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「リーダーとは“始動する人”」青山社中朝比奈CEO~第25回CIRCULATION LOUNGE (2018/4/12 nomad journal

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注目ベンチャーの経営者やオピニオンリーダーをゲストに迎え、サーキュレーション代表の久保田が対談を行うイベント、CIRCULATION LOUNGE(サーキュレーションラウンジ)。

3月20日(火)に開催された第25回のゲストは朝比奈一郎さん。経済産業省を経て、現在は青山社中株式会社筆頭代表CEOであり、リーダー育成塾「青山社中リーダー塾」塾頭も務めている。自治体の経済活性系アドバイザーや総務省地域力創造アドバイザーとしても活躍中の朝比奈さんと、「大変化の時代、これからの未来を創る人材に必要な『リーダーシップ』とは」をテーマに語り合いました。

朝比奈一郎さん(右)と久保田 雅俊

ゲスト:朝比奈一郎さん
青山社中株式会社筆頭代表CEO 。2010 年に青山社中株式会社を設立。リーダー育成塾「青山社中リーダー塾」塾頭、自治体(三条市、那須塩原市、川崎市、沼田市、生駒市)の経済活性系アドバイザー、総務省地域力創造アドバイザー、内閣府クールジャパン地域プロデューサーなども務める。経済産業省時代には「プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)」初代代表を務めた。

ファシリテーター:久保田 雅俊
株式会社サーキュレーション代表取締役CEO。学生起業や大手人材会社でのイントレプレナーを経て「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに株式会社サーキュレーションを設立。ビジネス領域のプロ人材を活用して企業の経営課題を解決するコンサルティング事業を中心に新しい働き方の価値観を創ることを推進している。

激動の現代、求められるリーダー像とは?

■地位にこだわらず、「やりたいことを目指す」リーダーが必要

朝比奈一郎さん、第25回CIRCULATIONLOUNGEにて

朝比奈:本日は宜しくお願い致します。簡単に自己紹介しますと、現在は青山社中という日本を活性化するための政策づくり、リーダー育成、地域活性化支援、海外展開支援を行う会社の代表を務めています。元々は経済産業省という役所で働いていたのですが、20代の終わりの頃、ハーバードケネディスクールに留学する機会をいただき、そこで本日のテーマである「リーダーシップ」を意識する経験をしました。当時、経済学などを勉強するつもりで留学したのですが、「リーダーシップ」という科目が必修で、驚いた記憶があります。「わざわざ大人になって大学院で学ぶものなのか?」と。しかし、予想は良い意味で裏切られることになります。結論として「リーダーシップ」は遺伝でも才能でもなく後天的に獲得可能なスキルであること、地位とは関係なく「思い」を持って行動していくこと、「指導すること」ではなく「始動すること」がその要諦であることを学びました。

例えば、坂本龍馬を思い浮かべてみてください。坂本龍馬は、日本初の株式会社といわれる亀山社中(後の海援隊)をつくり、薩長同盟成立の立役者になるなど、一介の浪人でありながらポジションに関係なく、様々な変革へのアクションを起こしています。このような人にこそリーダーシップがあると私は考えます。

世間には「地位のある人がリーダー」という誤解があります。今後、日本を元気にするためには、新しい人材、特に思いを持って行動するリーダーを育てなければなりません。青山社中ではリーダー教育を行っていますので、今回はその経験も踏まえ、リーダーシップについて議論を深めていければと思います。

今回皆さんにお伝えしたいのは、今は激動の時代だということです。「データドリブンソサエティ」の到来を始め、有史以来初と言っていいほどの変化が起きています。

技術的な話をすると、IoTマーケットが爆発的に広がっています。中国では今、ホームレスが物乞いをするときにQRコードを差し出すことがあるようです。また、AIの進歩により、既存の職業の半分以上が消滅していくとも言われています。将棋の世界では、世界最強の棋士がAIに完敗する事があったように、既に人間には予測のつかない世界が広がり始めているのです。

次にお伝えしたいことは、新興国マーケットの広がりです。2017年、中国の「独身の日(11月11日)」におけるアリババの単日売上は2兆9000億円でした。実は売上高世界一のデパートは新宿伊勢丹ですが、その年間売上でさえ2500億円。このように中国の市場規模は凄まじいものがあるわけですが、インドはさらに2030年に中国の人口を追い抜くと予測されています。新興国の勢いが加速していく一方で日本の凋落は現実のものとなっています。

このような激動の時代の中、個人も組織も変わっていけることが必須と言えます。今までの日本型組織はモノ不足で市場にニーズが溢れる中、大量生産する上で有利な「滅私奉公モデル」でした。成功モデルを知る自信満々の先輩に言われたことを忠実にこなすこと、集団の足並みを揃えることが是とされてきたのです。しかし、それで世界的に勝てたのは農業・製造業中心の時代だったから。時は流れ、モノが溢れ、サービス業がGDPの8割を占め、高付加価値製品が求められる時代となりました。創造性や主体性を個人がもっと発揮して、チームでもソロでも勝てるモデルを作らなければなりません。

■リーダー育成における人物教育の重要性

朝比奈:そんな中で、私は青山社中リーダー塾を作りました。今は幕末のような激動期です。幕末は適塾、松下村塾など日本中に様々な塾ができ、その後リーダーがどんどん出てきて社会を作りましたが、そういう「リーダーを生み出した塾」を参考にしました。

リーダー塾では年間70~100時間リーダーシップやリベラルアーツについて教えています。カリキュラムは座学編1年間と実践編4年間ですが、特に大事にしているのは人物教育です。今日、リーダーシップについて書かれた本は沢山あります。しかし圧倒的に情報が少なかった時代に生きた吉田松陰の教え子たちの方が、リーダーシップはありました。それはなぜかと言うと、昔は人物教育に力を入れていましたが、今は教えていないからです。

既にリーダー塾は7期までやっていますが、色々な人物が出てきています。海外事業に取り組みたいとミャンマーに飛び立った塾生や、地元の市長選に出た塾生、日本はもっと海外の人を受け入れる体制がなければ駄目だと、農水省を辞めゲストハウスを作り始めた塾生など。地位に拘るのではなく、「始動力を持ったリーダー」を作ることが大事だと思っています。

時代は「型にはまらないリーダーシップ」を求めている~朝比奈氏×久保田対談~

■リーダーとは「みんながついていきたくない人」

久保田:さて、1つめのお題は「そもそも、リーダーシップが必要な理由とは?」です。リーダーシップ論者であり、先生でもある朝比奈さんのお考えはどうでしょうか?

朝比奈:時代が求めているからです。リーダーシップは一言で言うと「変革」です。何かを変えるのって面倒くさい。それでも「変えなきゃいけない」っていうのは、時代が求めているんです。

逆に右肩上がりの時代に生きていたら、皆さんリーダーシップなんて学ばないと思います。今は、自分で考えることが少ない。何のために何をするのか、考えるのが大変な時代です。でも、その分考えようによってはすごく面白い時代で、リーダーシップを発揮すればどんどん動いていける時代です。なので、時代背景が一番大きな理由だと思います。

久保田:僕はリーダーシップの活きやすい時代なんじゃないかと思います。リーダーシップ精神を持っている人は自分の人生を決められるし、リーダーシップを持っていると挑戦するときにきつくない。リーダーシップは生き残る術の1つであると思います。

久保田、第25回CIRCULATIONLOUNGEにて

朝比奈:リーダーっていうのは、ある意味「みんながついていきたくない人」なんですよ。小泉元総理やスティーブ・ジョブズしかり、常識を超えて変革を起こそうとするから「変人」扱いされる人が多い。みんながついていきたくなる人は、今までの慣習やルールをきっちり守ります。要するにそれはマネジメントのことで、だからマネジメントとリーダーシップって結構真逆の役割なんです。

日本人は型にはまりすぎちゃってるきらいがあるから、むしろ「自分はこうだ!」というリーダーシップをつけていかないと、これからの日本は立ち行かないと思います。

■違和感を大事に「なぜ」を突き詰め、学びを積み上げる

久保田:続いてのテーマは「明日から始められるリーダーシップは何か」。明日から実践できる「ぜひ、これだけは!」というものはありますか?

朝比奈:リーダーシップは、「こうしたい!」という思いが何より大事です。これが第1段階。でも、それが分からないんですよね。この第1段階を突破するために必要なのは、構想力と基軸力です。構想を描くには経済、歴史、文化、芸術など様々な知識の蓄積と融合が必要となります。そのため、一見役に立たないようなこともインプットすることが大事です。基軸力については伝記などで「先人がどうやって志を作っていったのか」を追体験することが重要です。先人の生きざま等を学ぶことで問いを積み上げ、自分の軸をつくる勉強をすることが求められます。

明日からできることとしては、まず違和感を書き出すこと。「何でこんなに違法駐輪が多いんだろう」とかでいいんです。これがリーダーシップを発揮する種だと思います。年を取ると違和感を持ちにくくなるので、心が新鮮なうちに学ぶのがいいと思います。

久保田:朝比奈さんと似ていますが、「Why」から始めることだと思います。リーダーシップって「change」が多いじゃないですか。そのために考えるのは「Why」なんですよね。そしてその「Why」を突き詰めて考えていき、質を上げていくことです。「社会のために」とか。一旦「Why」に向き合って、理由をちゃんと考えることから始めたら良いと思います。

改めてリーダーシップについて深く考えるきっかけになった第25回CIRCULATIONLOUNGE

国際情勢や歴史的な観点など朝比奈氏の広い視点からリーダーシップについて考察できた第25回CIRCULATION LOUNGE。日今の日本で必要な、あなた自身に必要な、リーダーシップのヒントが得られたのではないでしょうか。

朝比奈一郎さん(右)と久保田 雅俊

提供:nomad journal

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