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富山銀行が支援する空き家活用「高岡まちっこプロジェクト」 (2016/12/14 nezas)

関連ワード : 人口減少 大学生 富山 空き家 高岡市 

地方が抱える課題として、人口減少による労働力不足や地方経済の衰退などがよく取り上げられている。このような課題への取り組みで注目されているのが、産学官金連携だ。産学官金連携とは、地元企業(産)、教育・研究機関(学)、地方自治体(官)、金融機関(金)の複合的な連携でプロジェクトを進める方法である。

そんな産学官金連携によるプロジェクトを立ち上げ、地方経済の活性化を目指している地方銀行の一つに富山銀行がある。この富山銀行の取り組みで注目したい事業が、富山銀行と富山大学が連携して行っている「高岡まちっこプロジェクト」だ。

古民家

高岡まちっこプロジェクト第1号:カフェ、アトリエ付きの「シェアハウス」

「高岡まちっこプロジェクト」は、現在直面している高岡市の課題に対応するために立ち上げられた事業だ。その課題とは、地域人口の減少が進むなかでいかに高岡のまちを活性化させて、まちなかに人々の賑わいを取り戻すかである。地方銀行の一つとして、富山銀行も課題解決に向けて積極的に参加してきた。きっかけとなったのが、同プロジェクトの最初の事業である「シェアハウス」づくりだ。高岡市内の空き家を活用したシェアハウスを拠点として、まちの賑わい創設を目指したものだった。

同プロジェクトは本来、富山大学芸術文化学部の女子学生向けのシェアハウス創設プランとしてスタートした。しかし、偶然にも2011年から富山銀行の職員が富山大学に派遣されていたため、同学部との連携協力が実現したといわれている。

同大学に派遣されていた富山銀行の職員は、クリエイターの卵である同大学芸術文化学部の学生たちからの提案に耳を傾けた。そしてその提案に基づき、プロジェクトの実行委員会などと連絡を取り、取引先だった建築会社に新規融資などを行い「空き家活用型シェアハウス」をプランニングしたのだ。高岡市の空き家対策事業との連携を図り、単なるシェアハウスではなく、アトリエ、ギャラリー、カフェを併設した高岡式シェアハウスを2013年3月にオープンさせた。

「高岡まちっこプロジェクト」実行委員会には富山銀行、富山大学、高岡市、建築会社の他にも、不動産鑑定士や漆器製造、販売などの異業種企業が参加している。同プロジェクトは、産学官金連携体制による事業として地域から注目を集めているが、シェアハウス完成後も「空き家対策による地域活性化」の取り組みを推進しており、建設会社の事業拡大にもつながっている。

高岡まちっこプロジェクト第2号:ゲストハウス「ほんまちの家」

富山銀行の産学官金連携のプロジェクト事業は、空き家を活用したゲストハウスも開設している。高岡市による「高岡市まちなか空き家再生支援モデル事業」の支援を受けたこの事業は、若者や作家が集まる場である「町家体験型」のゲストハウスとして創設された。宿泊はもちろんのこと、時間貸しも行っている。

このゲストハウスは、空き家だった1938年築の古民家を改修してつくられた。高岡市本町にあるところから「ほんまちの家」と名付けられている。高岡の中心地で若者に「まちなか居住」を体験してもらい、若者の地域定着を促進することを目的としているのだ。

古民家の改修は、国や高岡市から補助を受けて工事に着手している。母屋から蔵へと改修工事を進めたが、耐震補強や快適な空間づくりのために、富山大学芸術文化学部や東京工業大学の学生が参加してワークショップを行った。富山大学、富山銀行も含めて、ここでも産学官金の連携プロジェクト事業として、地域の注目を集めた。

高岡まちっこプロジェクトの促進で若者が集まるまちへ

産学官金連携によるプロジェクトは現在進行形で、この富山銀行の取り組みは若者を地域に集めるという効果があった。とりわけ、学生ら若者の知恵を生かしたことで、県内だけではなく県外からの若者も引き付けつつある。若者が集まることによって、街に賑わいも出てくるのではないかと期待されている。また富山銀行は連携する大学生たちに対し、事業計画の策定支援や資金調達のアドバイスなども行っている。

地域活性化のための産学官金連携事業は、まだ始まったばかりだ。今後の動きに注目していきたい。

提供:nezas

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