マニフェストが変える未来!政策の実現が最高のやりがいに  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   マニフェストが変える未来!政策の実現が最高のやりがいに

マニフェストが変える未来!政策の実現が最高のやりがいに (2016/12/29 Patriots)

横浜市会議員(金沢区)として3期目を務める黒川勝さんは、マニフェストに掲げた政策の実現に取り組むことが最もやりがいを感じる瞬間だと言います。マニフェスト大賞の実行委員長を務めた経験があるなど幅広い活動を行いながらも、地元のため日々、真摯にマニフェストへ向き合う黒川さんの活動についてお伺いしました。

横浜市会議員 黒川勝1

時代の変化が政治の世界へ飛び込むきっかけとなった

――政治への道を志したきっかけについて教えてください。

高校3年生のとき、地元でスポーツ用品店を営み、商店街活動などに取り組んでいた父が横浜市会議員になりました。それから21年間、父は議員活動を続けましたが、私自身は多感な時期に父が政治家になったこともあり、どちらかというと政治の世界とは距離を置いていたと思います。

大学卒業後は地元でスポーツクラブの経営などさまざまな仕事をしていたのですが、所属する横浜青年会議所(横浜JC)で理事長をやらせていただく機会に恵まれました。横浜は外から見ると華やかに映るかもしれませんが、社会基盤にしても経済力にしてもまだまだ脆弱です。「横浜の経済をどうするのか」について考え続けていたとき、北川正恭先生(現・早稲田大学名誉教授、早稲田大学マニフェスト研究所顧問)にお会いする機会があり、北川先生の勧めで「横浜JCマニフェスト」を作ることになりました。これがマニフェストに触れた最初のきっかけです。

一方で、せっかくマニフェストを作ってもどう実現させていくか、ということになるとJCの活動では限界もあり、壁にぶち当たることも多くて…。そこでJCで掲げた目標を実現させるためには、私が父の跡を継いで政治家になるのが一番近道ではないかと思うようになりました。

正直なところ、それまで政治の世界にはあまり良い印象を持っていなかったのですが、ちょうどそのころは政治改革が叫ばれ、政治汚職は厳しく罪に問われるようになっていました。「時代も変わってきているし、政治の汚い部分に手を染めなくても、青臭く、泥臭く、きれいごとで押し通せる世の中になってきているのかもしれない…」。そういった時代変化と、JCの仲間や父が地元で開いていた政経塾の若い塾生たちの後押しもあり、横浜市会議員に立候補することにしたのです。

マニフェストは自分の政治をぶれさせないための大事なもの

横浜市会議員 黒川勝2

――マニフェストを重視した活動をされていらっしゃいますね。

初めて選挙に出るときからマニフェストを作り、その実現を目指す政治手法を取っていました。当選したら当然のように北川先生から電話があって「ローカルマニフェスト推進議員連盟というものがあるから、そこに入りなさい」と言われたんですね。ローカルマニフェスト推進議員連盟では入って3年目で共同代表に推挙され、2年間の任期中にマニフェストスクールの開催や公職選挙法改正の政策提言などを行いました。また平成24年から3年間はマニフェスト大賞の実行委員会も務めさせていただきましたが、全国の最先端の政策に触れ、多くの仲間もできて素晴らしい経験を得ることができました。

――マニフェストに対してはどのようにお考えですか?

やろうと思った政策は、議員の場合、とにかく訴え続けないと実現しません。もちろん荒唐無稽なことは実現不可能ですが、本当に社会の役に立つことなら仲間にも協力してもらい、熱心に何度も訴えることが必要だと思います。そうすれば最初は小さかった穴でも少しずつ広がって、やがてはブレークスルーするんですね。そのためにもマニフェストをきちんと作って、目指すものを明文化しておくのは必要だと思います。

またマニフェストがあれば、政治家として何をしたいのか、どこを到達点としているのか、などいつでも原点に立ち返ることができます。「今、何をすべきか」もはっきりしますから、視察や勉強で学ぶべきポイントも分かりますしね。私にとってのマニフェストは自分の政治をぶれさせないためにも大切なものです。

情報発信は多様なツールを駆使して

横浜市会議員 黒川勝3

――インターネット放送も活用されていますね。

毎週水曜日にインターネットテレビで生放送をしています。内容は1週間の政治活動を振り返り、その中で自分が感じたことをトピックスとして掘り下げて話す番組です。これは言わば自分の政治活動を復習するみたいなもの。Facebookでの情報発信も同じですが、自分の取り組みを振り返って次につなげていく活動でもあります。

一方でインターネットでの情報発信はたくさんの人の目に触れますが、100人に見られていたとしても、必ずしもすべてが地元区民ではありません。そのためネット媒体を活用しても、やはり地元でビラを配ったり、演説をしたり、といったことも必要です。そういった活動の一環として、一年間の成果をまとめた『政務調査レポート』を発行し、支援者に渡すだけでなく飲食店や美容院などにも置いてもらっています。冊子にするとチラシよりも置いてもらいやすくて、お店に聞いてみると手に取って読んでくれている人もいるそうです。インターネットがすべてではないので、いろいろな形で発信し続けることが大切だと考えています。

政策を発信し行政を動かしていく

横浜市会議員 黒川勝4

――議員活動を振り返って印象に残っていることを教えてください。

議員になる前、横浜JCのマニフェストとして地域貢献企業の認定制度を作る提言をしました。横浜市の経済局と横浜市立大学のCSRセンター、横浜JCの共同研究みたいな形で、地域貢献という視点から企業認証する仕組みを整えたんですね。それまでは全国から一般競争入札でできるだけ安い業者を選ぶという流れだったのですが、「安かろう、悪かろう」で、何か不具合があってもすぐ対処が出来ないといった問題もありました。それよりは、長期にわたってお付き合いのできる地元業者に仕事を任せた方が地域のためになるでしょうし、何より地元経済の活性化につながるはず、と考えたのです。それで認証の仕組みを作ったところ、現在では300社以上が認定企業となっており、横浜市の取り組みが少しずつ全国に広がっています。

一方で、まだ入札でインセンティブが付くようなシステムにはなっていなかったので、仲間の若手議員3人で「中小企業振興基本条例」を作りました。この条例は横浜市が予算を出す仕事は市内の業者に発注しなければならない、というものです。この条例で市の担当者の意識も変わり、市内の業者さんにやってもらって当たり前、という感じに変わってきました。そうなれば雇用も生まれて税収入も増えることとなり、市内経済の循環が実現し始めました。

しかも条例では「毎年、市会に中小企業の振興に関する施策の実施状況を報告しなければならない」としたので、それぞれの局からきちんと報告も出るようになって。同時に市が補助金や助成金を出している学校や団体についても、何か発注をするときは原則、地元の業者にするよう“縛り”をかけてくれたんですね。このことで市内の経済循環の仕組みは大きく変わったと思いますし、私自身も一期目の忘れられない出来事となりました。

――JC時代から目標としていたことを実現できたわけですね。その後の政治活動はどうでしたか?

一期目の経験で条例制定によって議会からどんどん政策が発信できる、というのが分かったので、今度は横浜の自民党としてのマニフェストづくりにも取り掛かりました。最初は自民党の中でマニフェストに対する理解も低く、「わざわざ作らなくても…」という風潮もあったんです。でも時代も議会の仕組みもだいぶ変わってきたので、マニフェストを作らなければ自民党だけが取り残されるような危機感がありました。

それで商店街活性化やがん撲滅対策など、4年間で8本の条例を作ることをマニフェストで約束し、選挙後にそれぞれプロジェクトチームを作って座長を2~3期生が務めました。結果、1本だけ法律的な問題で見送りましたが、残りの7本の条例は作ることができました。他党からの条例提案も増えて、横浜では4年間で13本も条例を作ったことになります。マニフェスト研究所によるとこの数は全国的に見ても最多だとのことです。

いろいろな角度から条例を作ることができたので、3期目にあたる4年間は条例に基づいて打ち出した政策を軌道に乗せ、市民の生活に反映したり、改善点を実感してもらえるよう取り組んでいるところです。条例の制定そのものが目的ではなく、あくまで条例は政策を実現させるための手段やツール。条例を作っておしまい、ではないことは忘れてならないと思います。

地方議員はやりがいのある仕事。ぜひチャレンジを

横浜市会議員 黒川勝5

――議員の仕事でやりがいを感じるときはどのようなときですか?

自分の議員生活を振り返れば、議員提案で作られた条例をもとに政策を実現していくのが一番面白くてやりがいを感じられました。また、力を入れてきたスポーツ振興の分野では、市民参加型の横浜マラソン開催や2019年のラグビーワールドカップ誘致などが実現したのもうれしかったですね。

正直、自分のやろうと思っていたことが、これほど実現できるとは予想していませんでした。地方分権や地方議会の改革が重視され、ちょうど時代の変わり目だったのは大きいですね。マスコミでは不祥事ばかりがクローズアップされますが、そのような人はごく一部です。真剣に取り組めば必ず成果があり、喜んでくれる人もいっぱいいます。

――これからどのような人に政治家を目指してもらいたいでしょうか?

ただ真面目なだけが取り柄のような人より、ちょっと変わった発想ができるとか、人がやらないことに取り組もうとする人とか、いつも新しいチャレンジを忘れない人がこれからの時代の政治家に向いている人なのではないでしょうか。

また、特に地方議員の場合は、郷土愛を強く持った人になってもらいたいですね。何か自分の地域に問題意識を持っているなら、解決のために「政治家になる」という道もある、ということをお伝えしたいです。今の若い方たちの中には地元に対する愛情が深い方もたくさんいますよね。議員になってから勉強させてもらえる仕組みもありますので、志の高い若い方にはぜひ政治への道をチャレンジしてもらいたいです。

提供:Patriots

プロフィール
黒川勝(くろかわ・まさる)
昭和40年生まれ、成城大学文芸学部文化史学科卒業。スポーツクラブ経営などの傍ら、横浜青年会議所第54代理事長などを歴任。平成19年、横浜市会議員(金沢区)に初当選し現在3期目。自由民主党横浜市会議員団 副団長など党内での役職のほか、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟共同代表やマニフェスト大賞実行委員会委員長なども務めた。
関連記事
地方議員選挙のマニフェスト(ビラ)解禁に向けて~地方創生は政策本位の選挙から
日本一の政策集団を目指しています。よこはま自民がマニフェスト大賞グランプリを受賞したのはそれなりの理由があります。
市民と行政がキャッチボール フューチャーセンターの確立へ
女性ならではの視点で政治への挑戦を―自分にしかできないことを信じて
3.11東日本大震災で芽生えた「次の世代へのつなぎ役」の意識