2018年度からの新専門医制度に備え、10月から専攻医の仮登録―日本専門医機構 (2017/7/10 メディ・ウォッチ)
2018年度から新専門医制度が実施可能になった場合に備え、いわば「専攻医の仮登録」をこの10月から実施する―。
日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は7日、理事会終了後の記者会見でこのような考えを示しました。
10月から専攻医の仮登録を進め、年内には研修先を決定
新専門医制度は、数多ある専門医資格を国民に分かりやすいものとし、かつ質を担保するために、「専門医の研修プログラム認証や、専門医の認定を各学会と日本専門医機構が共同して行う」ことなどを柱としています。しかし、「質の担保を求めるあまり研修を行う施設(病院)の要件が厳しい。これでは地域医療の現場から指導医・専門医を目指す専攻医がいなくなり、医師の地域偏在が進み、地域医療が崩壊してしまう」との強い指摘があり、塩崎恭久厚生労働大臣は「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、地域医療への配慮が十分になされているかをチェックしています。
これまでに検討会の指摘を踏まえ、日本専門医機構では新整備指針について「専門医資格の取得は義務でない」などの見直しを行うことを決定。さらに、下部規定の「運用細則」について次のような見直しを行う方針を固めました。(2)は、6月12日に開催された検討会で、荒井正吾構成員(奈良県知事)からの厳しい指摘を踏まえたものです。
(1)カリキュラム制などの柔軟な対応を担保するために、▼基幹施設などは専攻医からの相談窓口を設け、有効な研修を行えるよう配慮する▼専攻医は、相談窓口への相談後も有効な研修が行えないと判断した場合には、機構に相談できる―こととする
(2)都道府県協議会によるチェックを担保するために、▼協議会は、機構に連絡し、研修施設群に対しローテ―ト内容などの情報提供を求めることができる▼基幹施設は、機構に連絡のうえで協議会に情報提供を行い、その旨を機構にも報告する▼機構は、地域医療への配慮や専門研修レベル改善のための必要性に応じて、基本領域学会、研修施設群と共同して協議会の求めに協力する―ものとする
吉村理事長は、こうした規定の整備によって「規約上は、2018年度から新専門医制度を全面スタートできる準備が整った」と説明した上で、関係者の理解を得るためにさらなる協力をしていく考えを強調しました。
ところで、仮に年明け1月に、例えば検討会で「2018年度の新専門医制度の全面スタートを認める」旨の見解が示されたとします。ここから研修プログラムの認証や、専攻医の募集を行ったのでは、2018年4月からのスタートは時間的に困難です。
そこで2018年度(2018年4月)からの全面スタートに備えて、「10月から、研修プログラムへの専攻医の登録(いわば仮登録)を始める」ことになります。
この前提として、研修プログラムが登録前に公表されていなければいけません。そこで▼7月中に1次審査を完了する▼その後、都道府県協議会のチェックを受け、必要な修正などを行う▼遅くとも9月末までに2次審査を完了する(この時点で認証)―ことになります。ただし、審査終了後に、例えば「実際の研修プログラムが申請内容と異なり、指針などに違反している」ことなどが判明した場合には、機構から研修プログラムの修正を求め、それに応じない場合には「認証の取消」となることもあり得ます。
専門医資格の取得を希望する医師は、希望する研修プログラムを1つ選択し、申請を行います。その後、機構で「1人の医師が複数のプログラムに申請してないか」などをチェックした後、各プログラムにおいて「選考」が行われます。1度の申請・選考で完了することはあり得ず、2次・3次の申請・選考が行われます。「どこで研修プラグラムを確認するのか」「申請はどこ(学会なのか、基幹施設なのか)に行うのか」などは、今後、急ピッチで詰めることになります。機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は「年内には、すべての申請について選考を終え、研修先が決まるようにしたい」との考えも示しました。
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