ケニア政府が社会保障の経営情報管理システム(MIS)を統合、アフリカ初 (2016/10/22 The Povertist)
ケニア政府は9月14日、社会保障(Social Protection)の受益者選定(ターゲティング)に用いる経営情報管理システム(MIS)の一本化を発表した。今後、ケニア政府が実施する全ての社会保障制度の受益者情報が一括管理されることとなる。
政府が実施する大規模な現金給付プログラムである「孤児・子供の貧困対策のための現金給付プログラム(CT-OVC)」や北部の乾燥・半乾燥地域の「飢餓対策のための現金給付プログラム(HSNP)」だけでなく、老齢年金や障害給付に関するデータも統合されるようだ。
開発途上国では世界銀行や国際労働機関(ILO)を中心に、社会保障制度の整備が進んでおり、乱立するパイロットプロジェクトの取捨選択と、MISの統合が課題となっている。
このニュースを受けて唯一の疑問は、なぜWFPが発表したのか、ということ。2010~12年の時点では、世界銀行がMISの統合をリードしていたと記憶している。どういう経緯があったのか。
この点だけが気になるところだが、新たなMISの運用がどのような効果を生むのか期待が高まる。
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Author: Ippei Tsuruga
The Povertist編集長。国際協力機構(JICA)を経て、国際労働機関(ILO)社会保障政策担当官。開発途上国の貧困問題と貧困層向け社会政策のスペシャリスト。
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