消費者庁が高校生向けの消費者教育用冊子「社会への扉」を作成 (2017/6/6 JIJICO)
消費者庁作成の消費者教育用冊子「社会への扉」とは?
ネットショッピングやカードでの支払いなどで高校生が巻き込まれることが増えてきたことをふまえ、消費者庁は消費者教育用冊子「社会への扉」を作成しました。内容を確認してみましたが、絵や漫画を散りばめながら、クイズ形式で理解を深めるようなもので、なかなか良くできているなあと感心しました。
消費者庁のこういった取り組みの背景には、特に近年、若年者が消費者トラブルに巻き込まれがちであるという社会的な状況があります。ネットが普及し、昔とは比べものにならないくらい情報が飛び交っているこのご時世ですから、筆者が子どものころからは考えられないくらい、今時の子は色んな事を知っていますし、反面、悪の手が忍び寄りやすいともいえます。
教育の場で活用される機会がなければ意味がない
ご紹介した「社会への扉」やそれに付随する解説などは、非常に有益な内容を含んでいますが、実際に教育の場でこれらを活用する機会がなければ意味がありません。現在、各都道府県でも、消費者問題に関する講義などを行おうと推進されている傾向にありますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。また、一部の高校などの授業でこういった問題が取り扱われているとしても、高校に進学せずに社会に出る人にとってはそれに触れる機会はありません。
高校だけではなく、義務教育である小学校、中学校などでも、より簡単な内容になるとは思いますが、将来を見据えて意識付けをするためにも、こういった生活に密着した授業を取り入れるということが重要になってくるのではないかと思います。
国語や算数などもいいですが、子どもたちが必ずなる「消費者」ということについて、子どものうちから勉強することで、将来、消費者トラブルに巻き込まれる人が減るのではないかと思います。
- 著者プロフィール
-
河野 晃/弁護士
水田法律事務所
学習院大学法科大学院法務研究科を卒業後、平成22年、弁護士登録・水田法律事務所に入職。刑事事件、遺言・相続、離婚、債務整理、交通事故などを中心に法律関係全般を取り扱う。
- 関連記事
- 「業界最速」表示巡り格安スマホ「フリーテル」を処分 景表法違反とは?
- 脱毛サロンが行政処分により倒産、特定商取引法による規制について
- 消費者庁検討会が発表、公益通報者保護制度改正への動き
- 景品表示法に導入される課徴金制度
- ヤマハが教室演奏の著作権料巡りJASRACを提訴へ。法的にはどうなのか?