「失われた10年」がいつの間にか「失われた20年」になり、人生まるっと失われたことにされた「20代」の若者達が考える「地域」というキャリア選択。 (2015/12/23 地域移住計画)
各種世論調査によると、地方や田舎への「移住」願望は、世代が若くなるほど強くなるという傾向があります。
◆東京在住者の今後の移住に関する意向調査(2014年・政府発表)
「今後移住する予定又は移住を検討したい。」
10代・20代・・・46.7%
◆人口,経済社会等の日本の将来像に関する世論調査(2014年・内閣府発表)
「地方に移住してもよいと思う。」
20代・・・52.3%
30代・・・57.6%
40代・・・51.2%
50代・・・37.5%
60代・・・25.6%
◆農山漁村に関する世論調査(2014年・内閣府発表)
「農山漁村地域に定住してみたいという願望がある。」
20代・・・38.7%
30代・・・32.7%
40代・・・35.0%
50代・・・33.0%
60代・・・33.7%
◆国土形成計画の推進に関する世論調査(2015年・内閣府発表)
「老後の生活を考えた場合、別の地域へ移住をしたい。」
20代・・・35.8%
30代・・・28.8%
40代・・・27.3%
50代・・・25.7%
60代・・・10.0%
いま若者たちの間で、地方や田舎を目指す動きが活発化しています。
その背景にあるのは、どんなものなのか。
今回「NPOふるさと回帰支援センター」にて開催された「真剣20代!しゃべり場~地域というキャリア選択~」に参加し、20代の若者たちの生の声を聞いてきました。
今回のイベントはその名の通り、20代の若者たちが今考える「地域」というキャリア選択について、ざっくばらんに意見交換を行うというもの。
冒頭では、「ええとこやんか三重移住相談センター」相談員の河南さん(20代)から、今回のテーマについての説明がありました。
●いまの20代は、どんな世代の人たちなのか。
・日本経済の停滞とともに人生を過ごしてきた。知らない間に「失われた20年」と言われるようになり、人生まるっと失われたことにされてしまった。
・物心ついたころには、パソコンやインターネットがあるという「デジタルネイティブ世代」。SNSなどのコミュニケーション・テクノロジーの発展と共に過ごしてきた。
・「ゆとり世代」と馬鹿にされたり、なにも欲しがらない「さとり世代」等と呼ばれ、他の世代から不可解な世代と思われている。
●今までとはかなり異なる価値観を持っている。
・「○○離れ」と言われるように、あまり「物」を消費しない傾向がある。上の世代は、車やお酒など、大人として買うべきものや持つべきものがあったが、今の若者には、それがない。
・一方、つながりや共有といった「事」に対する志向は非常に強い。コミュニケーションツールを駆使し、人とつながることを重視する。
●いま若者の間で、「地域」というキャリアが注目されている。
・これまでは、都会に出て、大きな会社にはいって、出世を目指すというのが、一般的な価値観だった。
・そうではなく、生活コストを下げて、地域で自分らしく生きる方が良いのではないかと考える人が増えてきている。
・その背景として、通信環境(インターネット)の整備と、物流の仕組みが発達したことが挙げられる。すごく「ド田舎」に住んでいても、amazonで注文すれば、翌日には物が届く。情報を得たり物を買うための環境は、じつは都会とあまり変わらなくなってきている。都市部と田舎との差異は、前の時代と比べれば、明らかに縮まってきている。
・「物」にたいする消費性向が高くないので、わざわざお金のかかる「都会」で暮らす必要はないという価値観が醸成されてきている。
その後は、今回のテーマについて、参加者同士で意見交換をおこなうグループワークが行われました。
グループワークでは、さらに「Iターン移住」と「Uターン移住」という二つのカテゴリグループに分かれ、Iターン・Uターンそれぞれの状況において、どのような「不安要素」と「期待する要素」があるかについて、活発に意見が交わされました。
「地域移住」を世代論で考えるという今回のイベントは非常に興味深く、私自身も大変勉強になりました。
参加者の中には、いわゆる東京の一流企業で働く人もいたようで、そのような一流企業に勤める若者の意識も、「地域」に向かい始めている。というのも、まさに時代の変化を感じる所です。
20代の若者たちが、なぜ今地域を目指すのか、その先行事例も交えながら、このテーマについて、もっと深掘りしていきたい気持ちになりました。
ぜひ、今後も継続的にやってほしいイベントですね。