ミドル転職増大時代に転職すべきでない3タイプ (2018/2/1 瓦版)
人生100時代をスマートに生きる転職術
大企業のリストラが静かに当たり前のように進行している。かつてのようなバブル後遺症を修復する単純な人員削減とは異なり、産業構造の変化に合わせた事業再構築に伴うリストラ。企業にとって苦渋の決断に変わりないが、以前のような体力はなく、雇用される側ももはや、こうした事態に無防備では路頭に迷いかねない…。
大企業→中小への転職が増大トレンドに
エン・ジャパンが、同社が運営するミドル層専用の転職求人サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している転職コンサルタントを対象に「ミドルの求人動向」について実施したアンケート調査(135人)によると、「2018年は35歳以上のミドル対象の求人募集が増える」との回答が85%に及んだという。ほとんどの専門家が、ミドル転職が増大する見立てだ。
昨今の潮流をみれば当然ともいえるが、その内容についての予測は興味深いものになっている。圧倒的に多かったのが、「大企業から中小企業への転職」で73%。2位の「首都圏から地方企業への転職」(42%)を大きく引き離している。昨今の大企業の人員削減施策を見越したような予測は生々しくもあるが、決してネガティブに捉える必要はないだろう。
かつてなら都落ちともみられたが、いまや大企業でくすぶっていたミドル人材が中小・ベンチャーへ転職を果たし、水を得た魚の様に本来の能力を発揮し、躍動しているケースも珍しくなくなっている。その意味で、まさに“都落ち”といえる、2位の地方転職もジワジワと実行するミドル人材が増え、首都退避転職への見方も変化しつつある。
大企業神話は崩壊した。だが、実は輝ける場所はどこにでもある――。徐々に広がる意識改革で転職人材の質も動き方も着実に変質している。それはつまり、待遇以上にやりたいこと・やれることを軸に転職先を探せば、可能性はいくらでもあるということだ。こうした潮流にうまく乗れば、人生100年時代もスマートに乗りこなせるだろう。
ミドル転職はNGの3つのタイプ
もっとも、もちろん向き不向きはある。次の3タイプは、いまの時点ではミドル転職はおススメしない。しばらくはかじりついて、学び直すなり、スキルアップに専念したほうがいいかもしれない…。
1:強みがない
これはミドルに限らず転職を成就するなら当然必要な資質だ。プログラミングができる、知財管理の経験など、特定分野の専門知識や経験で積み上げたスキルは、とりわけ中小・ベンチャーでは大きな力となる。逆にいえば、大企業に長く在籍しながらそうしたものがないというのは、悲し過ぎる…。とはいえ、大企業でのマネジメント経験も、立派な強みになり得るので、悲観することはないだろう。
2:忠誠心には自信あり
ゴマをすって昇進できる時代はとっくに終わっている。だが、それでも大企業ではいまだ“忠誠心”に神通力がある。さすがに面接で「忠誠心には自信あります」というミドルはいないだろうが、中小ベンチャーが欲しいのは、その知識と経験。するゴマもない職場で忠誠心をアピールされても何のアピールにもならない。脳みそに汗を流し、改めてキャリアの足跡を振り返りながら、自分の強みを探すのが賢明だ。
3:業種にこだわりがある
これは決してこだわることが悪いという意味ではない。ただ、自分は金融業界にいたので次も金融関係に行きたいという安直さでの転職は止めておいた方いいという意味だ。理由は2つ。いまはよくても今後、その業種がどうなるかは読めない時代に突入していること。もうひとつは、そうした視野の狭さでは、いまの時代の戦力足りえなということだ。そもそもこうした変化のスピードが速い時代にひとつの業種にしか目がいかないようでは、例えば中小・ベンチャーでは足手まといになりかねない…。だからこそ、このタイプにはおススメはできない。
昨今、大企業のリストラがどんどん進み、ミドルの転職が当たり前になりつつある。この潮流は、単に経済の停滞という側面でなく、構造変化に伴う産業界全体の人材最適化の動きとみるのが賢明だろう。加えて、人生100年時代ともいわれ、生涯現役も現実味を帯びている。その意味でミドル世代以降の転職は、もはや人生の終盤としてのものでなく、折り返し点のものと認識するのが現代を生きるビジネスパーソンとしての心得といえる。その上で、ミドル以降の転職は、培ったスキルを最大化できる場所探しと考え臨むのが、スマートといえそうだ。
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