大卒就職率過去最高だけではわからない最近の就職事情 (2016/6/3 JIJICO)
大卒だけではなく高卒もバブル期水準の就職率
文部科学省、厚生労働省が今春卒業した大学生の就職率が調査以来、過去最高の97.3%に達したと報じています。高校卒業者においてもバブル期水準と見出しが躍っていました。
2016卒大学生の就活開始にあたって、経団連は就職活動が学業にあたえる影響を考慮して、開始時期を遅らせることがありました。結果としては、そんなことも忘れさせるような、過去最高水準で締めくくられています。
バブル期と今では就職を取り巻く環境が違う
別の角度から就職を取り巻く環境について挙げてみたいと思います。過去最高の就職率とありますが、浮かれていた経済であったバブル期と現在の経済状態では採用にあたって、就職希望者に求めているものは同じだろうかという疑問。
就職率とは、就職希望者に対しての就職率であって、卒業する人に対しての就職率ではないこと。技術が更に発達した時代で求められている仕事の質など。就職率だけでは判断できない「今」を知る必要があります。
多くの大学生が働くことを考え始めるのが、就職活動を意識するときだと思います。しかし、その時々の経済状況、雇用状態に一喜一憂し、就職活動が繰り広げられているような気がします。
例としては、バブル期とその直後の違いが一番分かり易いだろうと思います。バブル期には企業が内定者の囲い込みに奔走しとかと思うと、バブルが弾けると一転、企業の囲い込みどころか、どの企業が採用してくれるのかというぐらい、企業のスタンスは激変し、大学生は状況の違いに戸惑いました。バブル期後、就職活動は厳しくなり先輩から聞いている話とはまったく別の世界が待ち受けていたのです。
就職活動に向けて普段から社会人と話す機会を持つことが大切
現在の採用試験では、仕事に対して向き合う姿勢、志望する企業への思いなどから学生の魅力を探っています。会社で経験を積み、数年後には独立すればいいと考える企業もあれば、我社が採用したのだから、我々が育てていくという企業まで様々です。
学生の皆さんには、会社の中に入らない限り見分けることは難しいですが、担当者と話ができる力を身につけてもらいたいと思います。普段から社会人と話をしたり、社会と触れ合ったりできる機会を多く持つことが自然に話す力、考える力を伸ばしていきます。
働くことは何かという問いは、時代が変っても、環境が変わっても、経済状態が変わっても大きな変化がある訳ではありません。もし、あなたが大きな変化とみるようなことがあったとしても、それは本質的な事ではなかったということでしょう。
新聞に出てくるような数字は、結果としての数字であり、就職活動や就職してからの内容を100%示しているのではありません。大切なことを知るには、数多くの大人と語らう時間を持つことが大きな財産となっていきます。就職活動などを通じて、そのような機会を得られる環境を自分でつくるのもいいことではないでしょうか。
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