若者の情報源はテレビが8割超、際立つ新聞離れ―18歳意識調査 (2019/11/13 政治山)
日本財団(笹川陽平会長)は9月中旬、「メディア」をテーマに19回目となる18歳意識調査を実施しました。若者のテレビ離れが指摘される中、回答者1000人のうち80%以上がテレビから必要な情報を得ていると答え、ソーシャルメディアやニュースサイト(いずれも40%代)を大きく上回っています。
テレビは『情報の信頼度』『中立・公平で偏りがない』でもトップを占め、購読者の落ち込みが目立つ新聞も「詳細な説明がされている」で1位、信頼度や中立・公正でもテレビに次いで2位の評価を受けています。
一方で90%以上がLINEやTwitterなどSNSを利用する一方、利用者の3人に2人弱がその情報の内容について『真偽を確かめたことがある』と答えています。全員を対象にした質問でも80%以上が『インターネット上の情報を虚偽だと感じたことがある』とする一方で、4人に1人以上が『真偽を確かめずに情報を拡散したことがある』と回答。社会問題化しているフェイクニュースに関する法整備について過半数が必要と答え、『必要はない』は約10人に1人に留まっています。
今回の調査結果を受けて、日本財団の坂本織江氏は以下のように述べました。
「情報源ではテレビが8割を超える支持を得、また信頼性やわかりやすさといったイメージでも他のメディアを押さえてトップ。テレビがオールドメディアと呼ばれて久しいものの、 若者への存在感を示す結果となった。
また、表現の自由が脅かされる懸念も指摘した上でフェイクニュースの法整備について聞いたものの「必要」が過半数を超え、次いで「わからない」約3割、「必要ではない」が1割にとどまった。法整備の必要性として理由として昨今のフェイクニュースによる被害報道も多く挙げられたが、情報の受け手として自身はどうあるべきかも議論を深めてほしい。まずは情報を正しく取捨選択する目を養う必要もあるのではないか」
主な調査結果は以下の通り。
▼情報源は「テレビ」が82.1%でトップ。2位「ソーシャルメディア」47.3%
▼無料・手軽といったイメージではいずれもテレビがトップ
▼「詳細な説明がされている」では新聞(27.3%)がトップ。「中立・公平で偏りがない」は上位1、2位のテレビ、新聞でも10%代に留まる
▼SNSの利用率は9割、そのうち3割が情報の真偽を確かめたことがない
▼インターネット上の情報を虚偽だと感じたことがある人は84.1%
▼真偽を確かめずに情報を拡散したことがある人は26.3%
▼フェイクニュースに対する法整備は必要56.6%
- 法整備が必要であると思う理由は、「虚偽の報道で人権が侵害されることもある」「社会が混乱したり、風評被害が起こりうる」など、フェイクニュースにより被害を受けてしまう人のために罰則が必要という意見が多くあがる。そして、「言論、表現の自由にも限度がある」「表現の自由を振りかざして、間違った情報で多くの人を混乱させる人や誰かを傷つける人がいる」など、自由のために社会が混乱したり、誰かが被害を被ることがあってはいけないという声も。
- 法整備が必要ないとする理由は、「自分でその情報の真偽を確かめることも必要な能力」「ネットリテラシーを教育すれば良い」「自分自身で調べることが必要」など、自ら調べて判断する力を身に着けるべきという意見や、「言論の自由が脅かされかねない」「情報規制がされてしまう」などの心配の声があがった。
- 「わからない」の理由は、「詳しくない」「実態をあまり把握していない」という回答の他、「賛否両論ある」「言論の自由まで侵されるのはおかしいが、嘘が広まるのもよくないと思う」など、どちらの立場も理解できるという理由があがる。また、「フェイクニュースを規制する法律もありだけど…ニュースに対して、1つのミスも許されない社会もどうかと思う」という意見も。
■調査報告書について
詳細については、プロジェクトページに掲載している報告書をご覧ください。
18歳意識調査
■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳の意識を幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いです。
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