一般医薬品のケアで所得控除―「セルフメディケーション税制」が施行 (2017/1/1 タウンニュース)
花粉症で内服するアレルギー薬や、妻が生理痛のために服用する鎮痛薬、娘のビタミン剤、おじいちゃんの湿布……。薬局やドラッグストアで購入する一般医薬品の家計への負担は、意外と大きいもの。しかし、医療機関にかからず、自分自身で健康管理(セルフメディケーション)を行えば、税金の一部が戻ってくる「セルフメディケーション税制」が1月1日から施行される。
この新制度は、風邪薬や鎮痛剤など、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品の購入額が、年間で1万2000円を超える分は、その年の所得から控除されるというもの。風邪や腹痛などの比較的軽い病気は、病院を使わず市販薬での治療を促し、年々増え続ける医療費の削減につなげたい考えだ。
不公平感の緩和へ
現行の医療制度では、医療機関を受診して処方せんで薬を購入する人は3割負担で済むが、国の医療費を脹れ上がらせていた。その一方、公的保険を利用せず、自費で積極的にセルフメディケーションに取り組む人には、国からの補助が一切無かった。藤沢市薬剤師会では、「新制度はこの『不公平感』を緩和する目的もあるのでは」と語る。
1500品目以上
対象商品は、処方せん無しで購入できる風邪薬や胃腸薬など1500品目以上。パッケージに「税控除対象」の識別マークが印刷、またはシールで貼付されており、商品名などは厚生労働省のホームページで確認できる(マークが無くても対象となる商品があるため、要確認)。
控除となるのは購入額年間1万2000円以上で、上限金額は8万8000円(個人または、同じ生計の配偶者、親族の合算を含む)。例えば、所得税率が20%、住民税10%の人(世帯)が、1年間に3万5000円分の医薬品を購入した場合、6900円減税される計算。ただし、控除を受けるためには、購入レシートや領収書が必要となるほか、申告者が対象年で、特定健康診査(メタボ健診)や会社の定期健康診断、インフルエンザの予防接種、がん検診のいずれかを受けるなど、自分で健康管理を行う必要がある。
医療費控除との比較を
また、従来の医療費控除(1年間に自己負担した医療費の合計が10万円を超える場合)との同時適用はできない。そのため、どちらの控除額が多いのかを比べてから確定申告をする必要があるという。
市薬剤師会の齊藤祐一会長は「新制度への認知度は低く、約3割とも言われているので、各薬局に呼びかけて店頭POPやチラシで啓発していきたい。また、購入時にレシートの保管について一言添えるように薬剤師や登録販売者への教育も力を注ぐ」と語る。
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