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ベーシックインカム導入は是か非か… (2017/5/30 瓦版

働き方改革はどこへ向かい、何をもたらすのか

“不労所得”は、国民を豊かにするのか

ベーシックインカムが、働き方改革究極の解決策。そう考えるのは無理があるだろうか…。生活のために収入を得ることが働くことの主目的だとするなら、国民全員に最低限の給付金を支給するベーシックインカムは、働かなくても生活できる社会を実現する施策であり、生きていく上で労働を不可欠としない点で、働き方改革の議論をいい意味で無意味にするパワーはあるだろう。

家計

給付金をいくらにするのかは、税収との兼ね合いから設定が困難だが、本当に最低限だとしよう。そうするとさすがに、それだけで生活していくのはムリかもしれない。それでも、週2,3回働けばカバーできるとすれば、子育てや介護問題もかなり軽減されるだろう。

なかにはベーシックインカムの“不労所得”だけで生活する輩も出てくるかもしれない。もちろん、それはそれでありだ。働かなくても生活できる環境ができることで、個々がやりたいことをする選択肢は大幅に増える。これは文化醸成という観点からも、ベーシックインカム導入の最大のメリットいえるだろう。

子育て問題が浮上するのは、景気低迷で共働きでなければ、十分に生活していけないから。介護離職は社会高齢化の宿命だ。いずれも、働く必要がなければ、十分に時間を確保でき、個々が対処できる。生活のために働く必要がある。そのために多くの時間を割く。その分を給付金でカバーしよう。そう考えれば、ベーシックインカムも社会の課題を解決するかなり有効な施策といえないだろうか。

不安を軽減するコストと考えれば、意義も変わってくる?

「働かなくていい世の中では人類は堕落する」。そうした声が多く聞こえてきそうだが、あくまでも、最低限の支給だとすれば、決してそうはならないだろう。むしろ、失業中なら余裕をもって職探しをでき、自分の得意で収入を得る人も増大するかもしれない。

今後、テクノロジーのさらなる進化で、生活コストはどんどん下がっていく。「最低限」のライン自体が下がっていく。意外なほど低い支給額でも、生活の最低水準は保たれる可能性がある。最大の懸念は、この策が政府の進める働き方改革と真逆の方向を向いていることだ。1億総活躍によって給与を上げ、消費を増大し、景気を活性化する。それに対し、働かず、消費を抑え、心豊かに暮らしていく…。

資本主義社会からの転換のようでもあり、まさに究極策かもしれない。だが、過労死や精神疾患が多発する病んだ社会を治療するには、こうした視点があってもいいだろう。目的をきちんと整理し、やり方をトコトン詰める必要はある。だが、絶えずなにか追われ続けてきた日本が成熟するには、選択肢のひとつにあってもいいのではないだろうか。(続く)

提供:瓦版

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