児童虐待発見?通告は大人の「義務」 (2016/3/26 JIJICO)
もしかしたら虐待かな、と思う程度でも通報の義務あり
マンションの隣の部屋で、毎日の様に、大人の怒鳴り声と、子どもの泣き叫ぶ声がする。実際に殴られたところを見たわけではないけれど…どうしたらいい?法律では、児童虐待を発見した場合は、速やかに「通告しなければならない」として、通報の義務を規定しています(児童虐待の防止等に関する法律第6条1項)。
この法律では「児童虐待を受けた児童」ではなく「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は」(平成16年改正により、広がりました)という規定になっています。現実に虐待があっているかどうかを確認できなくても、「もしかしたら虐待かな?」と思う程度であっても、通報する義務があります。
もしも、後から虐待でなかったことが判明したとしても、その通報が児童虐待防止法の趣旨に基づくものであるかぎり、そのことによって、通報者が民事上・刑事上の責任を問われることはないとされています。
通報しない罰則は?逆恨みされたりしないのか?
通報をする義務は、親族関係にある者や学校の教職員、医師など特定の業務にある者に限定されず、一般の方にとっても義務とされています。
通報は、匿名ですることもできます。また、名前を名乗ったとしても、通報者の情報が相談先の関係者以外には知られないことになっています。通報者のプライバシーは守られています。たしかに、この通報義務違反をした場合の罰則はありません。ただ、こどもは出来るだけ、地域全体で見守るようにしたいものです。
増加する児童虐待には児童相談所に早めのSOSで対策を
全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、平成26年度で7.6倍に増加しています。児童虐待によって子どもが死亡した件数も、高い水準で推移しています(平成25年度。心中を除外して36名)。
法律では、各市町村の福祉事務所、児童相談所を規定しています。昨年7月から、児童相談所の全国共通ダイヤルが3桁になりました。こどもたちや保護者のSOSの声を「いちはやく」キャッチするため、「189」にかけると、お近くの児童相談所につながります。
また、この共通ダイヤルでは「子育てが辛くて、つい子どもにあたってしまう。これって虐待じゃないの?」といった保護者側からの相談にも対応することになっています。
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