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人口3万人以下のまちだけを集めたアンテナショップ・kura-cafeの魅力 (2015/12/1 ジモトのココロ

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人口3万人以下の小さなまちのアンテナショップをやっているんです」。そんなお話を聞いたのは、以前ジモトのココロでもご紹介したイベント「出身地Day」でのこと。特定の地域でも、名の知られた観光地でもなく、人口の少ない小さなまちに着目した一風変わったアンテナショップをジモココ編集部が訪れました。

小さなまちの逸品が勢揃い

アンテナショップと言えば、東京都内なら有楽町駅の交通会館や東京駅周辺に多くある印象ではないでしょうか? 今回訪れたのは、東京都の品川駅から京浜東北線で約20分のところにある神奈川県横浜市・鶴見駅。駅から歩いて10分、地元の方の食卓に欠かせない八百屋や果物屋などが並ぶ、レアールつくの商店街の一角にあるのがアンテナショップ「kura-cafe」です。

アンテナショップ「kura-cafe」

店前には地方の特産品がずらり。どれも東京のスーパーでも、アンテナショップですら扱っていないかもしれない、まだ見ぬ品々が並びます。

小さなまちの逸品の数々

壁にずらりと並んだ全国の小さなまちの逸品の数々

商品1つ1つに、地域と商品の説明書き

商品1つ1つに、地域と商品の説明書きが丁寧に書かれていました

kura-cafeは商店街にある小さなお店にも関わらず、壁に沿って全国各地のご当地品が所狭しと並んでいて、なかなかの圧巻もの。これまでは、お店のある鶴見区の友好都市である福島県棚倉町と、同じく福島県は西会津町の特産品に特化して商品を並べていたそうですが、現在は kura-cafe 主催のイベント「全国小さなまち・むらのおいしいもの選手権」の開催に伴い、全国32のまちの逸品が集結しています。

kura-cafeが生まれた3者の結束

kura-cafeをオープンしたのは2013年10月のこと。店長の中村郁子さんは商店街でお店をやってみたいという思いはかねてからあったそうですが、一人でお店をゼロからオープンすることはただでさえハードルが高いこと。それでも全国の小さなまちの商品に特化したお店が鶴見区の商店街に生まれたきっかけは、kura-cafeにいまも関わる3者の思いが合致したからなのだそう。

店長の中村郁子さん

店長の中村郁子さん。「全国小さなまち・むらのおいしいもの選手権」の投票箱をもってニコリ

「以前、鶴見区役所の職員として働いていて、その時から友好都市の棚倉町とは交流があったんです。東日本大震災から2年がたった2013年の夏、棚倉町から『風評被害を払拭するための拠点をつくりたい』というご相談をうけました。お店をやってみたいという私の気持ちもあり動いてみたところ、復興支援のイベントを熱心にやっていたレアールつくの商店街と出会ったんです」。

ただ、商店街の場所を借りるためには法人格が必要だったそう。そこで手を差し伸べてくれたのが現・運営会社の株式会社イータウンです。地方のまちを応援できないかと考えていたイータウンの思いとも合致し、中村さん×棚倉町×イータウンによる「横浜発ふるさと応援プロジェクト アンテナショップkura-cafe」がオープンしました。

kura-cafe開催のイベント「西会津ナイト」の様子

kura-cafe開催のイベント「西会津ナイト」の様子/kura-cafe

「お店では地方の特産品を売っていますが、地域の人と都会の人との繋りを作ることも私達の役割だと思っています。生産者の方にお越しいただいてイベントを催したり、少人数の現地ツアーを行ったりもしているんですよ。kura-cafeは人口3万人以下の小さなまちのファンをつくることをミッションとしていますが、ファンをつくるには顔のみえる関係を築ける規模感であることが重要なんです。kura-cafeには『◯◯さんに会いたいからまたお店に行きたいな』というお客様がたくさんいます。名前も知らなかった小さなまちも、kura-cafeをきっかけに自分の親戚がいるまちのように親しく感じられる、そんな出会いをご提供できるように努めています」。

実際にkura-cafeの取り組みをきっかけに、棚倉町や西会津町のファンになり、いまや個人的に何度も現地まで足を運んでいる方もいます。そういった方が町のPRするイベントを企画されたり、ゲストハウスを立ち上げるために準備されているケースもあります。こうして、福島のファンの輪がどんどん広がっているのだそうです。

生産者や地域おこし協力隊で繋がる

商品の生産地との繋りも強い kura-cafe には、毎週どこかの地方から生産者や地域おこし協力隊の方々がお店に訪れます。ジモココ編集部が伺った日も、島根県江津市から地域おこし協力隊の方が来られていました。

地域おこし協力隊・高島淑美さん(右)と中村さん

近況報告をする地域おこし協力隊・高島淑美さん(右)と中村さん

今年8月から地域おこし協力隊として赴任している高島淑美さん。東京で働いていた時は地域に関わる仕事ではなかったという高島さんが、江津市での生活を決めたきっかけは「肌にあったから」なんだとか。

「もともと芸術を見るのが好きで、土日を使って地方の芸術祭などに足を運んでいたんです。トリエンナーレやビエンナーレなどのイベントが各地でありますよね。ただそれまで島根県に行ったことがなかったし、地域おこし協力隊になろうとも思っていなかったんですが、情報収集にと思って行った都内のカフェであった地域おこし協力隊説明会に参加したら、とても面白そうだったんです」。

その説明会がきっかけで興味を持った江津市に旅行もかねて行ってみたところ、とても気に入ってしまったそう。気さくな雰囲気の高島さんらしく、江津市に赴任してまだ3ヶ月ですが地域の方とすぐに打ち解けているようで「すごく楽しいし、江津市に来て本当に良かった」と笑顔で話していました。

江津市の特産「けしいた」を抱えてkura-cafeに

江津市の特産「けしいた」を抱えてkura-cafeに来られていました!

今回高島さんがkura-cafeに訪れたのは、江津市黒松町から「全国小さなまち・むらのおいしいもの選手権」に推薦するご当地お菓子「けしいた」を納品するため。黒松町は江津市の北東部に位置する港町で町民数は約450人、夏は海水浴でにぎわうまちです。

けいした

黒松町で何十年も前から食べられている「けしいた」はクッキーともちがうソフトな食感の焼き菓子。小麦粉とお砂糖がベースのシンプルなお菓子は、一口食べるともうひとつ…と自然と手が伸びてしまう、ちょっぴり罪なお菓子です。

実は「小さなまち・むらのおいしいもの選手権」に黒松町のけしいたを推薦したのは、他でもない高島さん。「協力隊に着任した当初、黒松町の皆さんに何からPRしましょうかと聞いてみたところ、『あんたがいいと思ったものでいいけぇ』と言われていたので、大好きなけしいたを是非PRしたいと思って応募しました。落選したら地域の方も悲しむかもしれないと思って、こっそり応募したんです。実際にkura-cafeに商品を置けることが決まってから、まちの方々にも報告しました」。高島さんの素早い行動なしには、ジモココ編集部がけしいたを知ることも食べることもなかったのではと思うと、なんだか感慨深くなりました。

小さなまち・むらの逸品を応援してみる

黒松町のけしいたも参加している、kura-cafe主催の「全国小さなまち・むらのおいしいもの選手権」は12月30日まで開催中。期間中は店内に全国各地のこだわりの品が並びます。

長崎県新上五島町の「あごんちょび」

長崎県新上五島町の「あごんちょび」は、九州でよく食べられる魚・あごをつかったアンチョビ。女性生産者ならではの可愛らしい小瓶は贈り物にもおすすめ。

北海道新ひだか町の「三石こんぶ焼酎」

北海道新ひだか町の「三石こんぶ焼酎」はkura-cafeの人気商品のひとつ。ミネラル豊富な焼酎は飲めば飲むほど身体にいいかも!?

珍しい無糖の梅酒「BENICHU38°」

珍しい無糖の梅酒「BENICHU38°」は福井県若狭町から。アルコール度数の高めな梅酒は男性へのプレゼントにピッタリ

特設ページからも投票ができるので、自分の故郷の特産品が紹介されている方は、ぜひ一票入れてみてください! 身近なまちがない方も、これまで見たことのない特産品がずらりと揃っているので、kura-cafeを訪れて実際に食べてみて、小さなまちの魅力を味わってみてはいかがでしょうか。

全国おいしいもの選手権

<投票はこちらから>
http://kura-cafe.sakura.ne.jp/tasty2015/

提供:ジモトのココロ

著者プロフィール
まつこまつこ
おんせん県(大分県)生まれ。好きな大分料理は「吉野鶏めし」、もちろん冷蔵庫に「かぼす胡椒」は欠かせない。現在は、持ち前の酒飲み女っぷりを発揮し、東京の飲み屋をさまよう日々。
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