日本の会社員は本当に有休を取得する気があるのか (2017/12/13 瓦版)
万年最下位レベルの日本の有休取得率の元凶
日本人はなぜ有休取得がヘタなのか…。世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディアの日本語サイト、エクスペディア・ジャパン(https://www.expedia.co.jp/)が、毎年恒例の有給休暇の国際比較調査を実施。その結果を公開した。低空飛行を続ける日本は昨年に続き、有休消化率が世界30カ国中最下位。働き方改革がむなしい結果となっている。対象は、世界30カ国、18歳以上の有職者男女計15,081人。
もはや日本の低空飛行は見慣れた光景になりつつある有休取得率。国民性という表現でしか説明しようのない結果となっているが、政府が働き方改革をけん引する中でもこの状況はどういうことなのか…。
その解は、次の2つの質問へのリアクションをみるだけでも明快だ。ひとつは有休取得に罪悪感があるかについて。感じる割合は63%。主要先進国のほとんどが3割を切っている中で、日本人は6割以上が、有休取得に気まずさを感じている。もうひとつが、休暇中のメールチェック。欧米諸国が10%前後なのに対し、日本は22%。それほどまでに“仕事が好き”な国民性ということなのだろうか…。
そうかと思えば、転職活動で重視することのトップは「より多くの有給が取得可能」となっている。つまり、自分の意志とは裏腹に、本当は休みたいが、忖度して休暇を控えているということだ。こんなことだから、ダラダラ残業が後を絶たず、本心を押し込むからストレスが充満。職場はギスギスし、一層有休をとりづらい空気が醸成されてしまうのだろう。
有休取得がうまい会社の共通項とは
こんな日本でも、有休をたっぷりと取得している企業はたくさんある。そうした会社にはいくつかの共通項がある。<うんと早い段階から休む日程を確定>させる。チームワークを磨き、<長期休暇のメンバーいても仕事が回る体制を構築>している。そしてなにより、<経営者が率先して長期休暇を取得>している。そもそも、メンバーが長期休暇に入っただけで仕事が回らなくとすれば、会社としてまともに機能しているとはいえない。存続の危機というくらいのレベルで改善に着手すべき重大テーマといえる。
働き方改革では、長時間労働の是正を打ち出しているが、その本質は「時間より成果」を求める働き方への転換だ。毎日残業し、無休で働こうが、1日数時間の労働で、年の半分は休もうが、アウプトプットが同じなら、何の問題もない。むしろ、後者の働き方の方が健全である。そうした意識改革を働く側も持たなければ、万年最下位からは抜け出せないだろう。
ちなみに、休みを取らない理由の2位は「人手不足」となっている。確かに、人手が少ないと、休むことで迷惑がかかりやすい。だが、だから休まず、長時間働くのではなく、いかにすれば短い時間でそれ以上の成果を上げられるのか。そうした発想を誰も当たり前のように持つことが、確実にやってくる人口減少時代には求められる。場合によっては、受注する仕事を減らすという選択肢も考慮する。それくらい大胆な発想で向き合わなければ、せっかくの働き方改革の号令も職場に愚痴を増やすだけで空砲に終わりかねないだろう…。
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