新卒入社直後に妊娠発覚。有望女子のまさかの決断とは (2017/1/13 瓦版)
社会人人生の第一歩はつまづきだったのか…
三枝伶以子さん
<ライフプランは計画的に>は、とりわけ女性にとっては重要だ。妊娠・出産が、キャリアのターニングポイントと重なると、計画が全てがリセットされかねない…。現在、Web系企業でパート勤務する三枝伶以子さん(29)。30歳を目前にして、事実上、最初の社会人への一歩を踏み出したばかりの元専業主婦だ。就職厳冬時代に新卒で著名企業に入社した彼女は、本来なら、とっくに歩んでいたハズの道。優秀人材はなぜ、異色のキャリアを歩むことになったのか――。
就活勝ち組を襲ったまさかの展開
大学卒業後、大手印刷企業の内定を勝ち取った三枝さん。当時は、リーマンショック後で企業が軒並み採用数を減らす“氷河期”。そんな中で、早い段階で人気企業の内定を勝ち取った三枝さんは、まさに「勝ち組」。企業側からも大きな期待をかけられていた。4月には新入社員として晴れて入社し、順風満帆の社会人がスタートしたはずだった…。
ところが、研修ラッシュの4月下旬、思わぬ事実が発覚する。なんと、お腹に子ども宿していたのだ。全くの想定外。三枝さんも戸惑ったが、企業側と話し合い、さまざまな可能性を模索する。異例だが、産休取得も選択肢にあった。取得には一年以上の勤務実績が必要だったが、なんとか活用する道筋も見えてきた。そこで先を見据え、復帰後の見通しを会社側に尋ねるが、返ってきた回答が、どうにも釈然としない。
企業側にとっては、出産後、どんな状態で復帰するのかが不透明で、明確な答えは出しづらい。一方、入った会社で先が見通せないことに対し、三枝さんの不信感は募る。結局、妥協点を見いだせないまま、三枝さんは、急転直下、重大決断を下す。話し合いの中で、退職を宣告。そのまま社会人の第一歩を終えたのだ。一か月にも満たない、超短期の社会人デビューだった。
一転、専業主婦となって過ごした8年間
ひとまず、子育てを優先し、専業主婦となった三枝さん。その後、2人目も出産し、子育ても落ち着き始める。そうなると、これまでは気にもならなかった社会人として活躍する友人・知人が気になりはじめる。「私もやってみたいなぁ」、「できるんじゃないかなぁ」。そんな好奇心の様な思いがムクムクと湧き上がってくる。30歳という節目も近づいてくる頃だった。8年近い空白を経て、動き出した三枝さんだが、待っていたのは厳しい現実だ。
大学も就職企業も輝かしい経歴を誇る。だが、社会人としての実績は事実上ゼロ。それ以上にブランクが大きく、キャリアはすっかり埃まみれ。就職活動は難航を極める。その内、30歳にどんどん近づき、焦りも出始める。そんな時、目を付けたのが、スキルを身につけることだ。選択したのは、Web関連のスキル。手に職が付けられるだけでなく、在宅勤務もしやすく、自由に働けることを考慮してのチョイスだ。
経験ゼロから目指したWeb関連での再就職
もっとも、Illustrator、Photoshopの知識はゼロ。コーディングのコの字も知らない状態で、「デジタルハリウッドSTUDIO」Webデザイナー専攻・主婦ママクラスに入学した。幸い、潜在力は高かったようで、メキメキと上達。コーディングも「自分には向いていた」というほど、呑み込みが早く、着実にスキルをマスターしていく。そして、卒業課題では、学んだことの集大成として専業主婦にスポットをあてたウェブサイトを作成。企業の採用担当者が集まるプレゼンテ―ションに挑む。それも、主婦・ママクラスの卒業生を対象にしたプレゼンの場ではなく、あえて通常クラスの卒業生が対象の規模の大きいプレゼンの場を志願し、大舞台に臨んだ。
その結果、複数の企業から声がかかる。だが、2人の子を持つ三枝さんには、時間が限られている。4時間勤務、週三回出勤が、働く条件だ。せっかくのオファーも「ぜひ2年後に来てください」とトーンダウン。戦力として期待はしてもらえたが、「今じゃない」という判断で、まとまることはなかった。厳しい条件だけに仕方ないところだが、拾う神はあった――。
<プロフィール>三枝伶以子
1987年生。愛知県出身。大学卒業後、2010年に大手印刷会社に就職するも、まさかの入社1ヶ月で妊娠発覚。勢いで会社を辞め、以降専業主婦となり、二児をもうける。楽しい毎日を過ごしていたが、専業主婦生活を満喫することへのなんとなく感じる罪悪感などもあり、スキルを身に付けようとふらっと説明を聞きに行ったデジタルハリウッドの「デジタルハリウッドSTUDIO」Webデザイナー専攻 主婦・ママクラスにその場で入学。卒業後、1社の内定をもらい、“社会人デビュー”。現在に至る。
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