公正取引委員会、セブン-イレブンを下請法違反により是正勧告
公正取引委員会は、セブン-イレブン・ジャパンに対し、下請法4条2項3号の下請代金の減額の禁止の規定に違反する行為が認められたので、先月21日、同法第7条第2項の規定に基づき、同社に対し勧告を行いました。
1 違反の事実
セブン-イレブン・ジャパンは、おにぎりやサンドイッチなどの「デイリー商品」や、レトルト総菜、パン、デザート類、ペットボトル飲料などの「セブンプレミアム」といったPB商品の製造を下請け業者に委託し、各店舗で販売しています。
公正取引委員会の報道によると、同社は少なくとも2015年9月~16年8月、製造委託業者に対し、本社から各店舗に配信する電子カタログの制作費用などを「商品案内作成代」名目で負担させたほか、新規や改装オープンする店舗のセールの際の値引き分を「新店協賛金」として支払額から差し引いていました。不当な減額は、76業者に対して約2億3千万円にのぼっていました。これらの事実が、下請法4条2項3号に違反したとして、同法7条2項に基づき、同社に対し勧告を行いました。
2 下請法4条2項3号について
同法4条2項3号は、下請事業者に責任がないのに、発注時に定められた金額(発注時に直ちに交付しなければならない書面に記載された額)から一定額を減じて支払うことを全面的に禁止しています。値引き、協賛金等の減額の名目、方法、金額の多少を問わず、また、下請事業者との合意があったとしても、上記規定に違反します。
3 下請法4条2項3号に違反した事例
公正取引委員会の報道によれば、他にも上記規定に違反している事例があります。
(1)株式会社タカタに対する件
自動車部品の製造業等を行っている株式会社タカタは、シートベルトの製造委託をしている下請事業者に対し、コストダウンの要請を行い、「一時金」等として、総額約2億4976万円を下請代金から減額をしていました。
(2)山崎製パン株式会社の件
フランチャイズシステムによるコンビニエンスストア事業を行っている山崎製パン株式会社は、食料品等の製造委託をしている下請事業者に対し、山崎製パンが自社商品の販売促進のための費用として徴収した金銭及び、箸・フォーク代等として、総額約4622万円を下請代金から減額していました。
(3)株式会社久世の件
食料品等の卸売業等を行っている株式会社久世は、食料品、調味料、洗剤等の製造委託をしている下請事業者に対し、積極的な拡販を図るためのとして一定期間負下請代金の総額に応じて徴収した金銭総額5043万円を下請代金の額から減額していました。
4 最後に
上記の事例を見る限り、下請法4条2項3号の射程範囲は広く、これは、親事業者と下請事業者との力関係が関係しているものと考えらます。親事業者としては、下請事業者に責任がないにもかかわらず、みだりに下請代金の減額をするべきではないでしょう。
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