最低賃金引き上げを求めてデモ (2015/12/16 法、納得!どっとこむ)
政府が掲げる最低賃金時給1000円への引き上げでは生活苦は解消されないとして、最低賃金1500円の実現を求めるデモが13日、東京都内で行われました。
デモは大学生や20~30代の非正規労働者などでつくるグループが企画し、「最低賃金今すぐ上げろ!」などと訴えながら、約1時間半かけてJR新宿駅周辺などを練り歩いたとのことです。
アルバイトをしようと思った時に、アルバイト情報誌などに「最低賃金」が書かれているのを目にする方も多いと思います。
「最低賃金」について、法律はどのように定めているのか、見てみたいと思います。
最低賃金制度とは、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする、最低賃金法に基づく制度です。
最低賃金法は、賃金の低い労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって労働者の生活の安定を保護することによって、国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、昭和34年に労働基準法から派生して制定されました。
最低賃金には、「地域別最低賃金」(法第2節)と「特定最低賃金」(法第3節)の2種類があります。
「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわらず、都道府県内で働く全ての労働者と使用者に適用される最低賃金のことをいい、都道府県ごとに、全国で47件の最低賃金が定められています。
厚生労働省が発表している平成27年度地域別最低賃金改定状況によれば、一番高いのは時給905円(東京都)、一番低いのは時給693円(鳥取県、高知県、宮崎県、沖縄県)となっています。
「特定最低賃金」については、適用対象となる労働者などがそれぞれ詳細に定められています。
例えば北海道において鉄鋼業に従事する場合は、時給858円といった形で決められています。(参考:特定最低賃金の全国一覧 http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-19.htm)
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、原則として高い方の最低賃金が適用されることになっています。
最低賃金額以上になっているかについては、
時間給の場合は (時間給)≧(最低賃金額(時間額))
月給の場合は (月給)÷(一ヶ月の平均所定労働時間)≧(最低賃金額(時間額))
日給の場合は (日給)÷(一日の平均所定労働時間)≧(最低賃金額(時間額))
という計算で確認することができます。
使用者が最低賃金を支払っていない場合は、労働者に対してその差額を支払わなければならず、さらに、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には50万円以下の罰金(法第40条)に処せられます。
特定最低限以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法の罰則は適用されませんが、労働基準法の賃金の全額払違反として30万円以下の罰金(労働基準法24条、120条)に処せられる可能性があります。
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