パタゴニア、新しい形の消費を後押し (2016/4/10 EcoNetworks)
パタゴニアのCEO、Rose Marcarioは昨年、米国で消費が最も増える年末のホリデーシーズンに「所有」と「消費」についてのメッセージを発表しました。
入手、製造、廃棄を繰り返すことで生態系を破産に追いやる「消費者」でなく、購入したものに対して手入れや修理までの責任をとる「所有者」になることを呼びかけるものです。
「消費」に拍車をかけるビジネス(独占的な部品を開発して修理を能動的に妨害するなど)を批判し、パタゴニアは「所有」という行為を取り戻すためにより高品質の製品をつくると同時に、修理部品を入手可能にし、修理を簡単にする責任があることを強調しています。
パタゴニアは北米で最大の衣服修理工場を持つだけでなくiFixit*と提携し、個人が自分で製品を修理できるようウェブサイトで製品ごとの無料の修理ガイドを公開しています。
※iFixit:製品の修理に役立つ情報を人々が交換し合うプラットフォームを提供し、修理に必要な道具や部品を販売する企業
また、人々が大切に着続けるパタゴニアの服を持ち主のストーリーとともに、SNSやウェブサイトで紹介する取り組みも話題になっており、パタゴニアは、オンラインでの効果的なサステナビリティ情報発信度をランキング化する英国の企業Sustainlyの「第6回 Social media sustainability index」で世界の475社中、GE、ユニリーバに続いて3位に選ばれています。(ランキング結果はこちら=http://sustainly.com/content/6th-annual-social-media-sustainability-index=で登録するとダウンロードできます)
パタゴニアは、拡大が進むシェアリングエコノミーのさらなる成長にも積極的に貢献しています。代表的なのが、シェアリングエコノミー型ビジネスの急先鋒Yerdleとのコラボレーション。
Yerdleは不用品を提供して獲得したポイントで他の人の不用品を買うことができるアプリです。
同社では”sharing is the new shopping. ”(シェアは新しいお買い物)というコンセプトに基づき「人々が買うものを25%削減すること」をミッションに掲げています。
パタゴニアはYerdleに投資するとともに中古製品や余剰在庫を寄付しています。この活動は、余剰在庫を流通させて廃棄物を減らすだけでなく新しい顧客層に高品質で長く使える製品をつくっていることを伝えるアピールになります。またアプリの利用者はYerdleの製品をSNSに共有することが多く、そこからさらなる潜在顧客へのアウトリーチも期待できるようです。
シェアリングエコノミーにおいては、製品を再販した際の価値が重視されるため、耐久性のある高品質の製品を求める消費者が増えていくと考えられます。
多くの消費の形が、「所有」から「シェア」に移っていくなかでも、人々が「ほしい」と思えるような製品をつくり消費者といっしょに持続的な社会実現に向かっていくパタゴニアの戦略にこれからも期待です。
参照
Yerdleとパタゴニアのコラボレーションについて
https://www.greenbiz.com/blog/2014/04/15/yerdle-patagonia-collaborative-economy
- 関連記事
- 時代の声に応える広告。町の緑化を加速させるための新たな広告モデル
- 絶滅危惧のクロマグロ、“政府の漁獲規制では不十分”立ち上がる壱岐の漁師 海外も注視
- 下水道2.0とは何か?下水道の水の流れからエネルギーを生み出す社会へ