちにとって当たり前のように存在したPTA。今、このPTAへの対応で保護者が困惑しているケースがあります。任意加入のため、入会しない人がいる。非加入の子どもにはPTAから卒業式でコサージュが贈られなかった。子どもが卒業するまでに1度は役員になる事が暗黙の了解で義務付けられている。非協力的な家庭は村八分にあう。その他にも平日の昼間に行なわれる会議や非効率的な作業に困惑している保護者もいます。このような問題を抱える中、PTAはどのようなあり方が望まれるのでしょうか。
PTAの目的は「児童生徒の福祉を実現する」ことにある
それを解決するヒントの1つが「PTAの目的」にあると私は考えます。そもそもPTAは何のために存在をするのか。学校によって違いはあるでしょうが、一言でいうと児童生徒の福祉のためではないでしょうか(もちろん、会員相互の親睦を深めること等も目的ですが、それらは児童生徒の福祉を実現するための補足的要素かと思います)。
加入が強制か任意か。あるいは会員が協力的か非協力的かはさておき、組織としての目的は児童生徒の福祉という点をまずは認識することが大切です。
相次ぐ非加入トラブルや参加ノルマは「大人の事情」にすぎないのでは
一方、最近のトラブルを見てみると卒業までに1度は役員をすること。学校行事に3回以上は参加等のノルマを達成すること。また、ノルマを達成しなかったらペナルティを与える等、大人の事情を貫くことが目的になっていないでしょうか。
運動会での手伝いや卒業生へのプレゼント等は、児童の福祉を実現するためのツールの1つであって、そのこと自体が目的ではないはずです。仮に保護者が学校行事に3回以上参加等のノルマを達成したとしても、児童生徒自身の福祉に結びつかなかったのであれば、組織としての目的を達成したことになりません。
イベント参加や手伝いなどの「手段」が目的化しているのは問題
児童生徒の福祉につながることとは一体何なのか。もちろんその答えは明確ではありません。その中で、運動会の手伝いが本当に児童の福祉に結びついているのか、その検証がなされず、手伝うことが目的化しているのも少なからず現実です。任意団体であったとしてもPTAは組織です。組織である以上目的があり、目的に沿った活動をするのが大前提です。
PTAのあり方が複雑化されている今だからこそ、「PTAの目的」という基本に立ち返り、子どもの福祉につながる活動とは何かを再考し、実践していくことが大切かと思います。その結果、取りやめになる行事等があるかもしれません。しかし、無駄だからといって取りやめになる行事と、児童の福祉につながらないために取りやめる行事とは違います。
- 著者プロフィール
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中原 崇/社会福祉士
児童養護施設や専門学校に勤務後、平成23年4月に社会福祉士として個人事務所を開業。不登校や引きこもりといった進行形の問題だけでなく、夫婦間の不和、夫婦の価値観の違い、子育ての不安等、家庭内で抱えるあらゆるストレスに対して、ソフトカウンセリング・悩み解決支援(ソーシャルワーク支援)でサポートしている。
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