転職理由ランキング1位は「ほかにやりたい仕事がある」。2位は○○ (2017/5/23 瓦版)
9回連続1位は「ほかにやりたい仕事がある」
人材流動化が加速する昨今、会社を辞めるビジネスパーソンの意識にも変化出ている。総合人材サービス、パーソルグループの(株)インテリジェンス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:峯尾太郎)が運営する転職サービス「DODA(デューダ)」は、転職理由についての調査を実施(対象:2016年10月~2017年3月のあいだに「DODA」に登録した転職希望者のうち約3万5千人)。その結果に、転職者の価値観の変化がにじむ。
理由のトップは、「ほかにやりたい仕事がある」(12.8%)で9回連続。社会人として学び成長し、本当にやりたいことが見つかり転職を希望する。ある意味で自然な流れであり、長くトップに君臨するのもうなずける理由だ。
2位は「会社の将来性が不安」(9.7%)。3位が「給与に不満がある」(8.0%)。そして4位が残業が多い/休日が少ない」(6.6%)。この3つは前回からポイントを上げているが、いずれも会社に対する不満という点でも共通する。ロジックしては、会社の将来が不安なくらい報酬が停滞気味で、残業も多い。だから、もっといい労働環境の会社へ転職したい、ということになるだろう。
働き方改革では、時間より成果を軸に、生産性の向上を目指し、ワークライフバランスの充実を実現するというのがひとつの大きな目標だ。報酬はそのままに効率的に働き、仕事以外も満喫する。それが、消費活性化にもつながるなど、日本経済を良くすることにつながる、というワケだが、まさにその理屈通りといえる転職理由が並んだといえる。
企業の人材確保の厳しさをにじませる結果
裏を返せば、企業は、働き方改革に取り組まなければ、人材流出が止まらず、経営基盤が弱体化。待遇がさらに悪化し、負のスパイラルに陥ってしまう、ということだ。同社でも今回の調査結果について、「求人倍率の高い状態が続いていることに加え、働き方への関心が特に高まった期間だったため、転職理由に働く条件の改善を挙げる人が増えた」(DODA編集長・大浦征也氏)と分析している。
一方で、「専門知識・技術を習得したい」、「幅広い経験・知識を積みたい」、「市場価値を上げたい」、といった理由で転職活動をする人の割合は減少。これは、売り手市場を背景に、個の価値向上以前に、より良い職場で、しっかりと自身のポテンシャルを発揮したいという意思のあらわれといえるだろう。
6位の「U・Iターンしたい」(3.5%)も前回からポイントを積み上げ、順位も上昇。これも昨今の地方の積極的な人材募集や地方創生の動きと無関係ではないだろう。物理的に首都圏の企業で働かずともリモートワークでの対応や報酬こそ下がるもののそれ以外の価値がある、などの価値観の変化もポイント上昇の背景にあるだろう。
右肩上がりの時代は、頑張れば報われた。だから、嫌な上司がいても、耐えた。だが、緩やかに下降曲線に乗る昨今の日本経済にあっては、頑張っても報われづらい。だから、嫌な上司や残業が多ければよりいい職場へ移る。単に売り手市場だからという視点だけでなく、より大きなものが動いているという危機感を持たなければ、企業は人材流出に振り回され、働き方改革の流れからも取り残されかねない…。そんなことを暗示するような結果といえそうだ。
- 関連記事
- 地方課題解決するUターンフリーランスの挑戦
- 青森に17年ぶりにUターンした私がいま、地元について思うこと。
- 管理職になりたがらない社員増加!管理職を拒否しても幸せか?
- 医師も「罰則付き時間外労働の上限規制」の対象とするが、医療の特殊性も検討―働き方改革
- 首相自らがけん引し、方向性を示した「働き方改革」の意義