フリーランスが新しい働き方として注目される背景 (2017/6/6 瓦版)
働き方改革はどこへ向かい、何をもたらすのか
フリーランスと働き方改革
働き方改革が、企業や業務への向き合い方にフォーカスしたものだとすれば、フリーランスの増大は、個人の意識を起点にした働き方改革といえる。雇われるのではなく、自らを主体に仕事に関わり、自由にストレスなく働く――。
企業に所属せず、フリーエージェントして働くスタイルは古くからあるが、昨今の急増ぶりは、すさまじい。副業を含めた広義のフリーランスは、1000万人を超えるといわれ、依然伸長を続けている。
増大の理由は、3つ。ひとつは、(1)フリーでも活躍しやすい環境が整備されつつあること。(2)企業の安定がおぼつかなくなったこと。そして、(3)所属して上を目指すことに対するモチベーション低下という価値観の変化だ。
(1)は、クラウドソーシングサービスの充実に尽きる。フリーランス最大のボトルネックだった「営業」をプラットフォーム上で完結できる案件マッチングが解決。企業に属さずとも仕事をみつけることが容易になった。スキルがなければ「安定」は得られないが、フリーランスにとっては健全な活躍環境が整ったといえるだろう。
(2)は、安定の象徴だった正社員神話の崩壊だ。著名企業の倒産危機や大リストラが珍しくなくなった昨今、雇われていることへの不安が増大。ならば、自己責任だが、自由を享受できるフリーランスに転身しよう。そう考えるのも自然というものだ。
(3)は、(2)と関連し、頑張っても報われずらくなった企業で、上を目指す意義を見失い、仕事そのものへの疑問が発生するなどで、価値感が変化。自分らしくいられ、やりがいの仕事を優先したいというマインドチェンジによって、フリーランスという選択肢への注目度が高まったということだ。
“回帰現象”として、増大することは確実な流れ
そもそも、会社というスタイルが定着する以前は、誰もがフリーランスといえる状況だった。各自が得意で助け合いながら、自然に仕事が回り、生計を立てていた。そこへの回帰とまではいかないにしても、スキルある人材がプロフェッショナルとして、複数の企業と関わるカタチがこれからの主流になっていきそうな勢いだ。
政府も、こうしたフリーランスの存在を無視できなくなり、社会保証や税制面での対応の検討を始め、会社員に続く労働形態としてポジションを確保ししつつある。働き方改革の文脈でも、フリーランスは人材不足をフォローする柔軟な働き方として推奨されており、ワーママのフリーも増加傾向にある。今後、環境整備とともに、フリーランスという働き方がさらに増大していくことは間違いなさそうだ。(続く)
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