日本財団とIPC、あらゆる差別撤廃に向けグローバル・アピールを宣言 (2020/1/28 政治山)
27日、東京・赤坂にて「グローバル・アピール2020~ハンセン病患者と回復者に対する社会的差別の撤廃に向けて~」(主催:日本財団、賛同団体:国際パラリンピック委員会,IPC)宣言式典が行われました。グローバル・アピールは2006年から毎年1月の「世界ハンセン病の日」に合わせて開催され、今年で15回目となります。
主催者挨拶の中で笹川陽平 日本財団会長は、「ハンセン病は世界中どこでも無料で薬を手に入れることができ、今や治る病気であるにもかかわらず、現在でも世界中で多くの人々がこの病によるスティグマと差別に苦しんでいる」として、差別撤廃には正しい理解が必要であることを強調しました。
続いて登壇したドゥエーン・ケール IPC副会長は、「偏見の根底には無知や誤った情報、そして恐怖がある。共生社会を目指す私たちIPCは、すべてのパラアスリートともにあらゆる差別の撤廃に取り組んできた。パラリンピックイヤーである2020年、インクルーシブな社会を実現しましょう」と呼びかけました。
その後、ハンセン病当事者である森和男 全国ハンセン病療養所入所者協議会会長からは、ハンセン病家族訴訟の判決を受け入れ謝罪した日本国政府の対応への評価と、オリパラの開催にあたり香川県などで元患者が聖火ランナーに選ばれていることへの期待が語られました。また、患者家族代表として登壇したインドのチャンドラ・プラカシュ・クマール ハンセン病回復者家族代表は、ハンセン病コロニーと呼ばれる施設内で生まれ育った経験から教育の重要性を強調しました。
式典終盤には、安倍晋三 内閣総理大臣と加藤勝信 厚生労働大臣、森喜朗 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会委員長も駆けつけ、車いすラグビー日本代表キャプテンの池透暢(ゆきのぶ)選手と日本財団パラリンピックサポートセンターのマセソン美季氏が宣言文を読み上げました。
宣言文は以下の通り。
- グローバル・アピール2020
- ~ハンセン病に対するスティグマ(社会的烙印)と差別をなくすために~
- ハンセン病は治る病気です。しかし単なる病気ではありません。
- 多くの人びとがこの病による不名誉な烙印を押され、差別を受け、疎外されています。
- 人生において彼らの機会は制限され、完治した後でさえそれは続きます。
- 社会の偏見は、彼らの家族に対してもマイナスの影響を与えているのです。
- 国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラスポーツを通じ、よりインクルーシブな社会の実現を目指しています。
- IPCの目的は、障がいのある人に対する社会的なバリアを取り除くことで、ステレオタイプに挑み、人々の行動に変革をもたらすことです。
- 多様性とインクルージョンは、IPCが守るべきものの中核です。
- 我々は、公平で公正な社会を創出することに全力を尽します。
- パラリンピック・イヤーである2020年、我々は、社会的烙印と差別の撤廃を求め、ハンセン病回復者と立ち上がります。
- 私たちは共に、すべての人に尊厳と基本的な自由が尊重される社会の実現を追求していきます。
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